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荒川区男性介護者の会の「オヤジの介護」

介護医療保険控除

 先だって「与党税制改正大綱」が発表され、その中に「『介護医療保険控除』を創設する」とあった。国の制度としてある介護保険・健康保険はもとより、社会保険料として今でも控除対象であり、その支払い総額対して所得税はかからない。今回の創設されるという『介護医療保険控除』というのは民間の保険会社が販売している介護保険・医療保険に関して支払った保険料の一定割合を所得から控除するというもの。平成24年度以降の所得税について適用するとの事で、導入されれば上記の保険契約のある方は所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円の所得控除が受けられるようになる。同時にこれまであった生命保険料控除・年金保険料控除がともに所得税で最大5万円、住民税で最大3万5千円から今回の『介護医療保険控除』と同様所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円に減額される。それでも保険商品全体での控除枠はこれまでの1.2倍となる。

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 当然生命保険協会は即座に大歓迎のコメントを発表している。十数年にわたり縮小・廃止の方向で議論されてきた『保険料控除』が結局拡充されたわけなのだから。これも選挙が近いということなのか? おまけに拡充されたのは商品化したにも関わらず「内容やニーズがわかりにくい」などの理由で普及の進まない介護保険が対象であり、「新制度移行後の契約において適用する」となっている。これによって平成24年以降生命保険各社は一斉に保障内容の見直しを顧客に提案するだろう。
 しかし介護の現場にいる者としては違和感を覚える。
 生命保険協会が発表したコメントの中にも書いてあるが、この制度はあくまで民間の保険商品による国民自身の自助努力を促すものだ。なおかつこれから「介護」という年代に向かっていく現役世代への配慮であり既に「介護」状態にある高齢者にとっては何の恩恵も無い。「民間の商品に頼らなくても安心して介護を受けられる」制度への抜本改革をあきらめたともとれる。
 少子高齢化の人口体系が進んでいる以上、社会保険に過度な期待は禁物であり、自助努力の必要性は高まっている。とはいえ、それを促す為だけに自助努力が可能な国民に対して広く浅い(課税所得1800万円以上の方でこれまでの年間最大47,000円だった生命保険契約による減税額が56,400円に増える)恩恵をばら撒くというのが優先される政策なのか? 現在発生している高齢者の悲惨な事件をくい止めるための制度・法案はいつになったら出てくるのだろうか。


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プロフィール
荒川区男性介護者の会
(通称:オヤジの会)
妻や両親を介護している男性、介護をしていた男性を中心とした「男性介護者の会」の先駆け。東京都荒川区を中心に、住み慣れた地域で暮らす家族介護者の支援を展開している。定例会での介護の悩みや意見交換のほか、行政や地域の企業や商店、研究者、他の介護者の会などと連携をしながら、様々な情報発信を行っている。
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