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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter28「緩和ケアをご存知ですか? その3」

 前回より、6月18日~19日の2日間に渡って開催された「第15回日本緩和医療学会学術大会」(http://jspm2010.umin.jp/index.html)から緩和ケアのトピックスをお伝えしております。

 今回のトピックは、グリーフケアについてです。

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 「グリーフ」という言葉は聞き慣れない言葉だと思いますが、日本語でいう「悲嘆」です。つまりグリーフケアとは、大切な人を亡くした人が、その悲嘆(グリーフ)を受け止め、新しい環境に適応し、乗り越えようとする心の努力を支援することです。

 グリーフケアは、患者さんが亡くなった後の緩和ケアの大切な役割として注目されています。しかし、自分や家族が大病をした時、亡くなった後のことに目を向けることは難しいことです。だからこそ、当事者になる前の今、こうした情報にも目を向けて頂き、知識として蓄えて頂ければと思います。

 自分にとって大切な人が亡くなれば、グリーフは必ず訪れます。古来より、四十九日や一周忌など、故人を偲ぶ機会は折に触れ持たれています。グリーフケアは、患者さんの最後の時を共に過ごした医療者と遺族が故人を偲ぶ機会です。

 日本におけるグリーフケアはまだ取り組み始めて間もないと言うこともあり、施設ごとにケアの方法は違っています。今回の学会でのポスター発表をまとめてみると、患者さんが亡くなってから3~6か月後に病院や施設から亡くなった方を偲ぶ手紙が送られてきます。その手紙と共に、遺族会(追悼会)への参加の誘いが同封されています。

 遺族会(追悼会)への参加を希望された方は、定期的に開催される会へ参加する、という段取りが一般的です。会は、一年に一回開催される施設から、一か月に一回開催される施設まで様々でした。

 発表された内容をまとめると、

○死後の悲嘆は約4か月から一年ほど続くと言われており、その間のケアが重要である
○故人や遺族との関わりの深かったスタッフが参加し、遺族とゆっくり話せる和やかな遺族会(追悼会)や、故人や遺族を良く知るスタッフからの手紙/葉書の送付が遺族のグリーフケアに有効である

 とのことでした。

 グリーフケアもまた、緩和ケアと同様これからの取り組みであることが伺えます。日本の文化に馴染む形へと成長することを期待したいと思います。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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