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岡田慎一郎の「古武術介護のトリセツ」

真似ではなく工夫する

 長座からの立ち上がりをする「添え立ち」の他に甲野師範が見せてくれた介護系の技術として、「上体起こし」がありました。
 道場の畳の上で横になっている方の肩を、普通なら手の平から抱えていくところが、手の甲から差し入れ、手首を返して手の平から抱えたのです。
 手の平から抱えていくと、肩が上がってしまい、抱えにくくなります。ところが、手の甲から差し入れ、手首だけを返していくと、肩は上がらず、しっかりと相手を抱えることが可能になります。また、受けた側の感想としても、しっかりと全身で包み込まれたような安心感がありました。
 その状態から、相手を横向きにして肩甲骨下に膝を入れ、軽く左右に揺らしをかけ、相手の反応を引き出しながら、筋力で起こすのではなく、自らの倒れる力を利用して起きる動作を誘導したものでした。
 相手は一切手伝いができない全介護状態という設定にもかかわらず、起こされたというよりも、自然に起きてしまった感覚でした。

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 通常、寝ている方の上体を起こす場所は、ほとんどがベッド上だと思います(もちろん、床から起こす場合もありますが)。甲野師範が「参考にしてください」と言って行った技術は、あくまで道場の畳でのものであり、ベッド上では「難しいな」と正直思いました。だから「参考」だったわけです。
 しかし、手の甲から差し入れて、手首を返すといった動きならば、ベッドでも活用できるだろうなと思い、友人を相手に実際に行ってみました。すると、「今までよりもフィット感がよく、起こし方もスムーズになったのでは」と言われ、自分でも同じ感覚があったのです。
 また、手の平からよりも、手の甲から差し入れたほうが、負担が少なく、しかも筋力に頼らない力も出るのでは、と思い始めました。その当時はなぜ少しの動きの違いで、動きの質や力の出方が変わるのか、まったく分かりませんでしたが、急に可能性が拓けてきた思いがしました。
 実際の介護でも、その後改良を加えて行うと、受けた方からの感想も概ね好評でした。
 それまでも、格闘技の動きを取り入れるなど、工夫はしてきたものの、全介護の方の場合は結局、筋力を鍛えねばならないと思っていた自分にとっては、大きなターニングポイントになった出来事でした。
 すべてをそのまま真似するのではなく、現場の状況に合った形で柔軟に取り入れ、工夫をしていくことが、重要なのだなと、頭ではなく身体を通して実感しました。
 そして当時、講師をしていたホームヘルパー講座でこのことを休み時間に雑談的に話したり、実演したりしたところ、思わぬ反響があったのです。


コメント


岡田さんこんにちは、
というか久しぶりかな?

私は以前岡田さんとスパーリング経験のある
33歳の男です。

19歳で道場を開いたY町のTさんの道場で
ご一緒してからもう14年くらいたちましたか?
あの時は岡田さんによく腕ひしぎをかけられたもんですw

岡田さんがある日突然身のみのもんたの番組に
出てたときはぶったまげましたよw

あの時は私も若かったので色々ありましたけども
今ではすっかり落ち着いて2年前に
柔道整復師(接骨師)の資格を取得し、
埼玉県内の整形外科の勤めております。

将来はケアマネも視野に入れ、介護相談のできる接骨院を開業できたら良いなと考えているので岡田さんの技を勉強しながら
将来の夢に向かって日々精進していきたいと思います。

岡田さんの今後のご活躍をお祈りいたします。

P.Sまだ格闘技は続けてるのですか?



投稿者: K市の高橋 | 2008年07月10日 16:36

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プロフィール
岡田慎一郎
(おかだ しんいちろう)
介護支援専門員、介護福祉士。1972年生まれ、茨城県出身。身体障害者施設、高齢者施設の介護職員を経て、朝日カルチャーセンター等の講師を務める。武術家甲野善紀氏との出会いにより編み出した、古武術の身体操法に基づく介護技術(古武術介護)で注目を集める。著書に、『親子で身体いきいき古武術あそび』(日本放送出版協会)、『古武術介護入門』(医学書院)、雑誌掲載など多数。(タイトル写真提供:人間考学研究所)
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