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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter 3 「良い医師(病院)を紹介して下さい その3 便利な病院がいいですか?」

 前回は、私にとっての「良い医師」を探すためには以下の3つのヒントとして

 ○専門性
 ○利便性
 ○相性

があることと、「専門性」についてお伝えしました。今回は、ヒントの2つめ、「利便性」についてお伝えします。

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 利便性とは便利なことをいいますが、利便性のある病院とはつまり、どのような病院をいうのでしょうか。
 外来通院をしている患者さんであれば、片道30分以内で通える病院や、通勤途中にある病院など、通うのに便利な病院などがあげられるでしょう。
 また、家族が入院してもいつでも付き添えるように24時間面会が可能な病院、建て直したばかりの綺麗な病院、売店やその他サービスが充実していて入院していても自由に買い物が出来る病院、付き添いがいなくても必要な物は頼めば配達してくれる病院など、病院サービスがいき届いている病院、などが考えられます。

 しかし、残念ですが現実的には全国どこに住んでいても自分が受けたい治療、入院したい設備が整っている病院が近くにあるとは限りません。
 例えば白血病となり骨髄移植が必要となった時に、移植の経験が豊富な医師が大勢おり、クリーンルームなど移植に必要な施設が完備していて、個室には長期入院をしていても外界との連絡がとれるようにインターネットなどの設備が完備している、という病院は探せば日本のどこかにはあるかもしれませんが、自宅の近くにはない可能性があります。

 こういった場合に、あなたはどこまで利便性を追及しますか? 
 自宅から遠く、家族が付き添うために自宅との往復に片道2時間以上かかる専門病院でしょうか? それとも、ある程度の施設は整っており、治療成績も中ぐらいだけれど、隣町にある古い病院でしょうか。

 あなたの立場によっても選択は変わってくるでしょう。
 御見舞いに来るのが老齢の両親なのか、小さな子どもを連れて週末だけ会いに来る若い夫なのかによっても変わるでしょう。
 また、非常に治療が難しい状況での移植治療なのか、それとも状態が安定している状態での移植なのか、など病状によっても答えは変わってくるのではないでしょうか。

 こうして自身の状況を把握した上で初めて、条件にあった病院探しが始まります。
 利便性一つとっても、様々な個人的な状況によって『私にとっての良い病院』は異なるものなのです。

 次のお手紙では「相性」についてお伝えします。次回は、2月3日の更新の予定です。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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