メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

在宅医療-治し支える医療の概念と実践-

内容紹介

医療の理念の変化

人口の高齢化に伴う疾病構造の変化とともに、医療に求められる役割が変わってきています。複数の慢性疾患を抱えながら地域で暮らす高齢者や自宅で最期のときを迎えたいと願う高齢者にとって、病院医療に代表される、疾患の治療を最優先に考える従来からの「治す医療」だけでは、自らが望む生活の実現のために十分とは言えません。

「治す医療」から「治し支える医療」へ

そのため、治療を含めた患者のLIFE(生命・生活・人生)という視点から医療を考え、患者のQOLの向上を重視する「治し支える医療」という新たな考え方への転換が求められています。その考えのもと、住み慣れた自宅や地域での療養生活を、医療、看護、介護、生活支援等の多様なサービスとともに支えるのが「在宅医療」なのです。

新たな概念を明らかにし、体系的にまとめたテキスト

現在の医学教育は、病気を治すことを中心とした学問体系になっており、「在宅医療」の概念は明確にはなっていません。本書は、この新たな医療の概念を明らかにし、体系的に整理した本邦初の医学生及び在宅医療を志す臨床医向けのテキストです。

編集者から読者へのメッセージ

人は、年をとるに従い体力が衰え、様々な病気にもかかりやすくなります。例えば「がん」であれば、まずは「入院」して、次に「手術」「抗がん薬」などによる積極的な治療を考えるのではないでしょうか。もちろんそれは正しい選択肢の1つと言えますが、患者によっては、必ずしも最良の選択肢とは言えないのです。特に高齢者の場合は、病状とこれからの人生や生活を考え、本人と家族が何を望み、何を優先するのか、その選択肢は状況に応じて無数にあるのです。本書では、「在宅医療」に関する様々な観点からの解説に加え、臨床経験豊富な著者による「症例」を通じた演習により、在宅医療の実際を知り、状況に応じた対応を考えることの重要性を学ぶことができます。

主な目次

●第Ⅰ部 概論

第1章 在宅医療の理念・意義
第2章 在宅医療の歴史
 -主として制度・政策面から見た流れ-
第3章 治し支えるという医療の概念と構造
第4章 在宅医療における診断・評価と治療・ケア
第5章 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
第6章 看取り
第7章 医学教育から見た在宅医療のあり方
第8章 根拠のある在宅医療とは

●第Ⅱ部 具体的な症例を用いた演習
第Ⅱ部の使い方、症例の舞台
症例1 慢性呼吸不全の在宅医療
症例2 慢性心不全の在宅医療
症例3 認知症の在宅医療
症例4 がんの在宅医療
症例5 神経難病の在宅医療
症例6 独居の在宅医療

※コラムを多数収載

著者情報

【監修・執筆】
横倉義武(ヨコクラ病院理事長、日本医師会名誉会長)
大島伸一(国立長寿医療研究センター名誉総長)
辻哲夫(医療経済研究・社会保険福祉協会理事長)
新田國夫(つくし会理事長、日本在宅ケアアライアンス理事長)

【編集・執筆】
蘆野吉和(山形県庄内保健所長)
太田秀樹(アスムス理事長、全国在宅療養支援医協会事務総長)

【執筆】
長谷川敏彦、髙橋昭彦、三浦久幸、錦織宏、森下真理子、葛谷雅文、水野正明

【コラム執筆】
石本淳也、迫井正深、荒井秀典、石垣泰則、黒岩卓夫、小堀鷗一郎、武田俊彦、佐藤美穂子、草場鉄周、垣添忠生