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合理的配慮にも活用できる! アダプテッド・スポーツで誰もが主役の楽しい体育

内容紹介

従来の体育は、競技や種目の「獲得」(いわゆるできる・できない)が評価の中心であり、運動神経のよい子どもが注目されがちでした。近年、インクルーシブや多様性という考え方が教育にも浸透してきていることから、ハンディのある子どももそうでない子どもも、皆が主役になれる体育の在り方へのニーズが高まり、本書を企画するに至りました。
「アダプテッド・スポーツ」とは、こういう名称のスポーツが存在しているわけではなく、“考え方”となります。世界的にも比較的新しい概念で、もともとは「アダプテッド身体活動」と訳されていました。個々のニーズにあわせて、用具・環境・ルールなどを工夫して、誰もが身体活動に参加できるようにするための取り組みを指します。日本では導入の際に、馴染みのある「スポーツ」と組み合わせ、「アダプテッド・スポーツ」として広がりをみせています。
本書では、年齢、性別、ハンディを問わず楽しめるアダプテッド・スポーツの考え方をベースに、学習指導要領の内容に沿って、体育の授業で使えるさまざまなバリエーションを紹介し、皆が主役になれる、楽しい体育の実践例を、イラストでわかりやすく解説しています。本書は、合理的配慮にも活用できるものです。運動の効果・効用や評価の仕方なども盛り込み、特別な道具なども不要なことから、授業に取り入れやすい内容です。

編集者から読者へのメッセージ

体育授業の主役は、これまで運動神経のよい子どもたちで占められていたのではないでしょうか。運動が苦手であったり、ハンディのある子どもは、ボールを受け取る係、採点係など、運動ができる子どもとできない子どもで役割分担がなされていませんでしたか。

本書では、こうした運動ができる子ども・できない子どもの役割の固定ではなく、運動が苦手な子どもも得意な子どもも、だれもが楽しめる内容を、用具・環境・ルールを変更することで実現できるアイデアを多数提案しています。

これから求められる体育授業のあり方の一つの像として、是非取り入れてみてはいかがでしょうか。

主な目次

第1章 理論編
第1節 体育の基本的な考え方
第2節 アダプテッド・スポーツとは
感覚機能について
第2章 実践編
第1節 体つくり運動系
第2節 器械運動系
第3節 走・跳の運動
第4節 陸上運動系
第5節 水泳運動系
第6節 ボールゲーム・鬼遊び
第7節 ボール運動系
第8節 表現運動系
第9節 各領域を統合した運動

著者情報

池田千紗先生(いけだ・ちさ)
北海道教育大学札幌校特別支援教育専攻准教授。
2010年より一視同仁会札樽・すがた医院リハビリテーション部にて発達障害児の個別作業療法、小集団療育に携わる。2014年に博士号(作業療法学)を取得し、北海道教育大学札幌校特別支援教育専攻特任講師を経て2017年より現職。外部専門家として特別支援学校・特別支援学級・通級指導教室・通常学級への支援や、特別支援教育に携わる教員の養成を行っている。

安井友康(やすい・ともやす)
北海道教育大学札幌校特別支援教育専攻教授。
1987 年より神奈川県の知的障害児者支援施設にて支援員として勤務。1992 年北海道教育大学岩見沢校講師を経て 2003 年より現職。1998年より日本パラスポーツ協会公認である障がい者スポーツ指導員養成講習会の講師、2010-2017年には同協会技術委員の他、自治体の特別支援教育専門家チームやパラスポーツ普及事業などの各種委員を務める。

山本理人(やまもと・りひと)
北海道教育大学岩見沢校教授
1989年より学校法人高井学園日本社会体育専門学校に専任講師として着任。1998年北海道教育大学岩見沢校講師を経て現職。保健体育科教員およびスポーツ指導者の養成に関わるとともに、外部専門家として地域スポーツクラブの育成にも携わっている。