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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

挨拶はコミュニケーションの始まり

 人と会ったとき、別れるとき、朝起きたとき、夜ベットに入るとき……。私たちはその折に応じて挨拶をします。これはとても大切なコミュニケーションの一つだと思います。そして言葉だけでなく、手をあげたり、微笑みかけたり、いろいろなジェスチャーをまぜてメッセージを送ることもよくしています。これも親しみや好感を相手に伝えるうえで大切です。

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 家族の間でも、挨拶は自分の想いを伝える大切な手段です。わが家では、前の晩に些細なことで口論をしても、翌朝には必ずどちらかが先に「おはよう」ということにしています。
 認知症の方とお話をすすめてゆくとき、状況によっては工夫が必要なときがあります。「独りで暮らしている認知症の方を訪問介護等でうかがうときには、どのように接していくのがよいのでしょうか」。このような質問を介護専門職の方から受けたことがあります。
 まず通常、誰でも訪問したときに挨拶をします。明るい口調で自分の名前をつげて、そして、訪問の目的を話します。そしてこちらが何かを提言するよりも「何か困っていらっしゃることがありませんか?」とか「お身体の調子はいかがでしょう?」といった“聴く”という行為を優先してみます。ゆっくり話すこと、目をみて話をつづけてみること、答えを待つ姿勢、穏やかな気分で接すること、あたたかい微笑みで話してみることです。
 それでも拒否されることもあるかと思います。「うるさい、帰れ!」といった表現にあっては、「はい、わかりました。またうかがいましょう」といってあっさり引き下がるのも、少し粘ってみるのも、その状況次第です。
 しかし、あきらめないことです。拒否が強い時には、2人で訪問してみるのもいいと思います。センター方式(認知症の方およびそのご家族の暮らしを大切にし、ケア関係者がこれを継続的に支えていくための共通のケアマネジメント方式。認知症介護研究・研修3センターで開発)のアセスメントシートを使いながら、少しずつその方についての情報をケアのための資料として積み上げてゆく工夫をすると、うまくいったという事例もあります。ここは専門職として工夫のしどころだと思います。
 家族の方でも状況の違いはありますが、挨拶に始まる対応の心には共通したものがあると思います。いずれにしても、挨拶はコミュニケーションの始まりであることは確かですね。

 いよいよ年末の挨拶ということになりました。皆さま、本当にお疲れさまでした。よいお年をお迎えください。


コメント


認知症介護に限らず対人関係(家族に対しても)には心のゆとりが大切ですね。時間があっても心にゆとりがなければゆったりとした雰囲気が作れず、利用者の思いが通じないという結果になることもあるし・・。やっぱり時々自分にごほうびをあげよう。そして心豊かな自分になろうと思いました。


投稿者: 考えるイルカちゃん | 2007年12月29日 13:35

挨拶…アイコンタクト…笑顔!笑顔!(^-^)
(顔文字を入れると失礼だな…と思いつつ入れちゃいました。申し訳ございません。)愛情一杯の心…とっても大切な事ですよね!! 非コミニュケーションも、色々な気持ちの送受信ができます。 挨拶でお伝えしなければいけない大切な事があります。講演会で何度かお目にかかりましたのに、御挨拶が出来ませんで大変申し訳ございませんでした!! 我が家も親子喧嘩をした時は、原因を作った方が何らかの反省を示します。私の場合は素直に「昨日はごめん…言いすぎた。」と発しますが、母は私の携帯電話に「何か食べたいものある?」と用事を作って架電してきます。父や兄は私に素直に謝ってくれましたが、父⇔兄⇔母は非コミニュケーションでいつの間にか仲直りしていたようです。3人には自営業という共通の切磋琢磨できる場所があったからかもしれません。私は訪問介護の世界は経験した事がありませんが、講演会で偶然、隣に座った人や、試験会場で知り合った人、会場の行き方を聞いた方が、たまたま受験生で訪問介護の方だったので、皆さんから私が知らなかった経験や御苦労をお聞きした事がありました。活字からも知ることが出来ました。医師もナースもケアマネも訪問介護の方も「うるさい、帰れ!」なんて言われる事があるのですね…正直、凹んじゃいますね。施設では、スタッフが交代で様子を見に行ってはコンタクトをとる事もあります。名づけて「時間差攻撃」と呼んでいます。実際に攻撃する訳ではございませんが…(笑)相手に共感したり、相手の意思を導く様な聞き方や傾聴の姿勢も難しいですが、とっても大切な事ですよね。それも、経験の積み重ねなので、長谷川先生の接し方や学べる皆様にも御教授頂きながら積み重ねて参ります。
チームプレイにも色々なパターンや工夫は必要ですね。私もリラックスしながら頑張ります。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年01月31日 20:34

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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