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どうなる? 介護保険

2012年改定による利用者と費用の変化

 11月14日に案内させていただいた電話相談「介護保険ホットライン」(介護保険ホットライン企画委員会)は全国各地から90件の相談を受けつけました。介護報酬改定によるホームヘルプ・サービスやデイサービスの影響のほか、ホームヘルパーなど介護現場で働く人たちからも相談が寄せられました。
 電話相談中の15日、厚生労働省大臣官房統計情報部は「介護給付費実態調査月報(2012年6月審査分)」(以下、実態調査月報)を公表しました。6月審査分は、前月の5月サービス分を全国集計したものです。制度改定による変化がどのように表れているのか、1年前の2011年6月審査分と比較してみました。

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利用者は7%増
 介護保険サービスを利用している人は、昨年5月の424万6,600人から27万7,700人増えて452万4,300人となり、7%増になりました(表1参照)。
 在宅サービスは7%増で344万4,300人、地域密着型サービスは13%増で33万3,300人、施設サービスは3%増で88万4,400人です。
 市区町村が事業者指定をする地域密着型サービスが伸びていますが、利用者は全体の約1割です。また、メニューでは、小規模有料老人ホーム(地域密着型特定施設入居者生活介護)、小規模特別養護老人ホーム(地域密着型介護老人福祉施設サービス)など居住系、施設系のサービスが伸びています。

在宅で増えているのは福祉用具と医療系
 利用者の約8割が利用する在宅サービスは、訪問通所系(ホームヘルプ・サービス、デイサービスなど)、短期入所系(施設などのショートステイ)、医療系(医師などが訪問する居宅療養管理指導)、居住系(有料老人ホームなど)とわけてみることができます。
 医療系(居宅療養管理指導)が14%と大きく伸び、居住系(有料老人ホームなどの特定施設入居者生活介護)が9%で続きます。
 訪問通所系では、福祉用具レンタルが10%、訪問看護、デイサービス、訪問リハビリテーションがそれぞれ8%の伸びです。表には入れていませんが、要支援1・2の人が利用する介護予防訪問看護が13%増えています。

利用者数より費用の伸び率が高い
 では、1カ月の介護保険サービスの費用(保険給付額と公費負担額、利用者負担額〈公費の本人負担額を含む〉の合計額)はどうでしょうか。
 2011年5月から1年間で利用者は7%増えましたが、費用は6,570億円から7,127億円と556億円増え、8%の伸び率です。
 在宅サービスでは、利用者は7%増えましたが、費用は11%の伸びです。そのうち、訪問看護と訪問リハビリテーションが18%、居宅療養管理指導が16%と増えています。居住系(有料老人ホームなどの特定施設入居者生活介護)は12%伸びました。福祉用具レンタルの利用者は1割増ですが、費用は8%の伸びとなっています。
 地域密着型サービスの利用者は13%増え、費用は17%伸びています。小規模特別養護老人ホームの費用は65%、小規模有料老人ホームは33%の伸び率です。

1人当たり費用は8倍の差
 利用者と費用の増え方を比べると、在宅サービスでは医療系サービス(訪問看護と訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導)の利用者が増えると費用が格段に増えます。
 また、地域密着型サービスでは施設系(小規模特別養護老人ホーム)、居住系(小規模有料老人ホーム)のサービスが増えると費用が高くなります。
 施設や有料老人ホームのサービスは24時間対応ですが、在宅に24時間対応するため地域密着型サービスに新設された定期巡回・随時対応サービスは、5月サービス分で利用者200人に対して費用3,000万円です。
 実態調査月報は、1人当たり費用額も公表しています。定期巡回・随時対応サービスは平均13万円ですが、要介護5では21万円になります。5月サービス分でもっとも高いのは要介護5で介護療養病床を利用した場合で、41万1,500円になります。3施設サービスの平均は29万5,900円で、在宅サービスの要支援1・2は平均3万5,700円、要介護1~5は平均12万3,100円です。在宅と施設では約8倍の費用の開きがあることになります。
 今後、医療系や夜間対応を中心に在宅サービスを充実させていくと、費用はどのくらい増えるのでしょうか。

表1 公的年金収入(年間平均)
利用者(要支援1~要介護5)2012.06
審査分
2011.06
審査分
増減伸び率
合計4,524,300人4,246,600人277,700人1.07
ケアマネジメント3,094,600人2,922,700人171,900人1.06
在宅サービス3,444,300人3,214,300人230,000人1.07
訪問通所系3,120,800人2,926,400人194,400人1.07
ホームヘルプ・サービス1,325,200人1,257,500人67,700人1.05
訪問入浴83,000人81,900人1,100人1.01
訪問看護313,200人288,800人24,400人1.08
訪問リハビリテーション78,000人72,500人5,500人1.08
デイサービス1,535,400人1,416,500人118,900人1.08
デイケア520,300人503,900人16,400人1.03
福祉用具レンタル1,448,400人1,314,200人134,200人1.1
短期入所系366,700人351,600人15,100人1.04
ショートステイ(特養)314,800人300,400人14,400人1.05
ショートステイ(老健)52,600人51,600人1,000人1.02
ショートステイ(病院等)3,500人4,000人-500人0.88
居宅療養管理指導405,600人357,000人48,600人1.14
特定施設入居者生活介護166,100人151,700人14,400人1.09
地域密着型サービス333,300人295,400人37,900人1.13
夜間ホームヘルプ・サービス7,700人6,500人1,200人1.18
認知症デイサービス60,100人58,100人2,000人1.03
小規模多機能型居宅介護65,700人54,100人11,600人1.21
認知症高齢者グループホーム172,600人159,400人13,200人1.08
認知症高齢者グループホーム(短期利用)300人300人0人1
小規模有料老人ホーム4,700人3,600人1,100人1.31
小規模特別養護老人ホーム22,800人14,200人8,600人1.61
定期巡回・随時対応サービス200人200人
複合型サービス 0人
施設サービス884,400人861,700人22,700人1.03
介護福祉施設469,100人449,100人20,000人1.04
介護保健施設341,700人333,700人8,000人1.02
介護療養施設77,900人82,800人-4,900人0.94
厚生労働省「介護給付費実態調査月報」2011年6月審査分
政府統計の総合窓口「介護給付費実態調査月報」2012年6月審査分
表2 費用の伸び率
費用2012.06
審査分
2011.06
審査分
増減伸び率
合計7,127億円6,570億円556億円1.08
ケアマネジメント341億円319億円22億円1.07
在宅サービス3,414億円3,065億円349億円1.11
訪問通所2,684億円2,400億円283億円1.12
ホームヘルプ・サービス712億円642億円70億円1.11
訪問入浴52億円48億円4億円1.08
訪問看護145億円124億円21億円1.18
訪問リハビリテーション27億円23億円4億円1.18
デイサービス1,160億円1,019億円141億円1.14
デイケア391億円363億円28億円1.08
福祉用具レンタル197億円182億円15億円1.08
短期入所355億円331億円24億円1.07
ショートステイ(特養)306億円283億円23億円1.08
ショートステイ(老健)46億円44億円2億円1.03
ショートステイ(病院等)4億円4億円0.89
居宅療養管理指導46億円40億円6億円1.16
特定施設入居者生活介護
(短期利用以外)
328億円293億円35億円1.12
地域密着型サービス754億円646億円108億円1.17
夜間ホームヘルプ・サービス2億円2億円1.3
認知症デイサービス73億円65億円8億円1.12
小規模多機能型居宅介護128億円101億円27億円1.26
認知症高齢者グループホーム477億円432億円45億円1.11
認知症高齢者グループホーム(短期利用)0.2億円0.2億円1
小規模有料老人ホーム10億円8億円2億円1.33
小規模特別養護老人ホーム63億円38億円25億円1.65
定期巡回・随時対応サービス0.3億円0.3億円
複合型サービス0.1億円0.1億円
施設サービス2,617億円2,541億円77億円1.03
介護福祉施設1,309億円1,238億円71億円1.06
介護保健施設1,003億円976億円27億円1.03
介護療養施設305億円326億円△21億円0.94
厚生労働省「介護給付費実態調査月報」2011年6月審査分
政府統計の総合窓口「介護給付費実態調査月報」2012年6月審査分

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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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