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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

デイケアをはじめよう! その7~さらなる広がりをもって

 あるときのことです。家族の1人が「先生には、あらかじめご相談しませんでしたが、実は先週末にグループのメンバー全員で箱根まで温泉旅行に行きました。いつも自分の家族だけで温泉に行っても、部屋にある内風呂でがまんしていました。でも、今回は介護者に男性も女性もいましたので、みんな大きな広い広い温泉につかることができました! そして、無事に帰ってくることができて、みんな喜んでいました」という話でした。
 また、こういうこともありました。1人のご家族が、自分の自宅でも、規模は小さいけど集まって話をすることくらいならできると考えて、自宅に近所の認知症の人と家族とが集まる会をひらくことにしました。
 その際、念のために保健所に届けた方がよいと思って、届けに行ったところ、保健所の人が驚いて、「それは保健所の仕事だよ」とおっしゃって部屋を1つ借りることができ、そこで行うことになりました、と報告があったのです。つまり、市民発のデイケアが行政を動かしたともいえると思います。私は感激したことを覚えています。

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 さて、とても好評だったデイケア「水曜会」は、1983年から13年間つづけることができました。しかし、大学病院は特定機能病院として制度上位置づけられて中止せざるをえない状況になりました。
 とても残念に思っていましたが、私の後任の青葉安里教授や山口登教授が引き継いで、認知症の人と家族によるコーラス合唱の集まりに生まれ変わることができました。
 定期的に集まり、二期会のOBであった専門のバリトン歌手の小林秀史さんという方に指導していただきました。そしてフロイデコールと名づけてベートーベンの第9交響曲第4楽章のあの合唱曲を練習し始めました。その他小学校唱歌なども手がけて演奏会をささやかにもったりしました。専門家の小林さんによるとアルツハイマーの方の合唱は声の音色が澄んでいて通常の合唱とはちがった雰囲気をつくっているそうです。
 それから、このデイケアにたずさわったスタッフのなかから、次々と認知症ケアの専門家が輩出されたのです。たとえば病棟師長の五島シズさんは認知症ケア研究会の会長になり指導的な立場で今も講師になって活動をつづけています。今井幸充医師(当時講師)や加藤伸司心理士は専門領域の大学教授、小野寺敦志心理士は私と同じ職場のケアの研究職について、それぞれ認知症ケアの推進に努めています。
 あれからもう20年余がたちました。ときどき、かつてのデイケアや病棟で認知症ケアにたずさわった医師、心理士、そして看護師の人たちに出会います。そして、多くのかつてのスタッフが、今は各地で認知症ケアのリーダーになって活躍しています。
 介護をされている家族の方は毎日がご苦労と思いますが、ケアに従事する人や関係する方々が温かい目で支援をしようと志していることを思っていただき、どうぞ困っていることをどんどん表明してください。必ず開かれた道が用意されてくると確信しています。

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※このブログは私の回想の形で進められていますが、一部の詳しいことは、私の著書『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書房)から引用しています。
『名医に学ぶ 認知症診療のこれまでとこれから』長谷川和夫=著 永井書店、2,940円、2006年


コメント


御家族が御自分の担当の専門職に色々な不満や専門職の配慮に欠けた応対を指摘した言葉も色々なサイトからも拝見させて頂いております。直接言いにくいからなのでしょうか、どこかに活字として残す現状も本当の意味での解決には繋がっていないのではないかと思い、複雑な気持ちになります。
介護者にも温かい支援を精一杯してさしあげたといと願い両手を広げておられる方もいらっしゃれば、仕事中に持ち場を離れて私語をしている割には業務をこなす事で1日を終えてしまう人、余裕のない人等、様々で指導者も嫌われたくないというデメリットを恐れているのか、言動不一致だから人に説得力がなく統率力がないのか、心強い人が少なかった現状に残念に思う事もありました。悲しいかな…一つ一つ見返りがないと誰かの為に何かをしない人もいらっしゃるのも現実の様です。私は、求める見返りがあるとすれば、相手の心から喜んで下さる「笑顔」でしょうか。私自身も御家族や見返りを求めない熱心な方(最近は牧師様でした。今後、私の弱点であった人の死にどの様に向き合うべきも教えて頂きました)の御好意を頂戴した事が何度かあったので、心が安らいだ経験があります。そんな安堵感を誰かにお分けする事ができれば…と志を高く持っております。
頭の下がる様な雲の上の方もいらっしゃれば、溜息をついてしまう人もいて、世の中には色々な方がいらっしゃるな~と感じます。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年01月10日 07:52

以前、長谷川先生のお話を聴いたことがあります。その時に認知症になられたご本人が自分がわからなくなっていくいく過程を詩にされて、それを先生が朗読されました。音楽家の方のようで、音にたとえられ、頭の中でいろいろな音が勝手になる、といった内容だったと思います。感銘をうけたのですが、その詩をもう一度目にしたいとおもったのですが、どのようにしたら長谷川先生にお伺いすることができるかと方策を考えております。教えていただく手段がありますでしょうか?
受講したのは、H15年10月安田生命社会事業団主催の高齢者フォーラムです。もし伝がありましたら、教えて欲しいと思います。


投稿者: 小松京子 | 2010年01月30日 12:53

小松京子さま

いつも「けあサポ」を閲覧いただき、ありがとうございます。
お尋ねの詩は「祈りとともに」天野文子さん編集の書籍に収められている物と存じます。
詳しくは下記のアドレスまでメールでお問い合わせください。
terada@chuohoki.co.jp


投稿者: 管理者 | 2010年01月31日 19:45

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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