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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

暑い日には水分の補給を大切に 脱水症その2

 先週に引き続き、夏に高齢者が特に気をつけなければならない症状である脱水症についてお話します。

●脱水症を防ぐためには
 人はただ寝ているだけでも、1日1リットル近くの水分が蒸発するといわれています。暑い夏ではそれ以上でしょう。だから、寝たきりの高齢者も十分に水分をとる必要があります。
 脱水症を防ぐためには、喉が渇く前にこまめに水分を補給することが重要です。体重によっても個人差がありますが、最低でも、1日1200ccくらい(持ち歩く大きさのペットボトルで2本分程度)の水分を取るようにしましょう。
 それにもまして、脱水を防ぐ基本は食事をしっかり食べることです。夏は食が細くなりがちなので、3食しっかり食べて基礎体力が衰えないように注意しましょう。もちろん、食事を食べることで水分も補給できます。

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 飲み物に関しては、暑いからといって冷たいものばかり飲んでいると体によくありません。40度くらいの飲み物が胃にもやさしくてよいかと思います。また、いつも水ばかりでは飽きてしまうので、その方の好きなもの(ジュースやゼリーなど)をカロリー過剰にならない範囲でさしあげるのもいいと思います。
 先週も書きましたが、お年寄りは喉の渇きに鈍くなります。そのため、体は水分を欲しているのに、水分を取りたがらない場合もあります。なので、その方の好みに合わせた飲み物を用意するのも、水分をとってもらう方法の1つです。

●脱水は万病の元
 水分の摂り方が不十分だと血液が濃くなって固まりやすくなり、脳卒中や心臓病の原因にもなりかねません。
 また、人間は尿から身体の老廃物を外に排出しますが、身体の水分が不足して腎臓の血液量が減ると、尿を排出することができなくなります。いくら汗をかいても体の老廃物を出すことにはなりませんので、老廃物が身体の中に溜まってしまいます。つまり、きまった量の尿を出すことはとても大切なのです。

 これから夏本番です。水分が不足しがちになります。お年寄り、ことに認知症の方は渇きに対して感じ方が低くなっていますから、脱水に十分に注意して、暑い夏を乗り切りましょう。


コメント


そ~なんです。お年寄りは、喉の渇きに鈍くお勧めしても、なかなか…。
私の工夫(1)
普段からコミニュケーションを図り信頼関係を真っ先に気付く事から始め、危機感を受け入れやすい表現でお伝えする事です。
単純でまるで保母さんのみたいだと、お叱りを頂くかもしれませんが、人一倍寂しがり屋さんでスタッフに対して独占欲の強かった脳血管性認知症のある方が、容体が急変し入院をされました。何とか持ち直して施設へ御戻りになられてから、更に独占欲が増し、小枝の様な腕や足に点滴三昧の日々で、せん妄も発生しておられました。ベッドで一人で過ごす事を嫌がり、体は辛かったであろうに離床を望み、リビングで一緒に過ごす時間が増えました。彼女は点滴を痛がり、今から思うと「死」への不安感で一杯だったのであろうと拝察致します。ここで必要なのが水分補給です。彼女に応じた表現を使いました。
「これを飲まないと、また点滴しないといけないよ~一杯、い~っぱい飲んでね。早く元気になろう!」と天を仰ぐ様に両手を大きく広げて、ボディランゲージを使いました(お遊戯の様に)すると、彼女から笑みがこぼれ「一杯、い~っぱい」と、か細い声で言いながら、お遊戯もどきを真似され、私の誘導法は単純かもしれませんが、それをする毎に頑張って飲もうとされ量も少しづつ増えてきました。残念な事に脳梗塞が再発し、余命幾許もない方でしたが、最後まで諦めたくなかった私の心でもありました。
私の工夫(2)
夏は(冷たすぎますが)氷皿を有用活用します。
施設のシステム上、紅茶やコーヒーは決まった時間しか御出し出来ないので、氷皿にポカリや残ったジュースなどでアイスキューブを作り公平に提供します。
トロミを使用している方には一口サイズのゼリーを作ります。

私の工夫(3)
「お医者さんや看護婦さんが、これを飲まないと病気になるって言ってたよ~」と言い、医療職を巻き込みます。
 
御家族にも御協力を求め、水分の多い果物や好みの飲料水・ゼリーやプリン、アイスクリームを御持ち頂ける様にお願いします。私は御家族がお見えにならない時間は御家族の代わりに愛情を注いでおりますが、御家族の愛には負けます。(色々な御事情を抱えた御家族がいらっしゃいますが)御家族が来所され居室で団欒の一時を過ごされておられる時は、御家族に叱られながらも一緒に飲んだり、食べたりしておられます。
御家族の愛情に近い愛情をもつ事が1番の効果があるのかもしれません。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年01月12日 05:16

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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