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「共感」からはじめる 発達障害のある子どもの支援 教室における行動-情緒の問題を解決する6つのステップ

内容紹介

発達障害のある子どもの暴言・暴力、パニック、ゲーム依存といった行動上の問題の背景には、障害特性、養育環境、対人経験などの様々な要因が絡んだ子どもの情緒面の苦しみがあります。

本書では、行動上の問題の背景を理解し、子どもの情緒に共感して適切にかかわり、効果的な支援を行えるようになる6つのステップを解説します。

子どもの「人間理解」と「支援」ができる6つのステップ

6つのステップとは…
1 認知処理の特異性を知る
2 育ちの軌跡を知る
3 信念体系と行動様式の歪みの連鎖をとらえる
4 子どもとの関係を築く
5 家族との関係を築く
6 支援する

子どもの障害特性や目に見える行動だけでなく、養育環境や対人経験といった「育ちの軌跡」や、それらによって生じた「信念体系」(=物事の捉え方や価値観のようなもの)などにも注目することが特徴です。
発達障害のある子どもに対して、「障害理解」ではなく「人間理解」の観点で向き合うことで、共感的・応答的なかかわりができるようになり、子どもの安心感につながります。
子どもや家庭とのかかわりのポイントや、具体的な支援方法についても詳しく解説しています。

リアルな事例に「共感」できる

また、第3章では、事例に沿って6つのステップの実践方法を解説します。
事例では、子どもの行動や背景にある情緒面の困難を、リアルかつ具体的に描いています。事例理解を通して、「「共感」からはじめる支援」を体感してもらえるような内容です。

編集者から読者へのメッセージ

発達障害のある子どもの行動上の問題は、行動や特性だけを見ていても原因がわからず、子どものことが「わからない」「理解できない」という不安や戸惑いから、子どもになかなか向き合えないということもあるのではないでしょうか。
行動上の問題に至るまでの子どもの心の動きに共感できれば、支援の必要性がわかり、子どもへの向き合い方が変わるかもしれません。

本書では10の事例を取り上げていますが、はじめに事例概要を読んだときと6つのステップで事例を読み解いたあとでは、子どもの行動に抱く印象が大きく変わり、子どもが情緒面で抱えている困難さに共感できるようになるはずです。

本書で体験した「共感」を、実際の支援にお役立ていただければ幸いです。

主な目次

第1章 行動-情緒の問題を解決するための視点
1 発達障害の支援ニーズの高まり
2 行動-情緒の問題を理解するための視点
3 行動-情緒の問題を支援するための視点
4 発達障害と愛着形成
5 行動-情緒の問題を解決する6つのステップ
column 社会のなかでの自己実現

第2章 行動-情緒の問題を解決する6つのステップ
1 認知処理の特異性を知る
2 育ちの軌跡を知る
3 信念体系と行動様式の歪みの連鎖をとらえる
4 子どもとの関係を築く
5 家族との関係を築く
6 支援する
column 発達障害のある子どもの「自立」とは

第3章 行動-情緒の問題を解決する10事例
事例の読み方
1モノに執着する子ども
2 自己中心的で思い通りにならないと荒れる子ども
3 暴言が止まらない子ども
4 体験を共有することが難しい子ども
5 安全感を保つことが難しい子ども
6 挑戦的で負けを受けいれられない子ども
7 さまざまな心身症状を示す思春期の子ども
8 ゲームに熱中しすぎる思春期の子ども
9 勝手な発言で担任とうまくいかない子ども
10 授業中もお絵描きがやめられない子ども

著者情報

植木田 潤(うえきだ・じゅん)
宮城教育大学大学院教育学研究科教授。臨床心理士、公認心理師、特別支援教育士スーパーバイザー。
専門は障害児教育学(発達障害)。年間約40校の小中学校の教員や約10か所の児童館の支援者に対して巡回相談、専門家チームによる支援、事例検討会などを行っている。元独立行政法人国立特別支援教育総合研究所教育相談部心理療法士および研究員。
著書に『学校臨床に役立つ精神分析』(誠信書房、2016(分担執筆))、『精神分析から見た成人の自閉スペクトラム 中核群から多様な拡がりへ』(誠信書房、2016(分担執筆))、『特別支援教育への招待』(教育出版、2019(分担執筆))など。