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保護者をモンスター化させない10の対処法

内容紹介

学校は理不尽な保護者への対応で疲弊している

・学校現場では保護者対応の大変さが増しており、理不尽な要求に学校が振り回されています。その背景には、学校、保護者それぞれの「認知バイアス」が関連しているとのこと。それを是正することから対策は始まります。

心理学・医学、法律などの根拠に基づいた対処法

・本書では、学校で校長職を務めた経験をもつ著者と、スクールロイヤーとしても活動している弁護士により、心理学・医学的な根拠に基づいた保護者の人物特性の理解、法的な根拠に基づいた対処法を紹介します。

やってはいけない10の対処法

・とくに、理不尽な保護者への対応としては、「正解」はありませんが、「絶対にやってはいけない10の対処法」があります。それら10の対処法について、丁寧に理由や原因を解説します。
・校長などの管理職が心得ておくべきことについてもポイントを押さえて詳解しています。

事例を用いて解説

・事例を通して、問題となる対応、取るべき対応をわかりやすく提示。
・スクールロイヤー(弁護士)との連携や、対処法(面談内容の録音の可否など)気になる点もズバッと解説。学校全体の体制づくりも明確になります。

編集者から読者へのメッセージ

理不尽な親の背景にある様々な要因

 著者からはたびたび、実際の保護者からの理不尽な要求について教えていただく機会があり、本にもここにも書けませんが、それはもう耳を疑うようなビックリ仰天ものの要求、恐ろしい脅迫などもありました。普通の常識的な対応や、保護者理解では到底及ばないような深い闇があります。教員がどんどん追いつめられる状況も想像できます。
 これには、松浦先生のおっしゃるように医学や心理学の知識をもって保護者を見てみると、「なるほど!だから、あの保護者はそんな行動をとってくるのか!」とわかることがあります。そんな別視点からの人間理解の力を、本書では手に入れることができます。

打てる手はあります!

 学校がするべきこと、学校がすべきでないこと、これをしっかりと分けて考えて、すべきことにだけ、「チーム学校」で対応し、できないことは警察や弁護士などに相談する、そのように問題を切り分けていくと、すこしずつ霧が晴れて、希望がもてるのではないでしょうか。本書で救われる先生方、学校が増えることを願っています。

主な目次

はじめに こんな保護者いませんか?

第1章 なぜ学校と保護者はすれちがい、対立するのか
第1節 教員と保護者の認知バイアスが問題をこじらせる
 1 教員が休職に追い込まれる現状と原因
 2 認知のバイアスとは
 3 バイアスを衝突させる学校教育や社会の背景

第2節 学校における保護者対応の実際と考え方
 1 生徒指導の限界と教員研修の悪弊
 2 全面的共感と傾聴の限界、教育的枠組みの設定

第3節 スクールロイヤーの役割と重要性
 1 スクールロイヤーの概要
 2 スクールロイヤーの実態
 3 スクールロイヤーの限界
 4 スクールロイヤーの重要性と今後の在り方

第2章 困難事例になるメカニズムと保護者特性の理解
第1節 学校トラブルで困難ケースに発展してしまうメカニズム
 1  学校トラブルになりがちな子どもの特性
 2  学校トラブルになりがちな保護者の特性
 3  学校トラブルになりがちな学校側の特性

第2節 心理学における保護者特性の3つのエビデンス
 1 パーソナリティ障害全般の特性
 2 被害者意識を科学する
 3 負のパーソナリティ「ダークトライアド」

第3章 保護者をモンスター化させない10の対処法(44頁)  松浦先生
第1節 学校側が徹底すべき「してはいけないこと」
 対処法1 文書による回答をしてはいけない
 対処法2 「相手の怒り=こちらの落ち度」とすぐに思ってはいけない
 ●Column 学校は常にダブルスタンダードを強要制させられている
 対処法3 解決済みの問題を蒸し返してはいけない
 対処法4 相手の感情的決めつけに振り回されてはいけない
 対処法5 保護者とのもろくて短期的な信頼関係に囚われてはいけない
 ●Column 昔よりも子育ては難しくなっている
 対処法6 同僚の教員や管理職の批判を鵜呑みにしない
 対処法7 一方の子どもに都合がよいことでも他方の子どもの不利益になることはしない
 対処法8 極端で過剰な要求をする保護者に振り回されない
 対処法9 本質的な問題解決を見失わない
 対処法10 謝罪することで早期の解決を目指してはいけない

第2節 学校側の対応の枠組み

第4章 事例でわかる 根拠に基づく保護者把握と対応ポイント
第1節 いじめの訴えを繰り返す事例
 事例1 いじめの訴えから、関係性がこじれたケース
 1 保護者の特性をつかむ 第2章を踏まえて
 2 対応のポイント 第3章を踏まえて
 ► スクールロイヤーからのアドバイス

第2節 子どもの学力保障について過剰対応を迫る事例
 事例2 中学受験に向け、特別扱いを含む過剰要求をする保護者のケース
 1 保護者の特性をつかむ 第2章を踏まえて
 2 対応のポイント 第3章を踏まえて
 ► スクールロイヤーからのアドバイス

第3節 過剰要求がエスカレートする事例
 事例3 不安が強く、あらゆることを学校に依存する保護者のケース
 1 保護者の特性をつかむ 第2章を踏まえて
 2 対応のポイント 第3章を踏まえて
 ► スクールロイヤーからのアドバイス

おわりに 全国の“アンサング・ヒーロー”に本書を

著者情報

松浦直己(まつうら・なおみ)
三重大学教育学部特別支援教育特別支援(医学)分野教授、同大学教育学部附属学校企画経営室室長。博士(学校教育学、医学)。神戸大学教育学部卒業後、神戸市公立小学校教諭を15年経験。その後、奈良教育大学特別支援教育研究センター、東京福祉大学を経て現職。言語聴覚士、学校心理師、公認心理師、特別支援教育士スーパーバイザー、専門社会調査士などの専門資格を有する。

楠井嘉行(くすい・よしゆき)
弁護士・博士(医学)、三重弁護士会所属。国立大学法人三重大学学長顧問。中央大学法学部卒業、名古屋大学大学院修士課程、三重大学大学院医学系研究科博士課程(公衆衛生・産業医学分野)修了。三重県職員を経て昭和60年に弁護士登録。行政クレーマー、医療クレーマー、モンスターペアレントをはじめとするクレーマー対策に詳しい。地方公共団体のいじめ問題第三者委員に就任するなど、教育行政にも明るい。