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どうなる? 介護保険

介護職員の資格

 第5期(2012~2014年度)介護報酬改定の大きなポイントは、介護職員処遇改善交付金(税金)が「介護職員処遇改善加算」として介護報酬に組み込まれたことですが、5月11日には厚生労働省老健局長が主催する「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」(以下、懇談会)が開かれました。開催趣旨は「介護人材の確保・定着は重要な課題であり、今後の介護職員の処遇改善等のあり方について関係団体等による意見交換を行う」(資料1)で、(1)キャリア段位制度、(2)認定介護福祉士(仮称)制度の方向性、(3)IT等を活用した医療・介護周辺サービス産業創出調査事業についての報告と、委員の自由意見が出されました。
 なお、17日には社会保障審議会介護給付費分科会の第90回が開かれ、介護報酬改定検証・研究委員会における議論の報告、介護事業経営調査委員会(仮称)設置の説明が行われる予定です。

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介護職員の実情
 懇談会資料として厚生労働省老健局がまとめた資料5「介護職員をめぐる現状と人材の確保等の対策について」では、介護保険スタート以降、介護職員(直接介護を行う従事者で、ホームヘルパーを含む)は約55万人(2000年度)から約133万人(2010年度)と飛躍的に増えたことが報告されています。
介護職員の勤務形態は、常勤6・非常勤4という割合が固定化しています(表1参照)。2008年と2009年の介護職員の増減比較では、1年間に6万3000人増えていますが、新たに就職した人は28.1万人、離職した人は21.8万人で20万人以上、入れ替わっています。つまり、新人が約30万人、全体の2割以上を占めていることになります。(表2参照)。
 なお、離職した21.7万人のうち「他産業へ出ていく者」は13.7万人と報告され、6割以上の人が介護の仕事から離れています。また、経営者サイドからみた「平均賃金が全体より低い訪問介護員と介護職員で、不足感が高まっている」という報告もありました。

2025年に向けてあと100万人が必要
 介護職員の流動性が高いなか、少なくとも2015年度には167万人、2025年度には237万人の人材確保が必要と報告されています。
 「社会保障・税一体改革」を前提とした「改革シナリオ」で介護保険サービスの充実が実現された場合には、多くて2015年に176万人、2025年に249万人が必要になります(表3参照)。
 つまり、現在の149万人(2012年度)から13年後には88万人~100万人も増やさなければなりません。

政府が企画する「キャリア段位制度」
 しかし、懇談会ではいかに介護職員を増やすかという直接的な議論ではなく、能力評価、上級資格の検討についての報告が行われたのにとどまりました。
まず、内閣府が担当する「キャリア段位制度(国家戦略・プロフェッショナル検定)」について説明が行われました。「キャリア段位制度」は政府の「緊急雇用対策」(2009年10月23日、緊急雇用対策本部決定)にもとづく国家戦略プロジェクト(内閣官房国家戦略室)のひとつで、「新たな成長分野」(介護のほか、保育、農林水産、環境・エネルギー)を対象とする職業能力評価の新しい仕組みとされています(首相官邸「雇用戦略対話」第5回会合資料3より)。
 介護分野は「処遇や社会的評価の改善に結びつけていく」ことを目的に、「知識」と「実践的スキル」のふたつの職業能力を7段階で評価し、レベル4以上を「介護プロフェッショナル」と名付けるそうです。特に「実践的スキル」については施設・事業所内で評価を行う「アセッサ―」を職員のなかから選び講習を受けてもらう必要があるとしています。
 この職業能力評価は秋からのスタートが予定され、評価の仕組みについては緊急雇用対策本部推進チームの実践キャリア・アップ制度専門タスク・フォース「介護人材ワーキング・グループ」(田中滋・座長、慶応義塾大学大学院教授)で検討され、2011年10月から4都県140事業所・施設で実証事業が行われたことが報告されました(資料2-3)。

厚生労働省が企画する「認定介護福祉士(仮称)制度」
 認定介護福祉士(仮称)制度については、2011年8月11日から社団法人日本介護福祉士会が事務局を担当する「認定介護福祉士(仮称)制度の在り方に関する検討会」(太田貞司・委員長、オブザーバー・厚生労働省社会・援護局、厚生労働省2011年度老人保健事業推進費等補助金事業)の中間報告が行われました。介護福祉士は介護職員の約3割を占めていますが、認定介護福祉士(仮称)は、介護福祉士の実務経験7~8年以上で、チーム・リーダーになれる上級資格として、養成研修プログラムが検討されています(資料3)。

介護人材確保対策の効果は?
 厚生労働省は「介護人材確保等のための主な対策」として以下の9事業を報告しています。
1.「働きながら資格をとる」介護雇用プログラム
2.介護福祉士等修学資金貸付事業
3.介護福祉士養成のための離職者訓練
4.キャリア形成促進助成金
5.福祉・介護人材参入促進事業
6.潜在的有資格者等再就業促進事業
7.福祉・介護人材マッチング機能強化事業
8.福祉・介護人材キャリアパス支援事業
9.福祉・介護人材確保対策連携強化事業
 介護職員の能力評価も結構ですが、これらの人材確保施策の有効性について「評価」を行うべきではないでしょうか。介護職員の離職する理由、働き続けることができる条件を明らかにして対策を講じなければ、安定的な人材確保につながらないのではないかと思います。


表1 介護職員数
介護職員数常勤非常勤合計
2000年35.7万人65%19.2万人35%54.9万人
2001年40.9万人62%25.2万人38%66.2万人
2002年45.0万人60%30.6万人40%75.6万人
2003年51.7万人58%36.8万人42%88.5万人
2004年59.3万人59%40.9万人41%100.2万人
2005年65.7万人58%46.8万人42%112.5万人
2006年70.0万人59%48.6万人41%118.6万人
2007年74.1万人60%50.1万人40%124.2万人
2008年77.0万人60%51.0万人40%128.0万人
2009年79.8万人59%54.5万人41%134.3万人
2010年80.1万人60%53.3万人40%133.4万人
厚生労働省老健局「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」(2012.05.11)資料5「介護職員数の推移」より


表2 介護職員の動向
介護職員介護職員のうち介護福祉士
2008年128.0万人40.6万人
常勤77.0万人60%常勤33.7万人83%
非常勤51.0万人40%非常勤6.9万人17%
就職者28.1万人
常勤15.1万人54%
非常勤13.0万人46%
離職者21.8万人
常勤12.3万人56%
非常勤9.5万人44%
2009年134.3万人45.5万人
常勤79.8万人59%常勤36.8万人81%
非常勤54.5万人41%非常勤8.7万人19%
厚生労働省老健局「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」(2012.05.11)資料5「介護分野における従事者の動向等」より


表3 必要とされる介護職員数
介護職員介護その他職員
2000年度55万人26万人
2012年度149万人70万人
2015年度現状維持の場合164~172万人77~81万人
改革シナリオ167~176万人81~85万人
2025年度現状維持の場合218~229万人102~107万人
改革シナリオ237~249万人128~134万人


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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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