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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」

介護技術の実践 腕を組んでの長座からの立ち上がり(1)

 以前、長座からの立ち上がり介助を紹介しました。うまくいった方からは力感なく、介助する側、受ける側双方ともに楽になったという嬉しい報告を受けましたが、その一方で、胴体に腕を回すのが難しい、また股関節が硬くしゃがむのに苦労したという方も多かったようです。
 何とか上手くなって負担のない介助を行いたいという要望から、今回は切り口を変え、以前の方法より比較的行いやすいものを紹介したいと思います。
 それは、被介助者に腕を組んでもらい、介助者が腋の下から腕を差し入れ、手をかけるという形を応用したものです。通常の方法は写真1のように手を握る形です。

okada20090202-1.jpg
(写真1)

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 詳しい手順を解説する前に、注意点があります。それは、腋の下から腕を差し入れているため、被介助者を引き上げる動作を行うと、必然的に肋骨に体重がかかってしまい、被介助者が肋骨を痛めてしまう可能性があるのです。そのため、この方法は自分よりも小柄な方に行うのが望ましいと思います。
 やはり、胴体に腕を回す技術と共に併用するのが実践的であるといえるでしょう。介助者側には、この技術そのものの危険性を踏まえた上での適切な技術提供が求められます。もちろん、一方で技術レベルが上がると、危険性はかなり減少するというのも確かなことです。

 技術の紹介に戻ります。通常、手を組んだ状態から力で引き上げようとすると、写真2のように腰に負担が集中して、ギックリ腰を起こしかねません。

okada20090202-2.jpg
(写真2)

 この状態から、筋力に頼らないで被介助者を立ち上がらせるにはどうすれば良いのか、途方に暮れてしまうところですが、ヒントは意外なところにあります。それは「手を握らないこと」です(写真3)。

okada20090202-3.jpg
(写真3)

 このように、ただ被介助者の腕に手をかぶせているだけです。
 「それでは力が入らず、いつまでたっても被介助者を立ち上がらせることは出来ないのではないか」とほとんどの方が思うかもしれません。しかし、あえて「握らない」という逆転の発想が力に頼らない秘訣なのです。
 次回は手を握らないから力が引き出せるというコツを詳しく紹介していきましょう。


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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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