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「オープントイレ」で保育が変わる
トイレ環境から子どもの発達と主体性を支える

内容紹介

  • ●「オープントイレ」とは、「子どもにひらかれたトイレ」で、乳幼児のための新しいトイレ環境を表しています。「子どもが行きたいときに、一人で行って帰ってこられるトイレ」で、具体的には「近い」「安心」「安全」「清潔」が条件です。
  • ●しかし、保育現場の子ども用トイレの環境は、全くこの逆になっていることが多いのです。保育室から遠い、床がぬれているのでサンダルに履き替える、臭い、危険、汚いなどの要因があり、そのために保育者が子どもを一斉にトイレに連れて行き、順番に用を済ませるまで全員を待たせ、ケガをしないよう、汚いものを触らないよう、目を離さず世話をしなければならない…トイレが大きな負担になっている保育者は大勢いることと思います。
  • ●そこで、思い切ってトイレを改革し、「オープントイレ」にしてみようというのが本書のねらいです。すでに「オープントイレ」にしている7つの園の実例を、豊富な写真で紹介します。オープントイレにすると、保育者の禁止語が減り、子どもの主体的な行動を阻害することがなくなります。排泄を自分でコントロールできることで子どもの自己肯定感も高まります。保育者も安心して見守ることができ、保育そのものが変わっていきます。

編集者から読者へのメッセージ

  • ●こんなに「トイレ」だけの保育の本は、他にないのではないでしょうか? とてもユニークな本が完成しました。企画段階から村上八千世先生の取り組みにワクワクしていましたが、各園に撮影でお邪魔して、環境や設備を見てびっくり、子どもたちが明るくのびのびとトイレに行ったりもどってきたりする様子にもワクワク、さらにはトイレのそばで寝転んだり遊んだりしている様子にびっくり・・・ということで、本書もワクワクとびっくりが詰まっていると思います。ぜひ、乳幼児に関わるみなさまに手に取って見ていただきたい本です。
  • ●第1章は7つの園の実践紹介です。第2章では、著者の村上先生と監修者の馬場さんの「オープントイレ」誕生秘話が明かされます。子どもを大切にした環境について考えさせられます。
  • ●第3章、第4章では、様々な研究や調査をもとにして、子どもの排泄の発達と、子どもの排泄支援に必要な環境を考えます。なぜ、オープントイレがよいのかも、ここでわかります。
  • ●とはいえ、「においや感染症は大丈夫なの?」という疑問もあると思いますし、「トイレを大改修するなんて無理!」という施設の方も多いと思います。第5章には、清潔やにおいの対策、すぐにでも取り組める改善法や、園のトイレ環境チェックリストがあり、明日からトイレ改革に取り組めます。

主な目次

第1章 トイレ環境の改修事例
 序 子どもにひらかれたトイレ=オープントイレ
 〈実践園の例〉
 おおわだ保育園(0歳児、1~2歳児、3~5歳児)
 おおわだ保育園世田谷豪徳寺(0歳児)
 浦和ひなどり保育園(0~1歳児、3~5歳児)
 松原保育園(0~2歳児)
 社会福祉法人仁慈保幼園 多摩川保育園(1~2歳児)
 認定こども園とりかいひがし遊育園(2歳児、3~5歳児)
 やまた幼稚園(3~5歳児)
第2章 対談●保育室のトイレ改革をしよう!
 馬場耕一郎×村上八千世
第3章 子ども主体で排泄ができる環境
第4章 乳幼児の排泄の発達
第5章 トイレ環境のチェックポイントと改善法

著者情報

著者:村上八千世
常磐短期大学幼児教育保育学科准教授
アクトウェア研究所代表、絵本作家
早稲田大学人間科学研究科修士課程修了
アクトウェア研究所の活動で、関東・関西の保育園など子どもの環境に関するコンサルティング、子どもトイレのプランニングや開発を行う。2005年から大阪府門真市のおおわだ保育園の「オープントイレ」を手がけ、こども環境学会賞、キッズデザイン賞を受賞。子どもが主体的にトイレに行ける空間を提案。「トイレ」「こども」「排泄」をキーワードに研究活動を行い、発達心理学をベースとした保育環境の提案を行っている。

監修者:馬場耕一郎
こども家庭庁成育局成育基盤企画課 教育・保育専門官
元 社会福祉法人友愛福祉会おおわだ保育園理事長
元 同法人おおわだ保育園世田谷豪徳寺園長
元 内閣府子ども・子育て本部参事官(認定こども園担当)付 教育・保育専門官。聖和大学大学院教育学研究科幼児教育学専攻修士課程卒業後、社会福祉法人友愛福祉会理事長、厚生労働省子ども家庭局保育課保育専門調査官、関西学院聖和短期大学准教授を歴任。