第14回精神保健福祉士国家試験に合格したいあなたに、受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。
第7回 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 (その1)
皆さんこんにちは。今回は、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」を取り上げます。この科目は範囲が広いので、今回と次回の2回に分けて解説したいと思います。今回は主に、精神障害に対する支援の基本的な考え方と精神科リハビリテーションの概念などについて取り上げていきたいと思います。
その前にまず、前回の課題を解説しておきましょう。
その前にまず、前回の課題を解説しておきましょう。
前回の解説
第14回 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉論
問題31 障害者福祉の理念と歴史に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
問題31 障害者福祉の理念と歴史に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
| 1 | 1996(平成8)年に、遺伝を防止するために精神疾患や知的障害があれば保護者の同意だけで不妊手術ができるという母体保護法は改正された。 |
| 2 | バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N.)は、ノーマライゼーションについて、障害の状態が固定した時にはリハビリテーションを実施してノーマルな状態に引き上げることとした。 |
| 3 | ビアーズ(Beers,C.)は精神科病院の入院経験から『わが魂にあうまで(A Mind That Found Itself)』を著し、コネチカット州において自立生活運動を展開する中心的な役割を果たした。 |
| 4 | 1993(平成5)年の障害者基本法では、精神障害者が総合的な障害者施策の対象として位置づけられ、福祉の増進と国民の精神保健の向上がうたわれた。 |
| 5 | 1995(平成7)年の「障害者プラン〜ノーマライゼーション7か年戦略〜」では、障害のある人々が社会の構成員として地域の中で共に生活が送れることを目標とした。 |
正答 5
解説
解説
| 1 | 誤り。1996(平成8)年に行われた、優生保護法から母体保護法への改正によって、遺伝を防止するためという優生思想に基づく優生手術に関する条文が削除されました。不妊手術の要件を、母体の生命に危険を及ぼす場合や母体の健康度が著しく低下する恐れのある場合に限定しました。 |
| 2 | 誤り。バンク-ミケルセンは、ノーマライゼーションとは、障害者をノーマルな状態にすることではなく、障害者が、人々が普通に生活しているようなノーマルな生活をすることができるようにすることであるとしています。 |
| 3 | 誤り。ビアーズは、自伝的著書である「わが魂にあうまで」を著し、この著作を契機に、コネチカット州に精神衛生協会が設立され、その後の精神衛生運動の流れがつくられました。自立生活運動は、重度の身体障害者であったアメリカのカリフォルニア州バークレー大学のエド・ロバーツが開始した、障害者自身による自立生活をめざす当事者運動です。 |
| 4 | 誤り。1993(平成5)年の障害者基本法では、精神障害者が総合的な障害者施策の対象になり、障害の有無によって分け隔てられることのない、人格と個性を尊重し合う共生社会の実現と障害者の自立と社会参加の支援がうたわれました。精神障害者の福祉の増進と国民の精神保健の向上がうたわれているのは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律においてです。 |
| 5 | 正しい。「障害者プラン」は、リハビリテーションの理念とノーマライゼーションの理念を踏まえつつ、障害のある人々が社会の構成員として地域のなかで共に生活が送れるように、ライフステージの各段階で、住まいや働く場、活動の場や必要な保健福祉サービスが、的確に提供される体制を確立することを目標として策定されました。 |
いかがでしたか。「精神保健福祉相談援助の基盤(専門)」では、相談援助の対象、価値、意義や、権利擁護など、精神保健福祉士として援助する際におさえておくべき理念について、よく学習しておきましょう。では、今回の「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」に入っていきましょう。
| 教育内容 | 想定される 教育内容の例 |
|
|---|---|---|
| ねらい(目標) | 教育に含むべき 事項(内容) | |
|
・精神医療の特性(精神医療の歴史・動向や精神科病院の特性の理解を含む)と、精神障害者に対する支援の基本的考え方について理解する。 ・精神科リハビリテーションの概念と構成及びチーム医療の一員としての精神保健福祉士の役割について理解する。 ・精神科リハビリテーションのプロセスと精神保健福祉士が行うリハビリテーション(精神科専門療法を含む)の知識と技術及び活用の方法について理解する。 ・精神障害者を対象とした相談援助技術(個別援助、集団援助の過程と、相談援助に係る関連援助や精神障害者と家族の調整及び家族支援を含む)の展開について理解する。 ・精神障害者の地域移行支援及び医療機関と地域の連携に関する基本的な考え方と支援体制の実際について理解する。 ・精神障害者の地域生活の実態とこれらを取り巻く社会情勢及び地域相談援助における基本的な考え方について理解する。 ・地域リハビリテーションの構成と社会資源の活用及びケアマネジメント、コミュニティワーク(地域相談援助に係る組織、団体、関係機関及び専門職との連携についての理解を含む)の実際について理解する。 ・地域生活を支援する保健・医療・福祉等の包括的な支援(地域精神保健福祉活動)の意義と展開について理解する。 |
(1) 精神保健医療福祉の歴史と動向 | ○わが国の精神保健医療福祉の歴史と動向 |
| ○諸外国の精神保健医療福祉制度の変遷 | ||
| (2) 精神障害者に対する支援の基本的な考え方と必要な知識 | ○精神保健福祉士における活動の歴史 | |
| ○精神障害者支援の理念 | ||
| ○精神保健医療福祉領域における支援対象者 | ||
| ○精神障害者の人権 | ||
| (3) 精神科リハビリテーションの概念と構成 | ○精神科リハビリテーションの概念 | |
| ○精神科リハビリテーションの理念、意義と基本原則 | ||
| ○精神科リハビリテーションの構成と展開 | ||
| (4) 精神科リハビリテーションのプロセス | ○リハビリテーション計画 | |
| ○アプローチの方法 | ||
| (5) 医療機関における精神科リハビリテーション(精神科専門療法を含む)の展開とチーム医療における精神保健福祉士の役割 | ○精神専門療法 | |
| ○家族教育プログラム | ||
| ○精神科デイ・ケア等 | ||
| ○アウトリーチ | ||
| ○チーム医療の概要 | ||
| ○多職種との協働・連携 | ||
| (6) 精神障害者の支援モデル | ○代表的な実践モデル | |
| (7) 相談援助の過程及び対象者との援助関係 | ○受理面接(インテーク) | |
| ○契約 | ||
| ○課題分析(アセスメント) | ||
| ○支援の計画(プランニング) | ||
| ○支援の実施(インターベンション) | ||
| ○経過観察(モニタリング) | ||
| ○効果測定と支援の評価 | ||
| ○終結とアフターケア | ||
| (8) 相談援助活動のための面接 技術 | ○面接を効果的に行う方法 | |
| (9) 相談援助活動の展開(医療施設、社会復帰施設、地域社会を含む。) | ○個別支援の実際と事例分析 | |
| ○集団を活用した支援の実際と事例分析 | ||
| ○具体的事例検討 | ||
| (10) 家族調整・支援の実際と事例分析 | ○精神障害者と家族との関係 | |
| ○家族支援の方法 | ||
| ○具体的事例検討 | ||
| (11) スーパービジョンとコンサルテーション | ○スーパービジョンの意義、方法展開 | |
| ○コンサルテーションの意義、方法、展開 | ||
| (12) 地域移行の対象及び支援体制 | ○地域移行支援の対象 | |
| ○地域移行の体制 | ||
| ○精神保健福祉士の役割と多職種との連携 | ||
| ○地域移行に係る組織や機関 | ||
| ○地域移行を推進する制度、施策 | ||
| ○具体的事例検討 | ||
| (13) 地域を基盤にした相談援助の主体と対象(精神障害者の生活実態とこれらを取り巻く社会情勢、医療、福祉の状況を含む) | ○地域相談援助の主体 | |
| ○地域相談援助の対象 | ||
| ○地域相談援助の体制 | ||
| ○具体的事例検討 | ||
| (14) 地域を基盤にしたリハビリテーションの基本的考え方 |
|
|
| (15) 精神障害者のケアマネジメント | ○ケアマネジメントの原則 | |
| ○ケアマネジメントの意義と方法 | ||
| ○ケアマネジメントのプロセス | ||
| ○チームケアとチームワーク | ||
| ○具体的事例検討 | ||
| (16) 地域を基盤にした支援とネットワーキング | ○地域を基盤にした支援の概念と基本的性格 | |
| ○地域を基盤にした支援の具体的展開 | ||
| ○具体的事例検討 | ||
| (17) 地域生活を支援する包括的な支援(地域精神保健福祉活動)の意義と展開 | ○包括的な支援(地域精神保健福祉活動)の意義と実際 | |
精神保健医療福祉制度の変遷
この分野のねらいは、「精神医療の歴史・動向や精神科病院の特性の理解を含む精神医療の特性と、精神障害者に対する支援の基本的考え方について理解する」とされています。
我が国の精神保健医療福祉の歴史と動向を、精神病者監護法から、現在の精神保健福祉法に至るまでの法制度の歴史的経緯とその意味するところ、国際的動向と我が国の施策との関連性を学習しておきましょう。諸外国の精神保健医療福祉制度の変遷については、アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、フランス、韓国、ニュージーランド各国のそれぞれの制度の発展と特徴をおさえておいてください。
「精神障害者に対する支援の基本的な考え方と必要な知識」としては、精神障害者の権利の擁護者としての側面を、ノーマライゼーション 、ストレングス、リカバリー、リジリエンス等の用語理解を含めて、十分に理解しておきましょう。
また、精神障害者を、各支援領域でどのように位置付けているか、精神保健福祉法の精神障害者の定義、障害者基本法における位置付け、ICFの視点による精神障害のとらえ方、精神保健福祉士法、障害者雇用促進法、障害者自立支援法、医療観察法、自殺対策基本法、発達障害者支援法等での位置付けを整理しておくとよいでしょう。
精神障害者の人権としては、国連原則、国連の障害者権利条約や、障害があるが故に資格を取得できない欠格条項の実情、インフォームドコンセントの理念やその具体化としての医療法の改正、障害者虐待防止、成年後見制度等、「精神保健福祉相談援助の基盤(専門)」とも重複する分野ですので、並行して学習しておきましょう。
我が国の精神保健医療福祉の歴史と動向を、精神病者監護法から、現在の精神保健福祉法に至るまでの法制度の歴史的経緯とその意味するところ、国際的動向と我が国の施策との関連性を学習しておきましょう。諸外国の精神保健医療福祉制度の変遷については、アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、フランス、韓国、ニュージーランド各国のそれぞれの制度の発展と特徴をおさえておいてください。
「精神障害者に対する支援の基本的な考え方と必要な知識」としては、精神障害者の権利の擁護者としての側面を、ノーマライゼーション 、ストレングス、リカバリー、リジリエンス等の用語理解を含めて、十分に理解しておきましょう。
また、精神障害者を、各支援領域でどのように位置付けているか、精神保健福祉法の精神障害者の定義、障害者基本法における位置付け、ICFの視点による精神障害のとらえ方、精神保健福祉士法、障害者雇用促進法、障害者自立支援法、医療観察法、自殺対策基本法、発達障害者支援法等での位置付けを整理しておくとよいでしょう。
精神障害者の人権としては、国連原則、国連の障害者権利条約や、障害があるが故に資格を取得できない欠格条項の実情、インフォームドコンセントの理念やその具体化としての医療法の改正、障害者虐待防止、成年後見制度等、「精神保健福祉相談援助の基盤(専門)」とも重複する分野ですので、並行して学習しておきましょう。
精神科リハビリテーションの概念と構成
この分野は、「精神科リハビリテーションの概念と構成及びチーム医療の一員としての精神保健福祉士の役割について理解する」というねらいが掲げられており、精神障害特性を踏まえた、精神科リハビリテーションの定義、起源と発展の歴史、動向についておさえておきましょう。また、WHOの理念、心理社会的リハビリテーション、社会モデル、アンソニー等による精神科リハビリテーションの基本原則、当事者参加、個別性の重視、総合的アプローチの重要性等、理念的な側面をよく学習しておきましょう。
精神科リハビリテーションの構成と展開として、医療機関におけるリハビリテーション、障害福祉サービスにおけるリハビリテーション、保健所や市町村、福祉事務所、公共職業安定所、児童相談所等の行政機関におけるリハビリテーション、また、民間の組織としての社会福祉法人やNPO法人、社会福祉協議会、民生委員、児童委員、保護司等多面的に構成されていること、それぞれの役割やリハビリテーションがどのように展開されていくかを理解しておきましょう。
精神科リハビリテーションの構成と展開として、医療機関におけるリハビリテーション、障害福祉サービスにおけるリハビリテーション、保健所や市町村、福祉事務所、公共職業安定所、児童相談所等の行政機関におけるリハビリテーション、また、民間の組織としての社会福祉法人やNPO法人、社会福祉協議会、民生委員、児童委員、保護司等多面的に構成されていること、それぞれの役割やリハビリテーションがどのように展開されていくかを理解しておきましょう。
精神科リハビリテーションのプロセス、技法
この分野は、「精神科リハビリテーションのプロセスと精神保健福祉士が行う、精神科専門療法を含むリハビリテーションの知識と技術及び活用の方法について理解する」というねらいが掲げられています。
精神科リハビリテ−ションのプロセスとして、リハビリテーション計画策定の意義とその内容、計画策定のための機能評価、資源評価、評価尺度に対する理解を深めておきましょう。また、アプローチの方法として、長期入院者の地域移行支援や、リカバリーやソーシャルインクルージョン、ストレングスの視点、ケアマネジメント等の理念を基盤とした地域リハビリテーションの概念によるリハビリテーションアプローチ、疾病の経過やライフサイクルの側面を踏まえた上でのアプローチを理解しておきましょう。
精神療法は、この科目の頻出の分野です。作業療法やレクリエーション療法、集団精神療法、行動療法、認知行動療法、SST(生活技能訓練)等の各精神療法の内容と、それらの適用対象疾病や、回復状況や時期等を踏まえた適切な活用方法、精神保健福祉士の役割をしっかりと学習しておきましょう。
家族教育プログラムとしての家族心理教育とその進め方、精神科デイ・ケアの施設基準と診療報酬やその役割、デイ・ケアの実際、ナイトケア、デイナイトケアに関する知識も確実なものにしておいてください。精神科退院前訪問指導、精神科訪問看護、訪問指導の具体的なアウトリーチの内容と診療報酬との関係、チーム医療におけるチームアプローチとして、多職種との協働・連携と精神保健福祉士の役割がポイントです。
精神障害者支援の実践モデルとして、治療モデル、生活モデル、ストレングスモデル等の技術とその活用方法、活用の際の精神保健福祉士の役割を確認しておきましょう。
今回は、精神障害者に対する支援の基本的な考え方と必要な知識として、精神障害者の権利擁護、利用者主体の側面から、ストレングス、リカバリー、リジリエンス等の用語について解説しておきましょう。
精神障害者の地域生活を支援する際の基本的な視点として、まず、ストレングスの視点が上げられます。援助者は、利用者の弱さや疾病の面だけに目を留めるのではなく、本人の可能性、希望、強さ、長所に目を留めて支援する視点をストレングスの視点による支援といいます。また、利用者本人の可能性だけではなく、地域にある社会資源の可能性や強さにも目を留めてそれらを十分に活用することも含まれた概念です。このようなストレングスの視点による援助を、ストレングスモデルといいます。
リカバリーとは、病気や障害によって一度失ってしまった希望や夢、人間としての誇りを取り戻して、よりよい社会生活を送ることができるようになることで、病気や障害を抱えながらも人間としての尊厳ある存在として再生することです。病気や障害によって失われた人間関係や社会関係を地域のなかで再構築して、自己の人生を希望に満ちたものとしてつくり上げていくことです。
リジリアンスとは、ストレングスの視点から導き出された概念で、苦難を体験しながら、物事を洞察する力、問題に主体的に取り組む姿勢、苦難を創造的に受け止める姿勢、苦難を跳ね返し乗り越えるしなやかさ、弾力性など、新たな力を勝ち得ていく回復力・復元力のことをいいます。
援助者と利用者の関係については、指導する側と指導される側という関係ではなく、対等な関係であり、援助者は、その関係性を基礎にして利用者の地域生活を支援します。これを援助者と利用者のパートナーシップといいます。ストレングスモデルにおけるケアマネジメントでの重要な概念です。
また利用者は、地域生活のなかで孤立することなく、社会の一員として受け入れられ、かつ役割をもってその社会に包含されていくことが大切です。これをメンバーシップといいます。
精神科リハビリテ−ションのプロセスとして、リハビリテーション計画策定の意義とその内容、計画策定のための機能評価、資源評価、評価尺度に対する理解を深めておきましょう。また、アプローチの方法として、長期入院者の地域移行支援や、リカバリーやソーシャルインクルージョン、ストレングスの視点、ケアマネジメント等の理念を基盤とした地域リハビリテーションの概念によるリハビリテーションアプローチ、疾病の経過やライフサイクルの側面を踏まえた上でのアプローチを理解しておきましょう。
精神療法は、この科目の頻出の分野です。作業療法やレクリエーション療法、集団精神療法、行動療法、認知行動療法、SST(生活技能訓練)等の各精神療法の内容と、それらの適用対象疾病や、回復状況や時期等を踏まえた適切な活用方法、精神保健福祉士の役割をしっかりと学習しておきましょう。
家族教育プログラムとしての家族心理教育とその進め方、精神科デイ・ケアの施設基準と診療報酬やその役割、デイ・ケアの実際、ナイトケア、デイナイトケアに関する知識も確実なものにしておいてください。精神科退院前訪問指導、精神科訪問看護、訪問指導の具体的なアウトリーチの内容と診療報酬との関係、チーム医療におけるチームアプローチとして、多職種との協働・連携と精神保健福祉士の役割がポイントです。
精神障害者支援の実践モデルとして、治療モデル、生活モデル、ストレングスモデル等の技術とその活用方法、活用の際の精神保健福祉士の役割を確認しておきましょう。
今回は、精神障害者に対する支援の基本的な考え方と必要な知識として、精神障害者の権利擁護、利用者主体の側面から、ストレングス、リカバリー、リジリエンス等の用語について解説しておきましょう。
精神障害者の地域生活を支援する際の基本的な視点として、まず、ストレングスの視点が上げられます。援助者は、利用者の弱さや疾病の面だけに目を留めるのではなく、本人の可能性、希望、強さ、長所に目を留めて支援する視点をストレングスの視点による支援といいます。また、利用者本人の可能性だけではなく、地域にある社会資源の可能性や強さにも目を留めてそれらを十分に活用することも含まれた概念です。このようなストレングスの視点による援助を、ストレングスモデルといいます。
リカバリーとは、病気や障害によって一度失ってしまった希望や夢、人間としての誇りを取り戻して、よりよい社会生活を送ることができるようになることで、病気や障害を抱えながらも人間としての尊厳ある存在として再生することです。病気や障害によって失われた人間関係や社会関係を地域のなかで再構築して、自己の人生を希望に満ちたものとしてつくり上げていくことです。
リジリアンスとは、ストレングスの視点から導き出された概念で、苦難を体験しながら、物事を洞察する力、問題に主体的に取り組む姿勢、苦難を創造的に受け止める姿勢、苦難を跳ね返し乗り越えるしなやかさ、弾力性など、新たな力を勝ち得ていく回復力・復元力のことをいいます。
援助者と利用者の関係については、指導する側と指導される側という関係ではなく、対等な関係であり、援助者は、その関係性を基礎にして利用者の地域生活を支援します。これを援助者と利用者のパートナーシップといいます。ストレングスモデルにおけるケアマネジメントでの重要な概念です。
また利用者は、地域生活のなかで孤立することなく、社会の一員として受け入れられ、かつ役割をもってその社会に包含されていくことが大切です。これをメンバーシップといいます。
以上を、簡単に表にまとめておきましょう。
| ストレングス | 本人の希望、長所、強さや地域における資源の可能性等に目を留めて支援する考え方 |
|---|---|
| リカバリー | 病気や障害を抱えながらも社会的に再生すること |
| リジリアンス | 苦難を乗り越えるしなやかさや復元力のこと |
| パートナーシップ | 利用者と援助者の対等な関係性のこと |
| メンバーシップ | 孤立した人が地域の一員として帰属していくこと |
いかがでしたか。次回は、この科目の後半の部分を取り上げていきたいと思います。
では、今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。
では、今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。
第14回精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉援助技術
問題55 リカバリーに関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。
問題55 リカバリーに関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。
| 1 | 激しい精神症状が消失することである。 |
| 2 | 悩みを前向きに受け止めながら生きることである。 |
| 3 | 精神保健福祉サービスを必要としなくなることである。 |
| 4 | 薬を必要としない状態になることである。 |
| 5 | 支援を必要としなくなり、自立することである。 |










