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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

認知症介護のストレスを減らすために その3

 今回も、認知症介護のストレスを軽くするためにというテーマで、「ストレスを減らすための介護のポイント」について話をしてみようと思います。皆様、お忙しいとは思いますが、何とかお時間をみつけて読んでみてください。
 認知症介護のストレスを軽くするためには、1人だけで介護をするのではなくて、何とか2人以上で支えあって介護をすることがポイントです。つまり、介護を1人で抱えこまないことが大切です。

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 家族の中だけで難しいときには、外からの援助を利用することを考えましょう。たとえば、介護保険制度をうまく利用して、公的なサービスを組み合わせて使ったり、地域包括支援センターや市区町村の担当窓口で相談してみるのもよい方法です。
 また、認知症の人を介護している家族のメンバーが中心になって活動している「認知症の人と家族の会」(http://www.alzheimer.or.jp/jp/)という法人組織が全国規模で支部を作っています。その会に連絡して相談するのもよいと思います。家族でなければ理解できない苦しみや悩みを共有して対応してくれます。
 国も認知症の人を支える仕組みを地域に作ってゆくキャンペーンを2005年以来行っています。認知症の人やその介護家族を支援する「認知症サポーター」(http://www.caravanmate.com/)を養成し、すでに13万人のサポーターが養成されています。また、「認知症でもだいじょうぶ町づくりキャンペーン2006」(http://www.dcnet.gr.jp/campaign/)には、全国からユニークな取り組みをしている47の地域活動が寄せられました。
 地域によって差があるかもしれませんが、「私の家には認知症という病気にかかっている人がいます。介護で苦労している人がいますので支援してください」と、皆様から声をあげていただくことが、ストレスから逃れられる大切な方法の一つです。
 認知症は高齢期になれば誰でもかかりうる当たり前の病気の1つです。私がなってもあなたがなってもおかしくないということです。だからこそ、社会全体で、みんなで支えあうことは自然なことなのです。
 先日、私はある認知症の講演会に招かれて講演を行いました。話し終わり、司会者が「質問のある方どうぞ」と約300名の参加者に呼びかけました。すると3番目位の質問者が「私は認知症です。そこの通りを歩いていたら“認知症について”という看板がありました。これは私のことだ。聞いてみよう。と思って来ました」とお話されました。
 こういう時代になったのです。認知症の人が堂々と自分の思っていることを公の場で話される時代になったのですね。その方のお話が終わったとき大きな拍手がありました。私は胸にこみ上げてくる感動を覚えました。そしてかつてない勇気も与えられました。


コメント


今、通信大学出願に必要な小論文のテーマに沿った自分の経験をまとめ、アウトラインを構築する為に参考資料として「介護者と家族の心のケア」渡辺俊之著を読み始めております。認知症のケアの悪循環を招いている、認知症の方御本人を尊重していない原因の1つだと共感できた一部を引用させて頂きます。「適切なケア(育児・世話・養育)を受けた体験からくる心地よさや安心感がないと介護を受ける人の心地よさや安心感が理解出来ない。その結果、自分が得られなかったケアの体験を相手に提供しようと思い、過剰に世話をしてしまったり、独りよがりの介護になって上手くいかないと諦めてしまう」
自分の経験や他の方の経験などを照らし合わせながら納得させられました。と同時に健常者同士の人間関係にも共通して言える事で、改めて、私の家族や今迄支えて下さった方々に感謝の気持ちで一杯になりました。
今年のキャラバン・メイト養成研修は年2回行われると知り、市役所に問い合わせたところ大阪府下では既に終了しており、近畿圏内で唯一直近で開催される“丹波市キャラバン・メイト養成研修”を紹介して頂きました。私らしさを発揮しながら何処までお力になれるかも未知数ですが、認知症を理解して頂く為にも、出来る事=したい事から自分のペースで出来れば…と、ささやかな希望を抱いております。地域の方々や次世代(未来)へと橋渡しが出来れば良いのですが力みすぎずに認知症御本人や介護者を思いやる気持ちを1番に大事にしながらチャレンジしてみます。
2007年ベネズエラで開催された国際アルツハイマー病協会第23回国際会議でアルツハイマーの方と介護者の意見を含めた調査結果が公表された記事を拝見しました。生活の質という項目で70%以上の介護者はアルツハイマーの人を介護する事は生きる中で何が本当に大切な事なのかを教えてくれる…4分の3の介護者は、かつて自分が受けた愛と支援の多くをある意味で払い戻していると答えられたとの報告も書かれておりました。と言えども、実際はその様な事が分っていても躓き苦難の道を歩んでおられる方が殆どでしょう。
(国際アルツハイマー病協会 掲載内容引用)

昔の方がもっと認知症の方にとっても公表しにくい風潮だったようですが、認知症の方も幸福を得たいという願いが強い故に、勇姿を公の場に現わし主張できる世の中になったのでしょう。その勇姿に感激と尊敬の念で一杯になります。ささやかながら寄り添って参りたいと思います。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年02月06日 21:07

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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