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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

暑い日には水分の補給を大切に 脱水症その1

 これから日本列島は暑い季節になります。カンカンと照りつける太陽とにらめっこするような毎日になるでしょう。この季節に注意することは脱水症です。脱水症は命に関わる危険な症状ですが、特に高齢者は脱水症になりやすいので、注意が必要です。そこで、今回は脱水症についてお話することにします。

●高齢者は脱水症になりやすい
 なぜ、高齢者は脱水症になりやすいかというと、年をとってくると細胞が水をためる力が弱くなるからです。若い人の細胞は水分を周りに集める力があるので肌にも張りがありみずみずしいのですが、年をとると水分をためておく力が少なくなってカサカサになります。皺ができるのはこのためです。20歳位では体の細胞の中の水分は60%強ありますが、70才代になると4~5%減ってしまいます。

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 加えて、年をとると口渇といって、喉の渇きに鈍くなる傾向があります。身体の方は100の水を求めているのに対して、40位飲むともう渇きを感じなくなるのです。そのため、水分補給を忘れてしまい、脱水症になりやすいのです。だから、高齢者が喉の渇きを訴えた時には、すでに水分が少ない状態といえます。高齢者の場合、喉が渇かなくても、こまめに水分を補給することが大切です。

●もしも、脱水してしまったら
 喉が渇いたという直接的な訴えがなくても、皮膚や口唇、舌の乾燥、皮膚の弾力性の低下あるいは微熱などがある場合は脱水を疑います。また、何となくぐったりして元気がない、ぼんやりして反応が鈍いというような軽度の意識低下がある場合も脱水症の可能性があります。
 このような状態を発見したら、即座に水分を補給する必要があります。その場合、何を飲ませるかが重要です。水は他の栄養素に比べると遅く吸収されるといわれています。栄養素はほとんど小腸で吸収されますが、水は大腸で吸収されるからです。だから脱水をおしているときや大汗をかいた後で水を飲んでも、即座に身体の要求に応えられないのです。
 脱水が疑われる場合は、胃で吸収されるソーダ水やスポーツドリンクを摂取するといいでしょう。水しかない場合は、レモンを少し入れるとか、過剰にならない範囲の塩分や糖分などで、何らかの味をつけた水を飲ませましょう。
 いずれにしても、汗をかく前に十分に水分を取っておくことが本当の身体のニーズに応えることになります。日ごろからのこまめな水分補給が大切です。
 では、次週は、脱水症を未然に防ぐためにはどうすればいいかについて、詳しくお話します。


コメント


日頃から、脱水予防の為にも水分摂取はお勧めするのですが、スポーツドリンクは常備しておりますが施設側(施設にもよりますが)で御用意できる物は限られてきます。
御本人の好きなドリンクやアイスクリームを積極的に持って来て下さる御家族には助かりますし、アイスクリームは好んで食べられます。しかし、どこの御家族も持って来られるとは限りませんし頻繁にお持ち下さいとも申し上げる事が出来ません。
アイスが当たらない方は羨ましそうに見ておられ、口癖の様に「何か頂戴」と両手を重ねて愛らしい表情を見せます。そこで、氷皿の中からキューブアイスを取り出し、御口の中で邪魔にならない様な大きさにする為にお水で溶かして差し上げると、これが大好評で御本人にとっては多すぎずプレッシャーとならない量なのか、飴を舐める様に御口の中で楽しまれておられました。微量なりとも、水分補給になり嚥下刺激になるな~と思い、誤嚥の危険性のない方以外の方々には平等に差し上げる事にしております。万が一、誤嚥になっても溶ける物だから大丈夫かな…と思い医療職からもストップがかかった事はありません。かき氷を思い出しては「蜜ないの?」と言われる方もおられ、そこから回想法が始まります。御みそ汁も全量摂取される方は珍しく、施設の運営上の取り決めという縛りはありますが、楽しみながら摂取出来る工夫もしていかなくてはならないと感じ、アイディアを色々な日常から探し出す様に心がけております。無理強いは回避したく、失禁を気にしたり、拒否する原因が隠れている事もあるので難しいですね。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年01月11日 07:29

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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