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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」

技術以前の身体の使い方(2)全身の連動

 前回は背中と腕との連動をチェックし、想像するよりも腕に頼った動きをしていることを実感してもらえたと思います。今回はそれを踏まえて、背中から腰をほぐし、なおかつ全身を連動させる動きを紹介します。
 写真を見ていただくと、一見ただ手を伸ばしたり縮めたりしているように見えます。しかし、この単純な動作が実は意外なほど効果を発揮します。まずは、実際に行ってみましょう。

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(1)肩甲骨を左右に広げ、胸を窪ませ、腰も丸め、膝を曲げ、つま先は外を向ける。

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(2)肩甲骨を寄せて、胸を張り、腕を縮め、つま先は前を向ける。

 まず、背中、特に肩甲骨を意識して左右に押し広げます。すると自然と胸から腹が窪み、腰が丸まり、股関節、膝が曲がり、腕が伸ばしやすくなります(写真1)。すると、腰から背中にかけて、心地良いくらいにほぐされている感覚が出てきます。そこからつま先を外に向けるとさらにほぐれやすくなります。姿勢としてはジグザグしているような状態です。
 次に肩甲骨を寄せながら、胸を張っていく動きをしていくと、腕が胸の前に縮まりながら、股関節、膝が伸び、外を向いていたつま先が前を向いてきます(写真2)。
 これらの動きをすべて同時進行で行います。だからこそ全身連動の動きなのです。
 この動きは、適切に行っていれば10回程度でも体がすぐに熱くなってきます。なぜかと言えば、普段、使われていない背中、腰を適切に動かしていたからです。ウォーミングアップにも短時間で効果があり、冬場でしたら、冷症予防にもなりえます。
 そして、この動きがスムースに行えるようになると、自然と柔軟性が高まり、腕や足などの部分的な筋力に頼らず、全身を連動させた力の出し方が行えるようになります。その結果、体に負担がかからない動きへと質的な転換が図られるようになるでしょう。
 この動きは身体が硬い、膝や腰を痛めている方は無理しないようにしましょう。しかし、そんな方でもあきらめることはありません。椅子に座りながらでも効果はあるので、試してみてはいかがでしょうか。
今 回は全身を連動し、なおかつ背中と腰を中心に全身をほぐす動きを行ってみました。おそらく、この動きが介護にどのようにつながるのか、今ひとつ見えてこないと思われている方が多いと思います。
 しかし、だんだんと回が進むにつれて、つながりが見えてくる時がきます。その時こそ、パズルが解けたような面白さを感じてもらえるのではないかと考えています。


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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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