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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」

介護技術の実践 ベッドで寝た人を二人で抱える(2)

 前回は被介助者の上半身の抱え方を紹介してきました。今回は腰から下半身を抱える介助者の身体の使い方を実践していきましょう。
 とはいえ、写真1のように、ただ腰と大腿裏に手を差し入れているだけです。確かにバランスよく持てる位置に手は差し入れてありますが、これで抱え上げるとしたら、やはり力に頼るしかないと誰もが考えそうです。したがって、どこにも工夫がされているようには見えないと思います。

(1)二人目は腰と大腿裏に手を差し入れる(写真1)
okada20090119-1.jpg
(写真1)

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 ところが、横からその姿勢を見てみると、写真1と写真2では腰にかかる負担が大きく変化し、出せる力も違ってきます。
 写真2では腰が反りすぎて、その結果、腰一点に負担が集中しやすくなり、腰痛を起こしやすくなってしまいます。それに対して、写真3ではやや猫背気味となることで、全身がジグザグになり、重さを分散しやすい構造になっています。

(2)背筋が伸び、腰が反ってしまい、腰に負担がかかりやすい(写真2)
okada20090119-2.jpg
(写真2)

(3)背中から腰が丸まり、腰に負担がかかりにくい(写真3)
okada20090119-3.jpg
(写真3)

 腰を反らすより、猫背気味の姿勢の方が腰への負担がかかりにくいというのは、ボールの持ち方を例に考えてみると分かりやすいと思います。
 普通、ボールを持つ時に指先だけでつまもうとする人はいないでしょう。誰もが手の平から包み込むように持ちます。
 実は、抱え上げる際の被介助者の抱え方も共通点があります。腕の力に頼って抱えることは、ボールで言えば指でつまむようなものです。しっかりと包み込むように抱えるためには、ボールでは手の平から包みこみましたが、介護の場合、胴体を手の平に見立て、手足は指とイメージして、胴体から被介助者を包み込みようにして、手足は添えているような感覚にします。すると、介助者、被介助者が一体となり、今までのような無駄な力が減少していることに気づくでしょう。
 また、胴体から包みこむことが上手くいった時には、背中に適度な張りが生まれてきます。それは背中と腕が連携して働いている目安となります。背中に適度な張りが無い場合、腕単独の力となってしまいます。
 今回は、胴体中心に抱えることで、腕力に頼らない抱え方をすることを紹介しました。
 次回は最も負担がかかりやすい抱え上げる動作を考えていきたいと思います。


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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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