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コーソクくん、福祉サービスを歩く withステッキ

<連載9> 在宅介護の切り札「小規模多機能型居宅介護」 その3

 『小規模多機能型居宅介護』と初めて聞いて、どんなイメージをもちますか? ボクは、いろんな介護をちょこっとずつ手伝ってもらえる小さな施設のことかな……みたいな印象でした。
 でも「えがお」の田中絵理施設長の話を聞くと、だいぶニュアンスが違うんですね。
 「小さい規模で、限られた人数の利用者さんに24時間切れ目なく介護サービスを提供することで、それぞれの利用者さんとしっかり向き合えます。小さいからこそ、その方々に合ったきめ細やかな支援ができるのですよ」

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 田中施設長は、「えがお」の前は、認知症対応型デイサービス(通所介護)でお仕事をしていたそうです。
 「『デイサービスを延長して、そのままここに泊まれたらいいのに』という声が利用者さんのご家族からも出ていましたが、それができないのが残念でした」
 デイサービスでは、車で送迎はしてもらえるけど利用時間は決まっているし、ドア・ツー・ドアが原則で、スタッフが利用者のお宅に入ることはできません。でも小規模多機能だったら、必要な場合、お迎えに行った職員がお宅に入って着替えを手伝ったりすることもできます。


 「えがお」の場合、朝8時から「通い」で来て朝食をとる人もいれば、のんびり午後1時頃やって来る人もいる。施設の送迎車を利用する人ばかりではなく、一人でしっかり通ってくる人もいれば、家族に送ってもらう人も。人それぞれの生活スタイルが大事にされているのです。
 家族にとって安心なのは、緊急時にフレキシブルに対応してくれること。仕事でどうしても帰宅が遅れるときなど、利用者さんは「えがお」で過ごす時間を延ばして、夕食をとりながら家族を待っています。もし家族が突然、病気で入院して、利用者さんの行き場がなくなってしまっても、「えがお」で寝泊まりができるのです。


写真1
介護スタッフがやさしく介護してくれます


 ただし『えがお』の場合、泊まれるのは1日5人まで。誰もがいつでも好きなとき、自由に泊まれるというわけにはいきません。だからこそ、田中施設長が大事にしているのが、家族との話し合いであり、信頼関係だとか。
 「『えがお』は住まいではありません。ご本人にとって一番大切なのはご自宅で送る生活。工夫してできることはやっていただきながら、ご家族が担えない分を『えがお』が支えていく」(田中施設長)というスタンスを家族に十分理解してもらい、それぞれの家族みんなで、地域に小規模多機能型居宅介護「えがお」を根付かせていこうというわけですね。
 利用者さんが創ったもので「作品展」を開いたり、介護保険や認知症の情報をわかりやすく伝えていく等、地域のなかで「えがお」がやりたいこと、やれることはたくさんありそうです。


 ただ抱えている課題もじつはあって、制度的に「利用者の方の生活をきめ細かく支援していくのに十分なスタッフを配置すると、今度は運営が厳しくなってしまう」こと。チビでも、いやチビだからこそ可能性がいっぱい詰まっている小規模多機能なのですから、これからもっともっと進化していってほしいですね。

写真2

医療法人財団 アカシア会 小規模多機能型居宅介護 えがお
埼玉県三郷市早稲田3-26-9 ℡048-950-7325

 次回の更新予定は10月19日(金)です。


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プロフィール
コーソクくん
(脳梗塞& 高次脳機能障害)
1951年生まれ。大学卒業後、フリーのライターとしてAV機器評論を行う。著書は約30冊。2008年に脳梗塞を発症し、半身マヒに。2009年、急性硬膜下血腫で手術。埼玉県三郷市にて高次脳機能障害と共存しながら新たな暮らし方を模索中。

*コーソクくんの旧連載(『ボクは高次脳機能障害』)をご覧になりたい方はこちら

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