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どうなる? 介護保険

サービスの値段と保険料の関係

 1月25日、介護サービスの値段である介護報酬の見直しを議論してきた社会保障審議会介護給付費分科会(座長:大森彌・東京大学名誉教授 以下、分科会)の第88回が開かれます。
 分科会では昨年12月5日、「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告」(以下、審議報告)の概要審議報告をまとめ、22日には厚生労働省が「診療報酬・介護報酬改定等について」で第5期(2012~2014年度)介護報酬は1.2%のプラス改定(在宅1.0%、施設0.2%)と公表しています。
 第5期の介護保険各サービスの具体的な報酬単価について、分科会では厚生労働大臣から諮問(「これでいいですか」という質問)書を受けとり、答申(部分修正などを加えた「いいですよ」という回答)書をまとめることが予定されています。第88回の傍聴申込の締め切りは19日正午です。
 なお、2012年度は3年ごとに見直される介護報酬と2年ごとに見直される診療報酬の同時改定になりますが、1月13日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)総会の第214回にて、医療サービスの値段である診療報酬は全体改定率がプラス0.004%、約5,500億円の引き上げと報告され(資料1-1「診療報酬・介護報酬改定等について(抄)」、資料1-2「2012(平成24)年度診療報酬改定について」)、資料2「2012(平成24)年度診療報酬改定に係る議論の整理(案)」では、重点課題に「医療と介護の役割分担の明確化と地域における連携体制の強化の推進及び地域生活を支える在宅医療等の充実」が掲げられています。

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処遇改善交付金(税金)が加算(介護報酬)になる
 介護保険サービスの費用である介護報酬は、介護保険料が45%、税金(国、都道府県、市区町村)が45%、実際に利用する人の1割負担(利用料)が10%という構成です。介護報酬が1.2%の引き上げになれば、それぞれの負担も自動的に引き上がる仕組みです。
 前回の第4期(2009~11年度)介護報酬改定では、介護職員を確保するため3%の引き上げが行われましたが、40歳以上の被保険者が負担する保険料の上昇分は、税金(介護従事者処遇改善臨時特別交付金、2008年度補正予算1154億円、2009年度補正予算4773億3800万円)の投入により抑制されました。また、続いて実施された介護職員処遇改善交付金(以下、交付金、2009年10月~12年3月約3975億円)は全額税金が負担したため、保険料や利用料など介護報酬全体の引き上げを抑制しました。
 今回のプラス1.2%改定は、介護職員の給与を引き上げるための交付金を廃止するかわりに介護報酬全体を引き上げ、引き上げた分は介護職員の給与に反映されるよう介護保険サービス提供事業所への「処遇改善加算(仮称)」とすることが予定されています。25日の諮問でどの程度の単価が出てくるのか注目したいと思います。

介護保険料は月5000円台に
 交付金が介護報酬に組み込まれることが決まったため、税金(国、都道府県、市区町村)と保険料(第1号保険料、第2号保険料)も引き上げになることも決まっています。
 介護保険の運営に責任をもつ市区町村では第5期介護保険事業計画、市区町村を支援する立場の都道府県では第5期介護保険支援計画を策定中ですが、青森「介護保険料 29市町村で上昇へ 」(1月4日東奥日報)、新潟「介護保険料3割引き上げ 上越市」(1月14日読売新聞)、長野「介護保険料引き上げ、7割超の団体が検討」(1月8日信濃毎日新聞)、岡山「介護保険料、千円増案 岡山市」(1月14日朝日新聞)などの報道にあるように、今春以降の第1号保険料は全国平均5000円台に乗ることが予測されます。
 今月6日に公表された政府(政府・与党社会保障改革本部)の「社会保障・税一体改革素案」では「医療・介護保険制度のセーフティネット機能の強化・給付の重点化、低所得者対策」として、「介護1号保険料の低所得者保険料軽減強化」による65歳以上の第1号保険料の負担軽減とともに、「介護納付金の総報酬割導入等」による40~64歳の第2号保険料の負担割合の変更を提案しています。特に65歳以上の年金生活者にとっては、“払える保険料”だけでなく、“払える利用料”もあわせて検討することが必要だと思われます。



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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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