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見直そう! 保育現場の「なぞルール」
―「あたりまえ」から抜け出せば、子どもはもっとのびのび育つ―

内容紹介

一見何の問題もなさそうな、保育現場の「あたりまえ」。
その保育、ホントに大丈夫ですか?

 「クラス活動はみんな一緒に一斉に」「歌は大きな声で元気よく」「乳児と幼児は時間と空間を分ける」「けんかは『ごめんね』『いいよ』で解決」「片づけをしてから次の遊び」「給食を残さず食べたらほめる」「展示する作品は差が出ないようにする」等々……。
 一見何の問題もなさそうで、むしろ望ましいかのようにみえるこれらの保育の姿。しかし、本当にそうでしょうか? 思い返してみると、「これまでこうやってきた」からと、漫然と行ってしまっていることが大半なのではないでしょうか。
 本書では、そうした「根拠や理由が明確でないにも関わらず、伝統的にくり返し行われる行為やルール」を“なぞルール”として取り上げ、そのルールの背景や何が問題なのかを示し、必要に応じて、見直し変えていくための視点や方法、工夫を紹介しています。

編集者から読者へのメッセージ

 本書は、見た目はライトなつくりではあるものの、実に奥が深い内容に仕上がったと手前みそながら感じています。
 「これまでこうやってきた」という理由だけで、特に根拠や理由を考えることなく、同じことがくり返されていることはよくみられます。本書では、「根拠や理由が明確でないにも関わらず、伝統的にくり返し行われる行為やルール」を“なぞルール”と定義しています。例えば、「けんかは『ごめんね』『いいよ』で解決」という項目を収載しています。確かに、その場を収めるにはよいルールなのかもしれませんが、そこに子どもたちの気持ちはあるでしょうか? 「これで揉めごとは終わりね!」という、大人(保育者)側の事情や押しつけが含まれていないでしょうか?
 近年、保育では「評価」が求められるようになっています。それは、ともするとネガティブな印象で受け取られがちですが、“なぞルール”を発見し、その改善をもとに行うことを評価の一端ととらえると、前向きに考えられると思います。本書を活用して、ご自身、または自園の保育を振り返り、楽しみながら、改善に向けたアクションに着手していただければ嬉しく思います。

主な目次

Part1 保育活動のなぞルール
①クラス活動はみんな一緒に一斉に/②歌は大きな声で元気よく/③行事の後は思い出画を描く/④絵の具は必要な色だけ準備する/⑤5歳になったら竹馬チャレンジ/⑥園行事に不可欠

Part2 遊び時間のなぞルール
①「遊び」も時間内に終わらせる/②乳児と幼児は時間と空間を分ける/③コーナーの玩具は持ち出し禁止/④ブランコは10数えたら交代/⑤片づけをしてから次の遊び/⑥凧あげ、コマ回しは1月の遊び/⑦けんかは「ごめんね」「いいよ」で解決

Part3 生活におけるなぞルール
①クラスの1日は朝の会からスタート/②活動前にはトイレタイム。並んで順番に/③給食を残さず食べたらほめる/④眠くない子どもも全員でお昼寝タイム/⑤できたことを言葉でほめて伸ばす/⑥色分けは、男の子は青系、女の子は赤系に

Part4 保護者を意識したなぞルール
①どの子どもにも同じ経験をさせる/②ドキュメンテーションはクラス全員をのせる/③展示する作品は差が出ないようにする/④連絡帳は、とにかく記入して返す/⑤保育参観はいつも通りの保育を行う

Part5 保育者の役割・考え方のなぞルール
①楽しい遊びを提供するのは保育者の役割/②主体性を育むには手や口を出さず見守る/
③積み上げたい経験を何よりも大切にする/④壁面装飾は保育者の手作りで/⑤乳児から幼児への進級接続は3月/⑥保育もPDCAでまわす

著者情報

石井章仁(いしい・あきひと)
大妻女子大学家政学部児童学科准教授
大学卒業後、学童保育指導員、保育士を経て、東京家政大学大学院修士課程修了。その後、東京YMCA社会体育・保育専門学校専任教員、城西国際大学福祉総合学部福祉総合学科助教、千葉明徳短期大学保育創造学科教授等を経て現職。
現在、複数の保育所、認定こども園、幼稚園で園内研修を定期的に行っている。令和3年度厚生労働省「地域における保育所、保育士等の在り方に関する検討会」構成員。著書に『エピソードでわかる! クラス運営に役立つスキル』(中央法規出版)などがある。