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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

デイケアをはじめよう! その1~デイケアをはじめようと思った理由

 これから数回にわたって、私が聖マリアンナ医科大学病院で、国内ではじめて認知症の方を対象にした専門デイケアをつくったときのことについて、話してみたいと思います。
 1983年当時、私は同病院の神経精神科の部長として、外来の診療で認知症の患者さんの治療に従事していました。外来はたいへん混み合っていて、午前8時30分頃から午後1時過ぎまでに、およそ30人の患者さんを休憩なしで診ていました。
 認知症の方の治療では、ご本人の診療はいうまでもありませんが、ご家族の方から生活の中での様子をお聞きすることが非常に大切なことになります。暮らしの中で、どんな困難があるのか、夜間になって落ち着いて休めるのか、食事から入浴、そして排泄まで自立しているか、あるいはどんな支援が必要かなどをお聞きしています。

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 このように、認知症のご本人の診療に時間がかかるため、ご家族の方の悩みや不安に答える時間が充分にとれませんでした。しかし、ご家族の方は、アルツハイマー病にかかった夫はもう治らないのか、これからどんなことが起こるのかなど、不安でいっぱいの気持ちを込めて来られます。
 あるいは「夫はもう高齢ですから、田舎の実家にもう一度連れて行って、お墓参りや親戚、友人たちにお別れをさせてやりたいし、本人も行きたいと言っています。しかし、鹿児島ですから少なくとも2~3泊したいと思いますが行って大丈夫でしょうか」といった、ごく個別的な質問も抱えています。
 短い時間で、こうした質問に一組毎にお答えする時間をとることは、とてもできません。そこで外来の延長にデイケアをしてみようと思いたちました。そして、精神科病棟の五島シズ師長と心理士の一原悟氏に相談したところ、是非やりましょうということになりました。


コメント


270分で30人の方を診察するという事は、
1人の患者様に9分間しか時間がとれない状況下で、認知症の方の診療だけでも大変だと思います。キーパーソンの御家族から十分な御話しを伺う為に、もっときちんと向き合い質問に一組毎に回答しようと、外来の延長にデイケアを計画し実行された、先生の真摯な姿勢と実行力、お優しさには尊敬の念が絶えません。
「人が好き」だから疲れも見せずに出来る事なのだと思いました。
各地から集まった初対面の専門職にも、同じ目線(相手が起立している時は、先生も起立される御配慮にも感激しております)で、一緒に考えアドバイスをして下さるお人柄を御手本にしていきたいと思います。どうか、私の成長も見守っていて下さい。宜しくお願い致します。



投稿者: 玉本あゆみ | 2010年02月16日 20:31

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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