【保育者・支援者必見】発達が気になる子の「友だちとのトラブル」にどう対応する? 子どもの安心感を育むサポート5選

2025/12/22

「おもちゃを取る」「手が出る」など、発達が気になる子の周囲とのトラブルに関する発達支援の視点と、具体的な対応策をご紹介します。


保育・療育の現場では、子ども同士のトラブルが発生することも少なくありません。
特に、発達に特性のある子どもは、社会性の育ちがゆっくりであったり、感情の調整が難しかったりするために、トラブルを繰り返すことがあります。

 

トラブルが続くと、大人はつい「ダメでしょう!」「仲良くしなさい」と注意したくなりますが、子ども自身の困っていることをとらえ、子どもを変えずにまわりを変えていくという視点で対応することが重要です
ここでは、トラブルを「困った行動」ではなく「子どもなりのコミュニケーション」ととらえ、子どもの安心感を育み、適切な行動をとれるようサポートする対応策をご紹介します。


サポート① 遊びの発達段階に合った環境を用意する

子どもの発達段階と遊びが合っていないと、友だちとのトラブルが生じやすくなります。

 

例えば、「人の物と自分の物の区別」や「交代」のスキルが育っていない段階では、友だちのおもちゃを取ったり、自分の思い通りに遊べないとかんしゃくを起こしたりする行動が起こりやすいものです。

 

友だちとのトラブルが多い場合、まずは一人遊びが堪能できるようサポートしましょう。

 

・一人遊びを充実させる

無理に友だちと遊ばせようとせず、まずは一人でじっくり遊べる空間やおもちゃを提供し、自分で遊びを考え、工夫する達成感(成功体験)を得られるようにします

 

・遊びのメニュー表を活用する

遊びたいけれど何をしていいかわからない子どもには、遊びのイメージをもてるメニュー表(おもちゃの写真やイラスト一覧)を用意し、自分で遊びを選択できるようにします。

これにより、友だちの遊ぶ姿に頼らず、自分で遊びを切り替えられる力を養います


サポート② 「貸して」の前に「あきらめる」「切り替える」ことを教える

友だちの使っているおもちゃを使いたい子どもに対して、保育者は「貸してと言ってごらん」と言ってしまいがちです。

すると、「貸して」と言っても貸してもらえなかったときに、友だちをたたく、物を壊すなどの行動で手に入れようとするというトラブルにつながることがあります。

 

すぐに「貸して」を教えるのではなく、「人が使っているものはすぐに使えないこと」「別のものでも遊べること」を先に伝えましょう。「あきらめる」「切り替える」という力が身につきます。


サポート③ 適切でない行動はスルーして、適切な行動に注目する

子どもが周囲の関心を引こうとわざとふざけたり、友だちにちょっかいを出したりする行動(注目行動)には、意識的に反応しないようにします(計画的無視)。

反応することでその行動を強化してしまうのを防ぐためです。

 

適切でない行動はスルーしつつ、「座ります」などと適切な行動を促します。子どもがそれに応じたら「できたね」と即座に承認(強化)します。

適切でない行動よりも、適切な行動のほうが注目してもらえるという体験を保障しましょう

 

ただし、トラブルが重大な状況では行わない、大人側の態度を一貫させる、よい行動にはしっかり注目するなど、注意して対応することが重要です。


サポート④ 「距離をとる」ことを教える

特定の相手にイライラし手が出る子どもには、時には「仲良く」することよりも「距離をとる」ことを教えたほうがよい場合があります。

 

カッとしたときには相手から一歩離れる、できればその場から完全に離れることなどを具体的に教えます。

 

また、相手から挑発されたりからかわれたりしても、それをうまくスルーする「しらんぷり」のスキルがあると、手を出さずにすみます。

感情と行動の調整に課題がある子どもにとって、自分を守る大切なスキルになります。


サポート⑤ 暴言よりも「あったか言葉」に注目する

暴言がひどい子どもに対して「注意」や「叱責」で対応すると、子どもは注目されたととらえ、さらに繰り返されてしまうことがあります。

 

暴言にはできるだけ見て見ぬふりをして、「あったか言葉」(やさしく、うれしい気持ちになる言葉)に注目してみましょう
子どもが「あったか言葉」を発したら、すぐに「ありがとうって言えたね」などと認めます。クラス全体で取り組むのも有効です。

 

トラブル対応は、その場を収めることだけが目的ではありません。
子どもの安心感を育むサポートを積み重ね、子どもが少しずつ自分らしい力を発揮できるよう寄り添っていきましょう。


もっと詳しく知りたい方へ

本記事は、以下の書籍の内容をもとに編集・作成しております。