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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」

技術練習・実践での注意点

 以前行った介護専門職向けの講習会で腰を痛めてしまった方がいました(仮にAさんとします)。
 Aさんは40代後半の女性で、10年以上の経験もあり、現場ではリーダー的な存在です。講習会当日も先頭に立って周囲を引っ張っていくタイプでした。しかし、少々頑張り過ぎてしまう傾向があり、力まかせにケアをしようとしていたことが気になっていました。
 「少しでも力まかせになったら腰を痛めますから、絶対に無理なさらないでくださいね」
と何度か声をかけたものの、リーダーとしてできないことは恥ずかしいという意識から、すぐに力まかせの技術に戻ってしまいます。

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 そして、床に座り込んでしまっている脚力の弱った方を立ち上がらせる練習をしていた時に、ついに腰を痛めてしまったのです。この技術の練習では、自分よりも体重が軽い方もしくは同じくらいの方をパートナーとして、無理しないことが重要です。
 しかしAさんは、担当の利用者さんに同じような状態でかなり大柄な方がいたため、いきなり自分より20キロ以上も重い方をパートナーにして、技術ではなく力まかせに何とか立ち上がらせようとしていました。
 そんな中、腰の負担がピークとなり痛めてしまったのです。Aさんは、自分自身の技術が力まかせになっていたという自覚はありました。しかし、リーダーとして周囲が気になったことと、現場での実践が気になって、ついつい無理をしてしまったそうです。
 Aさんのように腰は痛めなくとも、同じような気持ちで無理をしてしまう方はかなり多いように感じています。ですから、現場は潜在的にいつ体を痛めてもおかしくない状況にあるとも言えます。
 当たり前のことですが、いきなり“ラクラク介護”ができるような魔法の技などありません。まずはきちんと動きの原理を押さえることです。それを積み重ねることで、時には魔法のように見えてしまうのです。
いきなりうまくなろうとはせず、前回まで紹介した体の使い方を踏まえた上で、少しずつ実践的な技術を取り入れてもらえればと思います。
 次回からその実践的な技術をご紹介します。


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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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