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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

アリセプトの登場

 新しい年を迎えて幾日が過ぎました。厳しい寒さが続く新年ですが、毎日を大切に過ごしていきましょう。ことに、介護をなさる方は自分の体と心の健康にお気をつけ下さいますようお願いいたします。

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 認知症の原因疾患のうちで最も多いのはアルツハイマー病です。病気の本態も次第に明らかにされつつあります。そして、治療薬の開発が進められています。何といってもこれがアルツハイマー病の患者さんや家族が最も期待されるところです。しかし、現在でも病気の進行を抑制する薬があります。約10年前には全くなかったのですが、これは進歩といってよいでしょう。
 そのお薬の名前は、アリセプトといいます。1976年頃、アルツハイマー病を患った方々の脳は、アセチルコリンという神経伝達物質が減少していることがわかりました。この物質は記憶を司っており、これを間接的に増やす物質が発見されたのです。それが塩酸ドネペジルです。アリセプトは、この塩酸ドネペジルを主成分としたお薬です。
 私は治験統括医師として全国の専門医の方々に協力していただき、多数の症例を分析した結果、病態の進行を止める客観的な根拠が得られました。そして1999年12月、本邦で使用の許可をとりました。
 アリセプトは根本治療薬ではなく、進行を抑える対症薬です。しかし、それまで認知症の患者さんに処方するお薬は何もなかったのですから、医師として薬ができたことはたいへん喜ばしいことでした。
 アリセプトは、1日1回、1錠服用します。まず黄色の錠剤(3mg)から開始して、1~2週間後に白色の錠剤(5mg)になります。最初に薬の量をおさえているのは、薬を体に徐々に慣らしてゆくためです。
 主な副作用は2つあります。第1は、服用を始めた頃に、軽い吐き気、嘔吐、軟便ぎみの下痢等がおこることがあります。第2は、落ち着きがなくなり、いらいら感や興奮等がおこります。これらの症状は、服用を中止すると軽快していきます。
 効果が高いのは認知症の初期と言われていますが、最近10mg錠が認可されて、高度になっても有効なことが確認されています。
 具体的なアリセプトの服用の仕方や副作用についてなどは、主治医や薬剤師に相談してください。アリセプトを上手に服用して認知症の進行を遅らせ、コミュニケーションを良くする一助となることを願っています。


コメント


お薬について詳しい事は、全く無知ですが、第1副作用の訴えは近所のアルツハイマーのお婆ちゃんや施設利用者様から、よくお聞きしました。
第2の症状も、目つき等…いつもと違う様子が見られ、今思うとそれも行動変化の前兆ともいえるのかもしれませんね。お薬の管理は医療チームが行っていますので、急に投薬中止になっても原因を知らされる事は少ないのでお聞きすると、高齢者の場合、副作用に苦しむ姿を見るのが可哀想、薬を飲んでも進行は止める事が出来ないなら、もう年なので楽な日々を過ごさせてあげたいと希望され服用中止する御家族も多いそうです。認知症を諦めたくない気持ちと、傍でケアをする者として薬の副作用に苦しむ姿を見たくはないという家族と同じ気持ちになりますので複雑です。

しかし、アリセプト以外にも朗報があり、アリセプトの効果が頭打ちになってもフェルガードの効果は続き、期待が大きい健康食品も注目されていますね。何でも、米ぬかに多く含まれているとか…確か、別のサイトで長谷川先生も試飲されておられると知りました。
2010年1月21日Yomiuri Onlineに佐賀女子大学・長谷川亨教授が、老化が進み神経細胞の働きが弱くなるとアルツハイマー病を引き起こす「ホモシステイン酸」が脳の神経細胞死を招き、喪失体験やPTSD(心的外傷後ストレス障害)など強いストレスが持続的に続いた際にその有害物質が増える事を突き止められ、ホモシステイン酸とアミノ酸代謝物を減らす為、抗がん剤に使われる貝類のたんぱく質をホモシステイン酸と結合させて開発したワクチンの記事や、埼玉医大・森隆助教授の国際チームがアルツハイマー病の治療用ワクチンを皮膚に塗布したり、パッチにして添付してお薬を吸収させる物質も開発したという記事も拝見しました。
また、東京大の石浦章一教授がアルツハイマー病の原因物質とされるたんぱく質「ベータアミロイド」の遺伝子をピーマンに組み込み、その葉っぱを食べせる事で脳に蓄積したベータアミロイドを約半分に減らす「食べるワクチン」の開発に繋がる研究も報告しておられました。

縁の下の力持ちとなっておられる研究者の存在も知り未来に期待出来ると共に、お薬は服用方法によって左右されるので、とても難しそうな分野だと感じました…私も色々な事を知りたいので、自分のペースで勉強しております。
私の立場で出来る事は、多くの方に認知症という病気を理解して頂く事と、高齢者や認知症の方に喪失感などのストレスを抱え込まない様に明るい日々、平穏な日々を過ごして頂ける様、寄り添いながら一緒に生活(勤務)する事です。
今後とも、私達に御指導のほど宜しくお願い致します。



投稿者: 玉本あゆみ | 2010年02月04日 20:48

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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