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どうなる? 介護保険

介護報酬改定(10)介護療養病床の改定

 今回は、第88回社会保障審議会介護給付費分科会(以下、分科会)に出された「平成24年度介護報酬改定の概要」(資料1-2。以下、概要)をもとに、介護療養病床(介護療養型医療施設 以下、療養病床)の改定についてみていきます。
 療養病床は、病状は安定したけれど長期療養が必要な人に介護や医療を提供する施設とされ、医療保険が適用される病床と、介護保険が適用される病床があります。ただし、入院日数が長い、ベッド数が多すぎるという理由で、医療保険適用型の約15万床を残して、2006~12年度までに、介護保険適用型を含む約23万床は老人保健施設(介護療養型老人保健施設)などに転換し、介護療養病床は廃止することが予定されました。(2006年1月26日、第39回分科会、資料5「介護療養病床の将来像について」より)。
 そして06年4月に約12万床あった介護療養病床は、11年6月には約8万床に減りました。

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ベッド数は減らさない転換廃止計画
 転換廃止の方法は、「現在の療養病床(医療療養病床、介護療養病床)に入院している患者を退院させず(ベッド数を削減せず)、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設などに転換するもの」で、「介護療養病床という名称の廃止であって、別に建物がなくなるわけではない」(第39回分科会議事録、田中滋委員)そうです。ただし、他の介護施設などに転換するかどうかは、「医療機関の経営判断による」とされています(第84回分科会、資料4「介護療養型医療施設・介護療養型老人保健施設の基準・報酬について」より)。

転換廃止計画は2018年まで延長
 このため、「介護療養病床からの転換が進んでいない」なか、昨年の介護保険法改正で、(1)現在存在する介護療養病床は6年間転換期限を延長する、(2)2012年度以降、介護療養病床の新設は認めない、(3)老人保健施設などへの転換を円滑に進めるために必要な追加的支援策を講じるなどが盛り込まれました(2012年2月23日、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料より)。


表1
サービスの種類事業所数利用者数
介護サービス
介護療養施設2026事業所13万6100人


表2
介護療養型医療施設2009~11年度2012~14年度増減(単純差引計)
相部屋の場合
要介護1794単位/日779単位/日-15単位/日(-1.89%)
要介護2904単位/日887単位/日-17単位/日(-1.88%)
要介護31142単位/日1120単位/日-22単位/日(-1.93%)
要介護41243単位/日1219単位/日-24単位/日(-1.93%)
要介護51334単位/日1309単位/日-25単位/日(-1.87%)
従来型個室の場合
要介護1683単位/日670単位/日-13単位/日(-1.90%)
要介護2793単位/日778単位/日-15単位/日(-1.89%)
要介護31031単位/日1011単位/日-20単位/日(-1.94%)
要介護41132単位/日1111単位/日-21単位/日(-1.86%)
要介護51223単位/日1200単位/日-23単位/日(-1.88%)


表3
初期加算30単位/日
退院前訪問指導加算460単位/回
退院後訪問指導加算460単位/回
退院時指導加算460単位/回
退院時情報提供加算500単位/回
退院前連携加算500単位/回
老人訪問看護指示加算300単位/回
夜勤勤務等看護加算7~23単位/日
試行的退院サービス費800単位/日
他科受診時費用362単位/日
若年性認知症入所者受入加算120単位/日
栄養マネジメント加算12単位/日
経口移行加算[新設]28単位/日
経口維持加算28単位/日
口腔機能維持管理体制加算[新設]30単位/月
口腔機能維持管理加算[新設]110単位/月
在宅復帰支援機能加算10単位/日
療養食加算23単位/日
認知症専門ケア加算3~4単位/日
認知症行動・心理症状緊急対応加算[新設]200単位/日
サービス提供体制強化加算6~12単位/日
介護職員処遇改善加算[新設]所定単位×1.1%/月


表4
介護療養病床入所前の場所介護老人保健施設退所後の行き先
家庭12.0%家庭12.1%
特別養護老人ホーム1.5%特別養護老人ホーム6.5%
その他の社会福祉施設0.5%その他の社会福祉施設1.4%
老人保健施設3.7%老人保健施設9.9%
医療機関75.2%医療機関34.7%
その他7.1%死亡33.0%
その他2.4%
出典:厚生労働省大臣官房統計情報部「2010年介護サービス施設・事業所調査結果の概況


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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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