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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」

床上での上体起こし(1)

 今回から、敷き布団や畳、マットなどの床上から上体を起こす技術を紹介したいと思います。
 上体を起こすというと、やはりベッドを使用されている方の方が多いため、床上からの上体起こしをあまりしたことがない方も少なくないでしょう。普段使わない技術だから、別に知らなくてもいいか…と思ってしまいがちですが、それは少しもったいないと思います。
 実は、床上からの上体起こしとベッドからの上体起こしでは、形は違っても動きの質は共通しています。その共通するポイントがどこにあるかを考えながら、技術を紹介していきましょう(今回は取り上げられることが少ない全介助状態の方向けの技術を行います)。
 まず、介助者の姿勢ですが、被介助者の頭側の膝を立てるようにします。骨盤側の膝を立てると、起こす際につっかえ棒のようになってしまいます。その点、頭側ならば妨げになりません。
 手の差し入れ方は、身体の使い方で行った「手のひら返し」を活用します。まず手の甲から差し入れます(写真1)。
okada081208-1.jpg
(写真1)

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 次に背中に適度な張りを保った状態で手首だけを返し、手のひらから被介助者を包み込むように抱えます(写真2)。
okada081208-2.jpg
(写真2)

 一連の動作の最中に、背中の張りが消えてしまう場合があります。それは背中の力が腕まで伝わらない、力の伝わりがよくなくなった証拠です。もう一度適度な張りを作ってみましょう。
 そこから普通に起こしていくと、力の伝わりはよくなっているはずなのに、あまり効果が実感できません(写真3)。
okada081208-3.jpg
(写真3)

 なぜならば、被介助者の方を真上の方向に起こしていたからです。真上の方向とはちょうど腹筋をする方向です(写真4)。
okada081208-4.jpg
(写真4)

 実際に自分で行うと実感できるでしょう。特に体を普段から鍛えてない方にはかなりきつい動きです。なおさら、被介助者の方であったらかなりの負担になるでしょう。もちろん、その起き方を引き出している介助者にも負担がかかります。では、お互いに負担がかからない起き方の方向は?ということから次週は紹介していきます。


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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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