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気になる子どもが変わる 16の鉄則
三重県立かがやき特別支援学校あすなろ分校の教育プログラム

内容紹介

本書を著したかがやき特別支援学校あすなろ分校は、隣接する三重県立子ども心身発達医療センターとともに、地域の気になる子どもたちの支援を長年行ってきました。本書は、その支援の蓄積を16の鉄則に凝縮し、発達が気になる子どもへのアプローチや対応法をわかりやすく伝えるものです。本書の実践事例では、一見これまでも言われてきたような手法であっても、順序に従い、変わらずに続けていくことで、子どもたちが変わっていく様子がわかります。エビデンスに基づいた16の鉄則は、発達が気になる子どもへの対応に悩む教員へ解決の糸口やヒントを与えます。通常学校での支援の工夫や授業の組立方等の情報も盛り込んでいます。そのほか、発達支援に必要な知識も学べる充実の1冊です。

編集者から読者へのメッセージ

かがやき特別支援学校あすなろ分校の名前をご存知の方も多いと思います。50年を超えて、隣接する医療センターとともに、地域の気になる子どもへの支援を行ってきた学校です。本書は、その支援内容を16の鉄則にまとめ、平易な言葉と実践事例を通じて、わかりやすくまとめたものです。隣接する医療センターとともに歩んだ支援の実績は、エビデンスをもったものであるとも言えます。事実、本校での支援によって子どもたちは変わり、もとの学校生活へと戻っています。

「医療センターと一緒だからできるんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。しかし本書を読んでいただければ、教員の方でも十分にできる支援内容です。そして、子どもたちが変わっていったのは、その支援が医療というエビデンスをもっていたからでしょう。本書でその支援のエッセンスを是非身につけて、実践していただければと思います。

また、これまで言われていたような療育内容も入っていますが、子どもの状態にあわせて、順序立てて、根気強く同じ支援をし続けることで子どもたちは変わっていくことが理解できるでしょう。自信をもって、支援を続けていってください。

本書ではそれ以外でも、発達障害に関する医学的な診断内容も学ぶことができます。また、通常学級でできる支援の工夫や、授業の組立例も掲載していますので、すべての学校において参考になる情報が入っています。

主な目次

第1章 あすなろ分校における支援とは
 第1節 かがやき特別支援学校あすなろ分校について
  1 三重県立かがやき特別支援学校あすなろ分校の概要
  2 医療センターとの連携による指導支援の仕組み
 第2節 三重県内におけるあすなろ分校の役割
  1 センター的機能の位置づけ
  2 あすなろ分校の地域支援のシステム

第2章 実践事例 気になる子どもへのアプローチと対応
 第1節 16の支援の鉄則
  1 16の共通する支援とは
  2 16の鉄則
 第2節 実践事例
  1 心理面
   事例1 気持ちを伝えられず、衝動的に行動してしまう子ども
   事例2 不安や苦手なことがあると、突然怒り出す子ども
   事例3 気に入らないことがあると、すぐイライラする子ども
   事例4 我慢できず一方的に話す子ども
   事例5 空気の読めない、マイペースな子ども
  2 対人面
   事例6 集団参加が難しい子ども
   事例7 人との関わり方が不適切な子ども
   事例8 集団のルールが守れず、自分勝手に活動しようとする子ども
   事例9 友だちや人を傷つけることばを言ってしまう子ども
   事例10 騒がしい集団が苦手な子ども
  3 学習面
   事例11 漢字が書けない子ども
   事例12 衝動性が高い(些細なことで学習が続かない)子ども
   事例13 授業中ぼんやりしている子ども
   事例14 自分の能力を正しく理解していない子ども
  4 身体面
   事例15 身体づかいや手先が不器用な子ども
   事例16 口と閉じて飲食できない子ども

第3章 発達の概念
 第1節 DSM-5の神経発達症からみる発達
  1 発達は六つの軸で評価する
  2 知的能力障害群について
  3 コミュニケーション症群について
  4 自閉スペクトラム症(ASD)について
  5 注意欠如・多動性症(ADHD)について
  6 限局性学習症について
  7 運動症群について
 第2節 DSMとICDについて
  1 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)における発達障害の考え方
  2 国際疾病分類の改訂(ICD-11)と発達障害
  3 発達障害の専門家に求められるアセスメント能力

総括 あすなろ分校の実践と教育 監修のことばにかえて
 あすなろ分校における指導・支援の特徴とその効果
  1 時間的空間的に密接した、教育と医療との連携
  2 ケースカンファレンスの充実(PDCAの機能強化)
  3 感情爆発の子どもたちに特化した教育プログラムが充実
  4 いくつかの課題

コラム
 通常学級でできる支援の工夫 心理面/対人面/学習面
 授業の組立例 【小学部】国語・算数/【中学部】国語/【中学部】数学

著者情報

監修者
松浦直己(まつうら・なおみ) ……第3章・総括~監修のことばにかえて
三重大学教育学部特別支援教育特別支援(医学)分野教授・特命副学長(附属学校総括)、同大学教育学部附属小学校校長(以上、兼任)、福井大学こどものこころの発達研究セン ター客員教授。博士(学校教育学、医学)をもつ。神戸大学教育学部卒業後、神戸市公立小学校教諭を15年経験。その後奈良教育大学特別支援教育研究センター、東京福祉大学を経て現職。言語聴覚士、学校心理士、特別支援教育士スーパーバイザー、専門社会調査士などの専門資格を有する。三重県教育委員会就学指導委員会委員長、平谷こども発達クリニックスーパーバイザーなど。 専門は少年非行、特別支援教育、発達障害、犯罪心理学、近赤外線ス ペクトロスコピーを用いた神経学的評価研究など。

編著者
三重県立かがやき特別支援学校は、三重県立緑ヶ丘特別支援学校、同城山特別支援学校草の実分校、津市立高茶屋小学校・南郊中学校の分教室であったあすなろ分校が再編統合されて、県立特別支援学校として2017年に開校した。現在は、独立行政法人国立病院機構三重病院に隣接する緑ヶ丘校(本校)と三重県立子ども心身発達医療センターに併設する草の実分校・あすなろ分校から構成される。「医療を中心とする多職種・多機関との連携」「治療終了後のスムーズな復籍支援」「他の県立特別支援学校の地域支援の中心的役割」を使命とし、病院に入院する児童生徒の教育をおこなっている。あすなろ分校は、子ども心身発達医療センターの児童精神科病棟に入院中の児童生徒が通学する病弱特別支援学校で、主に「発達障害」や「子どもの行動及び情緒の障害」に関連する児童生徒の教育をおこなっている。本校は、県内における発達障害支援の中核となる学校として、医療と連携し、蓄積した教育実践を地域支援に活かすことが求められている。