第9回 マネからアイデアを創る! 横目を生かそう!
「学ぶ」は「まねぶ」
このように、創造するという行為は、すべて「模倣」から始まるといっても過言ではないようです。無から有を生み出すことはできないのであり、そこには必ず発明・アイデアをうながす「ネタ」があるはずです。
人間の成長過程においても、「マネ(模倣)」は欠かすことができないものです。赤ちゃんは、両親、兄弟などの言葉や動作をマネしながら発達、成長していきます。したがって、何かを始めるときは、マネからスタートするのが成功の近道といえます。
これらは、音楽、美術、文芸など、人間のあらゆる創作活動においてもいえることです。そもそも、「学ぶ」という言葉は「まねぶ」、つまりマネをすることだといいます。他人の所作をマネすることから、「学ぶ」ことはスタートします。絵画は、名画の模写を繰り返し、自分の独自の手法を創り上げていきます。また、囲碁も先人の棋譜を何回も並べるなどして上達していくのです。
『金色夜叉』も『鞍馬天狗』も模倣から生まれた!
明治の文豪、尾崎紅葉の名作『金色夜叉』にも「タネ本」があったとされ、北里大学講師の堀敬子氏によって、米国で発行されていた“Weaker Than A Woman” (邦題『女より弱き者』として2000年刊行)との筋書き・描写の酷似が明らかにされました。また、大佛次郎の『鞍馬天狗』も、フランスの小説『夜の恐怖』のストーリーの舞台を日本の幕末においたといわれています。当時は著作権の観念が不明確で、作家はタネ本のアレンジに腕を競い合っていたともいわれますが、原作があっても、これらの作品の文学的価値は現在もいささかも減じられてはいません。
このように、模倣は創造の第一歩であり、創造力の強い人は模倣が極めて巧みであるということができます。逆に考えれば、マネのできない人は、創造もできないといえるかもしれません。したがって、発明・アイデアにおいては、いつも目をヨコに広げてみる習慣を身につけていくことが大切です。ただし、「横目」といっても、カンニングしたり、そっくりそのままいただくことは、「盗作」「パクリ」となり、犯罪性を帯びることは忘れてはなりません。
このように、模倣は創造の第一歩であり、創造力の強い人は模倣が極めて巧みであるということができます。逆に考えれば、マネのできない人は、創造もできないといえるかもしれません。したがって、発明・アイデアにおいては、いつも目をヨコに広げてみる習慣を身につけていくことが大切です。ただし、「横目」といっても、カンニングしたり、そっくりそのままいただくことは、「盗作」「パクリ」となり、犯罪性を帯びることは忘れてはなりません。
「ダイエット・スリッパ」の原型は、昔から「半草履」としてあった!
健康ブームで多くの人たちに支持された「ダイエット・スリッパ」も、先人をマネることの大切さを教えています。
土踏まずから後ろ半分がはみ出すこのスリッパは、履けば“つま先立ち”の状態になり、背筋が伸び、お腹が締まって健康効果が増してきます。
これを発明した主婦の中澤さんが意識していたかどうかわかりませんが、実はこの考えは昔からあったものです。
「半草履(足半草履)」と呼ばれ、腰に負担がかからないことから、棚田の斜面での農作業、山仕事、急峻な山野歩行、四国巡礼などによく使われていたのです。
こうしてみると、「ダイエット・スリッパ」は半草履を現代風にアレンジして、大ヒットしたものだといえます。
やはり先人の知恵には、発明のヒントがころがっています。「温故知新」が大事だということですね。
土踏まずから後ろ半分がはみ出すこのスリッパは、履けば“つま先立ち”の状態になり、背筋が伸び、お腹が締まって健康効果が増してきます。
これを発明した主婦の中澤さんが意識していたかどうかわかりませんが、実はこの考えは昔からあったものです。
「半草履(足半草履)」と呼ばれ、腰に負担がかからないことから、棚田の斜面での農作業、山仕事、急峻な山野歩行、四国巡礼などによく使われていたのです。
こうしてみると、「ダイエット・スリッパ」は半草履を現代風にアレンジして、大ヒットしたものだといえます。
やはり先人の知恵には、発明のヒントがころがっています。「温故知新」が大事だということですね。
宇宙食のチューブのヒントになったのは…
人間が創作したものだけでなく、自然界も横目で見ていくと、あっと驚く発明につながることもあります。なんと宇宙食が入っているチューブは、馬の肛門の仕組みをマネて作られたといいます。糞を押し出した後、キュッと締まる馬の肛門は拭かないでもいつも綺麗になっています。この筋肉の仕組みから宇宙食のチューブが生まれたのです。
また、主婦の考案で台所のヒット商品になった「ウインナーカット」も、貝殻が上下二枚になってぴたりと閉じあっているのを「横目」で見て、そのヒントをつかんだといいます。
また、主婦の考案で台所のヒット商品になった「ウインナーカット」も、貝殻が上下二枚になってぴたりと閉じあっているのを「横目」で見て、そのヒントをつかんだといいます。
創造と模倣の繰り返しが、流行を生み出す
岡本太郎は、「創造と模倣の繰り返しが、流行を生み出す」といっています。創造が次々と模倣を広め、流行へと発展し、新たな創造を生み出す基盤になっていくといえます。
これまで500を超える発明・アイデアをモノにし、ミニ発明王と呼ばれている、筒井一郎さんは、「今、昔を問わず、成功アイデアを徹底的にマネしなさい。すると必ずどこかに欠点の改良点を発見することができる」と強調しています。
まず、自分が参考にしたいと思っている本物をバラバラに分解してみることです。そうすると、そこに多くの発明・アイデアのヒントが隠されていることが分かります。商品の構造が分かりますし、具合の悪い欠点が分かります。必要でないところを発見することもできますし、材料を減らしてもいい部分が分かります。新しいものを付加したほうがよいところなどのアイデアも浮かんできます。これらのコツをマスターすることによって、マネからシンプルアイデアへと、ドンドンと生まれ変わっていくことになります。
また、世界の発明王エジソンも「他人がうまく利用しているアイデアには常に目を光らせておくのが、私の習慣だ。もともとは他人のアイデアでも、それを自分の抱えているテーマに応用することができれば、それはそれなりに創作であるのだから…」といっています。
このように「横目」は、大きな発明へと導いていくことにもなるのです。
次回は8月13日(木)、更新予定です。
これまで500を超える発明・アイデアをモノにし、ミニ発明王と呼ばれている、筒井一郎さんは、「今、昔を問わず、成功アイデアを徹底的にマネしなさい。すると必ずどこかに欠点の改良点を発見することができる」と強調しています。
まず、自分が参考にしたいと思っている本物をバラバラに分解してみることです。そうすると、そこに多くの発明・アイデアのヒントが隠されていることが分かります。商品の構造が分かりますし、具合の悪い欠点が分かります。必要でないところを発見することもできますし、材料を減らしてもいい部分が分かります。新しいものを付加したほうがよいところなどのアイデアも浮かんできます。これらのコツをマスターすることによって、マネからシンプルアイデアへと、ドンドンと生まれ変わっていくことになります。
また、世界の発明王エジソンも「他人がうまく利用しているアイデアには常に目を光らせておくのが、私の習慣だ。もともとは他人のアイデアでも、それを自分の抱えているテーマに応用することができれば、それはそれなりに創作であるのだから…」といっています。
このように「横目」は、大きな発明へと導いていくことにもなるのです。
次回は8月13日(木)、更新予定です。
参考書籍
筒井一郎・相川信彦著『超簡単 ミニ発明で2億円つくる!!』かんき出版