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どうなる? 介護保険

ケアマネジャーの“中間的整理”

 1月7日、厚生労働省老健局振興課は、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理」(以下、「中間的整理」)を公表しました。
 「中間的整理」は、2012年12月27日、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」(田中滋・座長 以下、検討会)の第7回で、「議論の中間的な整理(案)」(資料1)が示され、21人の構成員の修正意見などをもとに確定したものです。
 厚生労働省老健局(以下、老健局)は今後、「中間的整理」について、法律や政省令の改正が必要なものは社会保障審議会介護保険部会(山崎泰彦・部会長)や第6期(2015~2017年度)介護報酬改定を検討する過程で議論し、研修の見直しなどは“実務的な検討会”で1年くらいかけて具体化するとしています。
 なお、第7回検討会では、727件の意見が寄せられたパブリックコメントの報告(参考資料1)も同時に行なわれました。

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パブリックコメントの報告
 検討会は、社会保障審議会介護給付費分科会(大森彌・分科会長 以下、分科会)の「2012年度介護報酬改定に関する審議報告」にもとづき、第1回(2012年3月28日)からスタートしました。
 構成員による「プレゼンテーション」(第2回第3回第4回)を経て、老健局から「課題の整理(たたき台)」(第5回)、「本検討会の議論を踏まえた主な課題と対応の方向性(案)」(第6回)が示され、10月11~31日にはパブリックコメントの募集が行なわれました。
 第7回では、老健局から、「パブリックコメントの意見には、整理案に反映したものもある」との報告がありました。

「ケアマネジャーの資質」と「ケアマネジメントの質」の向上
 「中間的整理」の「総論」では、ケアマネジャーおよびケアマネジメントの課題として10項目が挙げられ、その解決に向けて、「ケアマネジャー自身の資質の向上」、「ケアマネジャーが自立支援に資するケアマネジメントが実践できるようになる環境整備」のふたつが必要としています。
 しかし、「各論」は表にまとめたように、「ケアマネジメントの質の向上」と「保険者機能の強化等によるケアマネジャーの支援」に分けられ、専門職の「資質」とシステムの「質」が未整理という印象があります。

ケアマネジャーの見直し
ケアマネジャーの「資質の向上」のために、「中間的整理」では、現行制度の見直しとして、試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験資格を「保健・医療・福祉に係る法定資格保有者に限定」とし、「介護等の業務従事者であって定められた実務経験期間を満たした者」は除外することを提案しています。そのほか、試験の実施方法や実務研修制度の見直しから、主任ケアマネジャーのあり方まで幅広い提案となっています。
新たな提案には、早期実務従事者基礎研修の必修化、主任ケアマネジャーによる新人ケアマネジャーへの実務研修の指導・支援などがあります。
ちなみに、「第15回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況」によると、2012年度の試験合格者は2万7,905人、第1回からの累計合格者は57万3,709人です。「介護支援専門員等」の従事者数(常勤換算)は10万2,068人(2011年度)で、合格率19%と狭き門にもかかわらず、ケアマネジャーへの就労率は約2割というのが現状です。

ケアマネジメントの見直し
 検討会では第1回から繰り返し“自立支援”が語られ、「中間的整理」でも「利用者の尊厳の保持を旨とした自立支援の実現が重要」とあり、「『自立支援』の考え方が、十分共有されていない」と課題が指摘されています。
 “自立支援”の具体的な定義はありませんが、“自立支援”に有効なケアマネジメントを行なう「環境整備」のために、市区町村の「保険者機能の強化」が提案されています。
 具体的内容は、(1)地域ケア会議の推進(法律による義務化、コーディネーターの養成・導入、ケアプラン点検の推進など)、(2)市区町村(保険者)による事業所指定、(3)地域包括支援センターの介護予防ケアマネジメントの負担軽減、(4)介護報酬の見直し(介護保険外サービス導入への評価、簡素なケースの効率化)などです。
 また、サービス担当者会議などに「ケアプラン様式とは別に、新たな課題抽出の様式」を導入することも盛り込まれています。
 なお、「ケアマネジメントの質の評価」、主任ケアマネジャーの「研修修了評価」と“評価”の導入も提案しています。

議論は社会保障審議会、“実務的な検討会”に続く
 「中間的整理」は検討会構成員の多様な意見をまとめた提案項目ですが、個々の提案が「利用者の尊厳の保持」にどのような効果をもたらすと想定しているのか、説明はありません。
 今後、社会保障審議会や“実務的な検討会”で、「中間的整理」をもとに“質の高いケアマネジメント”をめざして、どのような議論が行なわれるのか注目したいと思います。

表 「検討会における議論の中間的な整理」各論のおもな提案事項
1.ケアマネジメントの質の向上
  (1)ケアマネジメントの質の向上
    サービス担当者会議等で、ケアプラン様式とは別に、新たな課題抽出の様式を活用
  (2)介護支援専門員実務研修受講試験の見直し
    受験要件を保健・医療・福祉の法定資格保有者に限定
  「相談援助業務の経験がある者」は検討
  (3)研修制度の見直し
    実務研修の見直し(演習の重点化、修了評価の実施、実務従事者基礎研修の必修化)
    更新研修の見直し
    研修カリキュラムの見直し
    研修指導者用ガイドライン作りの推進
    都道府県を超えた主任介護支援専門員研修
    現場での実務研修の導入
  (4)主任ケアマネジャーの見直し
    研修修了評価の導入
    更新制の導入
    初任ケアマネジャー実務研修の指導・支援
  (5)ケアマネジメントの質の評価
    調査・研究、データ収集・集積を継続的に進める
2.保険者機能の強化等によるケアマネジャーの支援
  (1)地域ケア会議
    法制度も含めた制度的位置付けの強化
      在宅医療連携拠点事業との連携協働
      コーディネーター養成研修の導入
   国による運営手引書の整備
      市区町村のケアプラン点検の実施
  (2)居宅介護支援事業所の指定
    市区町村指定を可能にする
  (3)介護予防ケアマネジメント
    地域包括支援センターの負担軽減のため担当ケアマネジャーの配置を推進
    給付管理も含めたケアマネジメントプロセスの簡略化
  (4)介護報酬の見直し
    ケアプランに介護保険外サービスを位置づけた場合の適切な評価
    福祉用具レンタルのみなど、簡素なケースの効率化
3.医療との連携の促進
  医療に関する研修カリキュラムの充実
  主治医意見書を入手しやすくする
  地域ケア会議への医療関係職種の参加の推進
  自立支援に向けたリハビリテーションの活用
    ケアマネジメント リハビリテーションサービスの導入
      福祉用具の活用
4.介護保険施設のケアマネジャー
  生活相談員、支援相談員へのケアマネジャー資格取得の推進
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会「議論の中間的な整理」(2013.01.07公表)より

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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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