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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」 2008年12月

介護技術の実践 ベッドでの上体起こし(1)

 前回までは床からの上体起こしを行いましたが、今回はその要素をベッドに応用していきましょう。
 床での上体起こしをベッドに応用するというと、「靴を脱いでベッドに上がり、膝を落としてクルリと回るのですか?」と言われる方が意外に多いです。しかし残念ながら、それは応用ではなく、そのままになってしまいます。形をそのまま真似るのではなく、あくまでも動きの「質」を活用することが応用につながります。
 ベッドでの応用には2つのポイントがあります。今回は1つ目のポイントである「たすきがけに手を差し入れ、自然な起こし方を再現する」を紹介します。
 まず、一般的に多い被介助者の肩へ真っ直ぐに手をかける手の差し入れ方で行うと、どうしても力任せになりがちです(写真1)。

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(写真1)



床上での上体起こし(2)

 前回は、手のひら返しの動きで被介助者に手を差し入れ、包み込み、力の伝達を良くして上体を起こそうとしました。しかし、手の平からでも手の平を返しても、あまり違いがありません。なぜかといえば、腹筋をするように垂直の向きに起こしていたから、必要以上に力がかってしまっていたのです。そうなると、介助者、被介助者ともに負担がかかってしまいます。
 では、負担があまりかからない起き方の方向性はというと、考えるよりも自分で寝て起きてみると分かりやすいでしょう。
 おそらく多くの人が、腹筋で起きるよりも、まず横を向き、頭がグルリと半円を描いて起きてくるかと思います(写真1)。
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(写真1)



床上での上体起こし(1)

 今回から、敷き布団や畳、マットなどの床上から上体を起こす技術を紹介したいと思います。
 上体を起こすというと、やはりベッドを使用されている方の方が多いため、床上からの上体起こしをあまりしたことがない方も少なくないでしょう。普段使わない技術だから、別に知らなくてもいいか…と思ってしまいがちですが、それは少しもったいないと思います。
 実は、床上からの上体起こしとベッドからの上体起こしでは、形は違っても動きの質は共通しています。その共通するポイントがどこにあるかを考えながら、技術を紹介していきましょう(今回は取り上げられることが少ない全介助状態の方向けの技術を行います)。
 まず、介助者の姿勢ですが、被介助者の頭側の膝を立てるようにします。骨盤側の膝を立てると、起こす際につっかえ棒のようになってしまいます。その点、頭側ならば妨げになりません。
 手の差し入れ方は、身体の使い方で行った「手のひら返し」を活用します。まず手の甲から差し入れます(写真1)。
okada081208-1.jpg
(写真1)



介護技術の実践 長座からの立ち上がり(2)

 前回は、しゃがんだ状態で膝の内側に肘を入れ、相手を挟む力を省エネしたところまで説明しました。今回は、腕の回し方、立ち上がらせ方を、形に表われない内部の動きも踏まえて紹介したいと思います。
 まず相手の胴体に回す腕ですが、腋の下には腕をかけないようにします。なぜかといえば、ついつい力が入ったとき肋骨を締め上げてしまう危険性があるからです。また、重心が位置する骨盤から離れているため、腰が残り、動かしにくいという弱点もあります。
 では、どこに腕を回せば良いかといえば、おへその下に腕を回し組むのが良いでしょう。このことで、肋骨を締め上げる危険性が減り、また重心に近い位置を持てるようになるため、ダイレクトに動きが伝えやすくなります(写真1)。ただし、おへその下を抱えても、力を入れすぎないように注意することが必要です。
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(写真1)



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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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