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どうなる? 介護保険

生活保護の“財政効果”

 1月31日、第25回社会保障審議会(以下、審議会)が開かれ、厚生労働省から(1)社会保障制度国民会議の議論(資料3)、(2)2012年度厚生労働省補正予算(案)の概要(資料4-1)、(3)2013年度予算案(資料4-2「概要」資料4-3「主要事項」)、(4)生活保護制度の見直し(資料4-4)が提出されました。
 2012年度厚生労働省補正予算(案)の追加額は3兆2,198億円(一般会計3兆1,698億円、特別会計500億円)、2013年度予算案は29兆4,321億円(社会保障関係費28兆9,397億円、その他経費4,924億円)と巨額です。
 しかし、生活保護制度の「生活扶助基準」の引き下げによる“効果額”は約150億円(2013年度)で、2013年度予算案の0.05%というささやかな“節約”にしかなりません。
 なお、資料では、2015年まで「3年間の効果額」は約670億円としています。
 また、「期末一時扶助の見直し」として、2013年12月には2人世帯の現行支給額28,360円を22,000円程度に引き下げ、約70億円の“財政効果”があるとしています。

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都市部の高齢夫婦の引き下げ額が大きい
 現在、生活保護を利用しているのは、高齢者世帯44%、傷病者世帯19%、障害者世帯11%、母子世帯7%、その他18%で、病気や障害をもつ利用者が4分の3を占めます(厚生労働省「被保護者調査」月別概要2012年10月分概数より)。
 生活保護は最低生活費を支給する制度ですが、支給内容は「生活扶助」、「教育扶助」、「住宅扶助」、「医療扶助」、「介護扶助」、「その他の扶助(出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)」の8種類に分かれています。
 利用が多いのは、日常生活費にあたる「生活扶助」193万9,128人、「住宅扶助」181万8,068人、「医療扶助」172万5,257人の順になります。
 審議会資料には「生活扶助基準額の見直しの具体例」が掲載されていますが、60代以上の例のみを表にまとめてみました。
 現在と今年8月を比較すると、都市部の利用者の「生活扶助」が月1,000~2,000円減らされ、2015年度以降は都市部の60代夫婦、70代以上夫婦の「生活扶助」が現在より月5,000円、単純計算で年間6万円減らされることになります。

「生活保護法改正」と「就労・自立支援新法」
 資料4-4では、「生活保護制度の見直し」のほか、(1)生活保護法の改正、(2)生活困窮者の就労・自立支援のための新法の制定が掲載されています。
 (1)生活保護法の改定では、不正・不適正受給対策の強化、医療扶助の適正化(後発医薬品の使用の促進を法制化)、生活保護受給者の就労・自立の促進(就労自立給付金の創設)が並びます。
 (2)生活困窮者の就労・自立支援のための新法の制定では、就労支援策の創設、離職者への家賃相当額の有期支給、相談支援事業の創設、生活困窮家庭の子どもへの学習支援等の実施、などが掲載されています。
 これらのプランは、高齢者や傷病者、障害者を除く2割の世帯(母子世帯とその他の世帯)を対象にしているのでしょうか?

“保護率”は3割?
 また、これまで低所得者の実態調査は行なわれていませんが、2010年4月9日、「ナショナルミニマム研究会」(厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室)の第8回に、厚生労働省社会・援護局から「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」(資料3-1)が出されました。
 既存の調査から低所得世帯に占める生活保護世帯の割合(保護率)を推計したものですが、『国民生活基礎調査』を用いた推計では、所得のみに注目した場合は15.3%、資産も考慮した場合は32.1%とあります。
 本来なら生活保護の対象になる低所得世帯の、少なくとも7割が利用していないことになります。

所得格差の大きい高齢者
 1月31日に公表された「2011年度厚生年金保険・国民年金事業年報」(厚生労働省年金局)では、公的年金受給者は延べ6,384万人で、受給者1人当たりの平均年金月額は、国民年金が5万5,000円、厚生年金保険が15万2,000円、共済組合が16万4,000円で、高齢者の収入には大きな開きがあります。
 「2011年家計調査年報 I.家計収支編」(総務省統計局)では、60歳以上の高齢無職世帯(総世帯)の家計収支は、4万4,385円の不足とも報告されています。
 今回の生活保護基準額の引き下げが、国民健康保険料や介護保険料、利用料の負担軽減の基準にも連動するなら、低所得高齢者への影響は大きいと思われます。

表 生活扶助基準額の見直しの具体例
生活扶助現在2013年
8月
増減2015年
度以降
増減増減合計
60代
単身
都市部8.1万円8.0万円-1,000円7.9万円-1,000円-2,000円
町村部6.3万円6.3万円6.4万円+1,000円+1,000円
70代
以上
単身
都市部7.7万円7.6万円-1,000円7.4万円-2,000円-3,000円
町村部6.0万円6.0万円6.0万円
60代
夫婦
都市部12.2万円12.0万円-2,000円11.7万円-3,000円-5,000円
町村部9.5万円9.5万円9.5万円
70代
以上
夫婦
都市部11.4万円11.2万円-2,000円10.9万円-3,000円-5,000円
町村部9.0万円8.8万円-2,000円8.8万円-2,000円
第25回(2013.01.31)社会保障審議会資料4-4「生活保護制度の見直し」より


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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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