ページの先頭です。

ホーム >> 家庭介護サポーターズ >> 長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ
長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

認知症介護のストレスを減らすために その1

 新緑の美しい季節になりましたね。外の風をほほに受けて緑の木々を楽しむのは気持ちのいいことです。
 さて、この時期は季節の変わり目であると同時に、新しい生活がスタートする時期でもありますね。新しい学期が始まって小学生の子どもたちが並んで登校したり、新入社員が若々しい背広姿でオフィス街を歩いているのを見かけます。
 新しい生活は、生活に新鮮な風をおこしますが、ストレスも作られやすい季節です。介護をなさる方の中には、日々のストレスに御苦労されている方もいらっしゃると思います。そこで、認知症の介護にともなって体験されるストレスを、少しでも軽くするにはどうしたらよいかを、数回にわたって書いてみます。

続きを読む

 介護を受ける人と介護をする人が話し合える場合には、介護によるストレスがあったとしても、お互いの気持ちを伝え合うことで、ストレスを軽くしていく糸口があります。しかし、認知症の方は自分の考えを正しく伝える能力が少なくなっているため、注意され説明されてもすぐ忘れてしまいます。また、認知症の方が期待している介護は、介護をする人が常に認知症の方のレベルになって、逆らわずイライラしないで優しく寄り添うというものです。
 ところが介護者は、24時間365日連続して休みなしです。自分の時間がほしいとか、これからどうなるのかといった不安でいっぱいのことでしょう。この両者のギャップがストレスを作ることになるのです。
 介護ストレスを乗り越えるポイントの第1は、認知症の人がどのような体験をしているのか、どんな気持ちで毎日を暮らしているのかを理解することです。ところが、これはなかなか難しいことです。なぜなら、認知症になると言葉のやりとりが困難になるので、認知症の人が自分でどんなことに困っているのか、何がしたいのか、何をしてもらいたいのかを介護者に伝えることが難しくなります。
 そこで介護者は、認知症の方がどのような不自由をもっているかを理解しようとする姿勢になることが大切になります。実は、この認知症の人を理解することが、先述のギャップを埋め、介護をうまく進め、ストレスを軽減するのです。
 では、次回は認知症の人が、毎日どんな気持ちで過ごしていらっしゃるのかについて、書いてみたいと思います。


コメント


謹んで新年のお慶びを申し上げます(2010年)
昔からのブログを1日1つずつ拝見しコメントを書かせて頂きたいと存じます。
認知症を勉強し知れば知る程、接すれば接する程、受け皿が大きくなり愛しく思える様になりました。しかし、別のサイトを開くと、未だに認知症ケアとは何なのか…認知症とは?パーソン・センタード・ケアとは?
個人を見ていないから「自分達(家族)のやり方で良い」と言われ悪循環を招いて困っておられる方の御意見もある様です。介護者にも色々な精神状態や性格の方々もいらっしゃいますので、認知症に関する伝え方も個別的な伝え方を工夫していかなければなりませんね。本年も私達の為に、ご指導のほど宜しくお願い致します。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年01月01日 10:11

「介護ストレスを乗り越えるポイントの第1は?」と聞かれたら、経験上、一言で申し上げるなら「自分が楽しい!」と思えるようになる介護をする事かもしれません。
私の中で介護とは、介護をする⇔されるという関係よりも、一緒に楽しみながら生活をすると言う感覚です。
しかし、楽しむと言っても、ただユーモア精神を発揮するだけでは、そういう雰囲気にはなれません。楽しくなれるには、対象となる方の性格を初めとする、色々な情報も必要で、よ~く拝察しながらの適切なケアが必要ですので、すぐには楽しいと思う事は出来ません。基本は対象となる人も「一人の人」として受容する優しさです。

長谷川先生が明記されておられるように、『介護をする人が常に認知症の方のレベルになって、逆らわずイライラしないで優しく寄り添う、認知症の方がどのような不自由をもっているかを理解しようとする姿勢になることが大切になります。』全く、その通りだと思います。
それには、医療や福祉の知識や経験のある専門職にもオープンに話をし協力を求める事だと思います。普段から信頼関係が成立していても認知症の方は、どこかに心身の変調があり、気付いて差し上げられない時間が長ければ怒りっぽくなったり、突然「パチ~ン!」と叩かれるなど、必ずいつもと違う様子が伺えます。語調や声質、感情や表情の起伏・日常生活上での細かい動作(食事中など)でもわかります。結果を原因に反映するフィードバックをし、その原因追究をするには、自分の姿勢を振り返る事も大切ですし、やはり専門職の協力が必要ですので、どうか介護者も専門職に言いにくいような事でも遠慮せずに打ち明け相談して欲しいと思います。
専門職の方も、忙しくて余裕を欠く時もあるでしょう。しかし、介護者が言いやすいような姿勢やムード作りなど、ちょっとした配慮は必要だと思います。「やっちゃた~そんなつもりではなかったのに…」と気付けば、すれ違いが生じないように姿勢を省みて、やり直せば良いのだと思います。(十分な説明と同意)
お互いの立場や気持ちも思いやりながらの言動は、とても大切な基本的な事だと思います。


 


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年02月17日 11:08

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
hasegawa-book.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books