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落合敏の「介護は楽しみながら」

記録は宝の山

 子どもとは、無邪気でかつ勝手なもので、親に育てられたときの記憶があまり残っていない。
 ところが、親の子育て日記をみると、親がいかに自分を大切に育ててくれたかがわかる。病気で苦しんでいたとき、進路で悩んでいたとき、いちばんあたたかい愛情を注いでくれたのは母親であった。
 子どもを育てるのはたいへんでも、親は子どもから日々楽しみを得ている。「子育ては自分の生きがい、子どもさえ元気でいれば何も要らない」とは母の口癖だった。

 子育てをしなかった私にとっては、母の介護が点から授かった貴重な時間と考え、「介護は楽しみながら、子育てのように」すれば、きっと介護した日々が後ですばらしい思い出になるのではないか、そしてその日々を残しておきたいと、記録を綴り始めた。
 4年間で11冊、まさに宝の山である。

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 記録の基本は、起床時から就寝時までの実際を具体的に書くことにした。
 その1日例はこんな感じだ。

【○月○日(○曜日)天気】
6:00 起床。排泄介助、尿(+)、便(-)、検温36.5度。清拭(顔・手・腕などを熱い蒸しタオルで拭いた後、化粧水・乳液をつけ、薄化粧をする)。

7:30~8:00 朝食。ごはん、味噌汁(豆腐となめこ)、巣ごもり卵、シラス干し、トマトとカブのおろし和え、果物(リンゴ)を完食。お茶200cc。会話多い。

9:00~10:30 車いすで庭を散歩。看護師さんたち来訪のためベッドに戻り、約1時間リハビリを行う。健康状態のチェックあり。血圧120/60、体温36.6度、脈拍70、順調とのこと。リハビリ前、排泄介助。ポータブルにて、尿(+)。リハビリ後、水分200cc補給。

12:00~13:00 昼食。鶏肉(つくね団子にする)と野菜、キノコが入った煮込みうどん、苺とバナナのヨーグルト和え、ほうじ茶200ccを完食。排泄介助、尿(+)。

15:00 おやつ。羊羹と抹茶。近くにいる妹2人が来訪。いっしょにお茶を飲みながらおしゃべり。昼寝は中止。

18:00 夕食。茶がゆ、まぐろと鯛の刺身盛り合わせ、おだまき蒸し、ホウレンソウの白菜巻き、麦茶200cc完食。来客もいっしょに食べる。

20:00 入眠前足浴。排泄介助(ポータブル)。熟睡。

24:00 排泄介助(オムツ)、尿(+)、便(-)。

 この介護日誌は、私が留守をするときにヘルパーさんに伝えたいことを書き留めた「連絡ノート」としても役立った。また逆に、ヘルパーさんからの連絡事項が記入されることもある。主治医も身体状態や病気の早期判断に活用してくれた。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
落合敏
(おちあい とし)
栄養学博士。千葉大学講師、茨城キリスト教大学教授などを経て、現在NHP OCHIAI Office代表。「おもいッきりテレビ」をはじめメディアに出演多数。2000年~2004年の4年間、実母を介護した経験をもとに、介護者の視点に立ったお年寄りの食事に関する書籍や介護日誌をまとめたものを上梓。
栄養学博士 落合敏の栄養学研究所 http://www.nhp-ochiai.jp/
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