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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」 2009年03月

様々な「きっかけ」のために(最終回)

 前回は介護の身体の使い方が、日常動作にも活用できるということを紹介しました。
 具体的な動作については、私が朝日新聞のWeb「どらく」に連載している、実践カラダ塾「古武術に学ぶ体つかい」を参考にしてみてください。



介護技術を日常に応用する発想

 これまで、具体的な介護技術を紹介してきました。見た目の手順ではなく、目に見えない身体の使い方の工夫に最も重点を置いて解説するように心がけました。
 常々思うことですが、介護の技術しか役に立たないと思われてしまっては、実にもったいないことです。家庭介護や施設・病院での介護など、家族としてか職業としてか、介護への関わり方には様々あるでしょう。
 せっかく実践の中で身につけてきた介護技術が、介護をやめたとたん、用なしになってしまう現実はありませんか? しかし、身体の使い方の工夫という根本を押さえていれば、形は変わっても、介護技術を通して学んだことが無駄にならず、日常生活でも応用できるようになります。



車椅子でのずれ防止

 前回は全介護状態の方の抱え上げ動作を力まかせに行わず、基本動作を最大限引き出すことで可能にする技術を紹介しました。しかし、抱え上げるまでは行えても、その後車椅子に下ろすことが難しいと感じる方は多いと思います。ついつい、下ろすというよりドスンと落とすような形になってしまったり、または座面の奥まで座らせにくいため、浅く腰掛けた状態で前方にずれてしまうことなどが、現場では多く見られています。
 今回は、これらの状況に対応するためのヒントをお伝えしたいと思います。
 まず、なぜずれてしまうかといえば、被介助者を抱え、介助者側から座面が見えないため、どうしてもしっかりと腰掛けさせることが難しいということがあげられるでしょう。
そこで、座面を見なくても、しっかりと位置を把握する工夫をしてみます。それは、介助者の膝を座面の端につけて、そこから膝を曲げて、座面の上に座るようにしていきます(写真1)。

okada20090316-1.jpg
(写真1)



車椅子・ベッドからの抱え上げ

 「全介護状態の方の移乗動作で、どうしても抱え上げなくてはならない場合、力まかせになるので、何か良い技術はないか」と質問されることが多くあります。
 これは、前々回にも書きましたが、まず本当に全介護状態なのか、足も接地出来ない状態などかと、もう一度、被介助者の残存能力を引き出せないか、試みてみましょう。
 それでも困難である場合、例えば、つま先に拘縮があり足が接地出来ない、両足が切断されているなどの状態などで、はじめて今回の技術が出番となります。

 一般的に、全介護状態の方を移乗する場合、腰のあたりを持ち、吊り上げるようにしてしまうことが多いと思われます。(写真1)

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(写真1)



ベッド下方にズリ下がった方を元に戻す技術

 病院、施設、家庭、それぞれの介護の場面で共通する悩みとして、多くの方から受ける質問があります。それは、ベッド上で下にずり下がった方を、どのように引き上げるかということです。オムツ交換、体位変換、ベッド上で食事をした後に寝る時など、どうしても、元の位置より下にずれてしまいます(写真1)。

okada20090302-1.jpg
(写真1)



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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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