第86回 医療の知識をもとう
みなさんが病気になって診療を受けるにあたっては、さまざまな選択肢があります。まず、かかりつけの医師に診てもらう人、あるいはいろいろな診療科目がそろっている総合病院に行く人、もっと特別な病気を専門にする医師のいる大学病院などに行く人がいます。どこでも受診できるのが日本の医療制度ですが、これにはいろいろと無駄な部分があります。
体調がよくないと思って病院に行って、何時間も待ってようやく受診したあとで、医師から「たいしたことはありませんよ」と言われる。「がんじゃないですか」と聞いて、「いや、大丈夫でしょう」と言われても、それでもやはり心配で別の病院へ行って診てもらったりすることがよくあります。そこで「ちょっとあやしいですね」などと言われれば、また別の専門医のところへ行ったりもします。このような受診行動からは、同じ検査を何回も受けたりすることになるので、健康保険でまかなっている日本の医療費は大いに無駄に使われることになります。
日本では、3分診療といわれているように、医師が患者さんにわかりやすい言葉で詳しく説明する余裕がないことが多いので、患者さんはなかなか医師の言葉を理解することができません。そのために転々とお医者さんを変えたりすることにもなるわけです。
アメリカの病院では、はじめにかかったかかりつけ医やある病院で行った検査データを持参して、そこから紹介された病院に行くことになります。ところが日本では、なかなか自分の病院でとったデータを貸し出したがらない傾向があります。
みなさんがかかっている医師に「先生の診断所見と私の医療データを書いて貸し出していただけませんか」と頼んでみてください。喜んで貸し出す医師は自分の技量に自信がある医師で、「貸し出しはしません」と言う医師は自分の診断に自信がないからなのかもしれません。
アメリカでは、かかりつけ医から紹介されて病院に行った患者さんには、病院で診断がつきますと、「私の診断所見をあなたのかかりつけのお医者さんに渡して、今後はそちらから指導を受けてください」と言われます。
日本では、どこの病院に行っても健康保険制度のもとでは支払うお金は同じために、どうしても医療に無駄が生じてしまうことになりがちです。はじめはまずかかりつけ医に診察を受けて、そこから必要であればそれぞれの専門医を紹介され、それでも難しい病気であればより高度な医療を提供する専門病院へ行くというように、一次医療→二次医療→三次医療というシステムに日本の制度を変えなくてはなりません。
また、医師の診察を受けるときには、身体を清潔にして、着脱の容易な下着を身につけましょう。
米国では、診察の際には女性の患者さんにシーツのようなガウンを渡すと、患者さんは下着を脱いで裸になります。だから盲腸の手術をしたとか、子宮摘出の手術をしたなどということがすぐわかります。日本では、患者さんを裸にして診ることもなく、また患者のほうでも裸になって診てもらうのが当たり前だという自覚がないために、余分に時間がかかったり、大切な所見を見逃したりすることがあるわけです。
いまはインターネットで検索しますと、医師の経歴をはじめ、手術数などに至るまで詳しい情報を知ることができます。また、近頃は産むこどもの数も減っていて、産院や産婦人科を選ぶのもなかなか難しいと思います。そういうときは、インターネットを見て、どこの産院がどのような診療をしているか、雰囲気はどうか、設備やサービスはどうかなどを調べて、それから見学に行ってみるのがいいと思います。
したがって、医療施設の側でも正しい情報公開が求められています。医療職や看護職、その他の介護職に日々の研鑽が必要なように、受診者の側にもそれらの情報を正しく理解するための医学用語や最新情報の知識が必要です。
医療を受ける側のレベルが高くなれば、医療や看護もよくなるということを知っていただきたいと思います。
体調がよくないと思って病院に行って、何時間も待ってようやく受診したあとで、医師から「たいしたことはありませんよ」と言われる。「がんじゃないですか」と聞いて、「いや、大丈夫でしょう」と言われても、それでもやはり心配で別の病院へ行って診てもらったりすることがよくあります。そこで「ちょっとあやしいですね」などと言われれば、また別の専門医のところへ行ったりもします。このような受診行動からは、同じ検査を何回も受けたりすることになるので、健康保険でまかなっている日本の医療費は大いに無駄に使われることになります。
日本では、3分診療といわれているように、医師が患者さんにわかりやすい言葉で詳しく説明する余裕がないことが多いので、患者さんはなかなか医師の言葉を理解することができません。そのために転々とお医者さんを変えたりすることにもなるわけです。
アメリカの病院では、はじめにかかったかかりつけ医やある病院で行った検査データを持参して、そこから紹介された病院に行くことになります。ところが日本では、なかなか自分の病院でとったデータを貸し出したがらない傾向があります。
みなさんがかかっている医師に「先生の診断所見と私の医療データを書いて貸し出していただけませんか」と頼んでみてください。喜んで貸し出す医師は自分の技量に自信がある医師で、「貸し出しはしません」と言う医師は自分の診断に自信がないからなのかもしれません。
アメリカでは、かかりつけ医から紹介されて病院に行った患者さんには、病院で診断がつきますと、「私の診断所見をあなたのかかりつけのお医者さんに渡して、今後はそちらから指導を受けてください」と言われます。
日本では、どこの病院に行っても健康保険制度のもとでは支払うお金は同じために、どうしても医療に無駄が生じてしまうことになりがちです。はじめはまずかかりつけ医に診察を受けて、そこから必要であればそれぞれの専門医を紹介され、それでも難しい病気であればより高度な医療を提供する専門病院へ行くというように、一次医療→二次医療→三次医療というシステムに日本の制度を変えなくてはなりません。
また、医師の診察を受けるときには、身体を清潔にして、着脱の容易な下着を身につけましょう。
米国では、診察の際には女性の患者さんにシーツのようなガウンを渡すと、患者さんは下着を脱いで裸になります。だから盲腸の手術をしたとか、子宮摘出の手術をしたなどということがすぐわかります。日本では、患者さんを裸にして診ることもなく、また患者のほうでも裸になって診てもらうのが当たり前だという自覚がないために、余分に時間がかかったり、大切な所見を見逃したりすることがあるわけです。
いまはインターネットで検索しますと、医師の経歴をはじめ、手術数などに至るまで詳しい情報を知ることができます。また、近頃は産むこどもの数も減っていて、産院や産婦人科を選ぶのもなかなか難しいと思います。そういうときは、インターネットを見て、どこの産院がどのような診療をしているか、雰囲気はどうか、設備やサービスはどうかなどを調べて、それから見学に行ってみるのがいいと思います。
したがって、医療施設の側でも正しい情報公開が求められています。医療職や看護職、その他の介護職に日々の研鑽が必要なように、受診者の側にもそれらの情報を正しく理解するための医学用語や最新情報の知識が必要です。
医療を受ける側のレベルが高くなれば、医療や看護もよくなるということを知っていただきたいと思います。
(2011年12月7日)
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | もっと知りたい最新歯科医療――あなたの健康を生み出すオーラル・ヘルスケア |
【講師】 | 松本宏之先生(東京医科歯科大学歯学部附属病院総合診療科クリーンルーム歯科外科) |
【日程(全2回)】 |
第1回:2011年12月13日(火)13:30〜15:30 第2回:2012年1月17日(火)13:30〜15:30 |
【会場】 |
健康教育サービスセンター 〒102-0093千代田区平河町2-7-5砂防会館5階(地下鉄・永田町駅下車徒歩4分) |
【定員】 | 60名 |
【参加費】 | LPC会員2,000円/非会員3,000円 |
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 |
ダンス・アーティストから学ぶ援助者のためのワークショップ 感性を育む・からだを感じる ケアに生かすコミュニケーション〜からだをほぐして心をしなやかに |
【講師】 |
新井英夫(ダンス・アーティスト、体奏家) 吉野さつき(舞台芸術分野のワークショップコーディネーター) |
【日時】 | 2011年12月17日(土)10:00〜16:00 |
【会場】 | 剛堂会館(地下鉄・「麹町」駅下車1番出口徒歩4分、半蔵門線・南北線「永田町」駅より徒歩6分) |
【定員】 | 40名 |
【対象】 | 対人援助に携わる方(看護職者、福祉職者、介護職者、コメディカル、ボランティアなど) |
【参加費】 | 5,000円(LPC会員3,000円) |
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | 患者学講座――尊厳を支える生の実現のために |
【日程】 | 2012年1月27日(金)10:00〜16:15 |
【プログラム】 |
(1)10:00〜10:45「社会と医療」講師:渡邉大輔(成蹊大学アジア太平洋研究センター客員研究員) (2)10:45〜11:30「臨床の場で医療者は何をし、何を思うか」講師:高橋理(聖路加国際病院医師) (3)11:30〜12:00午前の部、質疑応答 (4)12:50〜13:35「がん患者支援活動HOPEの活動で何をし、何を思うか」講師:桜井なおみ(特定非営利活動法人HOPE★プロジェクト理事長) (5)13:35〜14:20「患者としての尊厳は」講師:野村祐之(青山学院大学講師) (6)14:35〜15:20「終末期医療の場でのスピリチュアルペイン」(講師:田中良浩 「ピースハウス」チャプレン) (7)15:20〜16:15午前の部、まとめ |
【会場】 |
健康教育サービスセンター 〒102-0093千代田区平河町2-7-5砂防会館5階(地下鉄・永田町駅下車徒歩4分) |
【定員】 | 40名 |
【対象】 | 一般 |
【参加費】 | 2,500円(LPC会員2,000円) |
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | 基礎から学ぶフィジカルアセスメント――リンパ浮腫とリンパドレナージ |
【日程】 | 2012年2月18日(土)10:00〜16:00 |
【プログラム】 |
10:00-12:00 「リンパ浮腫と治療の基礎について」廣田彰男(医学博士/広田内科クリニック理事長) 13:00-16:00 「在宅や訪問でいかせるリンパドレナージ」河内香久子(看護師/介護支援専門員/鍼灸・マッサージ師/シーズさわやかデイサロン) |
【会場】 |
剛堂会館 東京都千代田区紀尾井町3-27 (地下鉄・有楽町線「麹町」駅下車徒歩3分) |
【定員】 | 50名 |
【対象】 | 看護師、訪問看護師、看護教員など |
【参加費】 | 7,000円(LPC会員5,000円) |
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
- この連載に関するお問い合わせ先
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◆「新老人の会」に関するお問い合わせ先◆
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/ -
◆日野原重明先生が顧問をつとめている「NPO法人医療教育情報センター」に関するお問い合わせ先◆
医療教育情報センター事務所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-27-16 ハイシティ代々木303
TEL:03-5333-0083
FAX:03-5333-0084
ホームページ:http://www.c-mei.jp/