第78回 ケアで人と人とがつながる
さきの3月11日に東北地方太平洋沖で発生した大きな地震がありました。マグニチュード 9.0 を記録する地震で、東北地方を中心に火災、津波、停電などの被害が拡大しています。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。まだ、被災地で苦しんでおられる方が大勢おられます。一日でも早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
死と生のつながり
葉っぱを主人公にして、「生きるとはどういうことか、死とは何か」について考えるもので、私はこの童話を読むやいなや、これを音楽劇にすれば家族のみんなで「いのち」や「死」について一緒に話し合うきっかけになると思いました。
原作者のバスカーリアはアメリカ人ですが、鎌倉で禅の修行をしたこともあるというほど、「輪廻」という東洋の考え方に詳しい人です。葉っぱの生涯を人間の生涯になぞらえて、命のつながりをどのように考えるかを教えています。人間の命は有限であっても、それで命のつながりは断たれるのではなく、子どもや孫、あるいは友だちの中に生きているという「命のつながり」をテーマにしています。
私が音楽劇に脚色したのは11年前、それ以来毎年日本の各地で公演していました。それを本場のニューヨークで公演したのです。日本の子どもたちの演じたこの音楽劇は大好評で、私もカーテンコールには子どもたちと一緒に踊りました。アメリカの観客のこころにも、命のつながりという輪廻の考え方をしっかり届けることができました。
人と人との間に流れる「気」
人間は一人では生きていくことはできません。誰か他の人との関係において生きていくことができるのです。
毎日食べるご飯は、農家の人たちが育て収穫してくれたものです。私たちが通学や通勤するために乗る電車には一体どれだけの人が関わってくれているでしょうか。つまり、異なる働きをする大勢の人たちの恩恵によって、私たちは文化的な生活を送ることができているのです。このように、人間は誰かとの関係の中で生きているのです。
人間同士の間に存在する「関係性」は,私たちの健康にも大いに関わりがあります。たとえば,自分と家族、親と子、患者と医師、患者と看護師やヘルパーとの「あいだ」にも大切なものがあります。この関係がうまくいかないと、病気の予防や癒しにも影響することになります。
関係性が重要であるということについては、京都大学教授で哲学者でもある和辻哲郎先生が、人間の「ま」、あるいは「あいだ」が大切だと強調しています。
毎日食べるご飯は、農家の人たちが育て収穫してくれたものです。私たちが通学や通勤するために乗る電車には一体どれだけの人が関わってくれているでしょうか。つまり、異なる働きをする大勢の人たちの恩恵によって、私たちは文化的な生活を送ることができているのです。このように、人間は誰かとの関係の中で生きているのです。
人間同士の間に存在する「関係性」は,私たちの健康にも大いに関わりがあります。たとえば,自分と家族、親と子、患者と医師、患者と看護師やヘルパーとの「あいだ」にも大切なものがあります。この関係がうまくいかないと、病気の予防や癒しにも影響することになります。
関係性が重要であるということについては、京都大学教授で哲学者でもある和辻哲郎先生が、人間の「ま」、あるいは「あいだ」が大切だと強調しています。
人と人がつながり合うということ
人間の関係性を平易に言い換えれば、「つながり合う」ということができます。日本ではどんな山間僻地でもテレビを見ることができますが、それは電波をキャッチするアンテナが設置されているからです。これと同じように私たちは誰でも他の人と関わりをもつことができる「レセプター」をもっています。
私たちの人間の細胞は、その先端にアミノ酸という物質が出ていて、次の細胞にバトンタッチをするときに送り手の細胞の先が、受け手の細胞の受け口にくっついていきます。ちょうど鍵と鍵穴のように、うまくはまるようなジャンクションがあって、次から次へと延びていくようになっています。
これと同じように、人間同士も人から発信される電波を受けたり、あるいは自分からも電波を発信したりして様々な情報を交換しています。このレセプターは誰もがもっているものなのですが、それが敏感に働く人と、その働きが鈍い人がいます。働きの鈍い人は、音が出ていても聞こえない、あるいは発している光をキャッチできないということがあります。
お互いのレセプターがうまくジョイントして、つながり合っていることが、「関係性」もしくは「絆」があるということです。しかも、そこでは言葉による交流がきちんと行われなくてはなりません。
「関係性」とは、一方的に与える医療、たとえば手術を行うとか、薬物療法を処方するなどというように医療者のほうから患者に一方的に提供するようなことでなく、医療や介護を受ける人がどのような体質なのか、家族関係はどうか、どのような生活環境にあるのかなどについて医療者がよく考えて情報をやりとりすることで、双方が上手にかみ合った関わりをもつことによってはじめて効果的な癒しが行われるのです。
医療者や介護者は、もともと人間に具わっているレセプターの感度を良く働かせてコミュニケーションを築くようにしていくことです。数値だけではつかむことのできない人間の微妙なこころの働きに着目できる鋭いレセプターこそ、医療に携わる人たちに必要とされるアートであり、それが人間の健やかさや癒しに有効に働くことになるのを忘れてはなりません。
私たちの人間の細胞は、その先端にアミノ酸という物質が出ていて、次の細胞にバトンタッチをするときに送り手の細胞の先が、受け手の細胞の受け口にくっついていきます。ちょうど鍵と鍵穴のように、うまくはまるようなジャンクションがあって、次から次へと延びていくようになっています。
これと同じように、人間同士も人から発信される電波を受けたり、あるいは自分からも電波を発信したりして様々な情報を交換しています。このレセプターは誰もがもっているものなのですが、それが敏感に働く人と、その働きが鈍い人がいます。働きの鈍い人は、音が出ていても聞こえない、あるいは発している光をキャッチできないということがあります。
お互いのレセプターがうまくジョイントして、つながり合っていることが、「関係性」もしくは「絆」があるということです。しかも、そこでは言葉による交流がきちんと行われなくてはなりません。
「関係性」とは、一方的に与える医療、たとえば手術を行うとか、薬物療法を処方するなどというように医療者のほうから患者に一方的に提供するようなことでなく、医療や介護を受ける人がどのような体質なのか、家族関係はどうか、どのような生活環境にあるのかなどについて医療者がよく考えて情報をやりとりすることで、双方が上手にかみ合った関わりをもつことによってはじめて効果的な癒しが行われるのです。
医療者や介護者は、もともと人間に具わっているレセプターの感度を良く働かせてコミュニケーションを築くようにしていくことです。数値だけではつかむことのできない人間の微妙なこころの働きに着目できる鋭いレセプターこそ、医療に携わる人たちに必要とされるアートであり、それが人間の健やかさや癒しに有効に働くことになるのを忘れてはなりません。
(2011年3月22日)
■セミナーのお知らせ
【テーマ】医療と福祉の現場ではたらくボランティアのためのヘルスボランティア講座
【開催期間】2011年3月16日(水)・3月23日(水)
【会場】〒102-0093 千代田区平河町2−7−5砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
地下鉄・永田町駅下車徒歩5分
【定員】30名
【対象】一般(施設・地域でボランティアをされている方や、このテーマに関心のある方)
【参加費】5,000円(LPC会員3,000円)
【プログラム】
3月16日(水)
10:00〜12:30/13:15〜14:15 「傾聴とボランティア活動」(講師:水野修次郎・日本カウンセリング学会認定カウンセラー・認定スーパーバイザー,麗澤大学教授)
14:30〜15:30 「輝いて生きる・・・ボランティア活動がもたらす力」(講師:日野原重明・医学博士,(財)ライフ・プランニング・センター理事長)
3月23日(水)
10:00〜12:30/13:15〜14:15 「私は変わる、社会は変わる――ボランタリーライフの社会」(講師:興梠寛・昭和女子大学人間社会学部教授,日本ボランティア学習協会代表理事,世田谷ボランティア協会理事長)
14:30〜15:30 「ボランティア活動の基本の理解とLPCのボランティア活動」(講師:志村靖雄・(財)ライフ・プランニング・センターボランティアコーディネーター)
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】
(財)ライフ・プランニング・センター
TEL(03)3265−1907 FAX(03)3265−1909
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
メールアドレス: lpc_seminar@lpc.or.jp
【開催期間】2011年3月16日(水)・3月23日(水)
【会場】〒102-0093 千代田区平河町2−7−5砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
地下鉄・永田町駅下車徒歩5分
【定員】30名
【対象】一般(施設・地域でボランティアをされている方や、このテーマに関心のある方)
【参加費】5,000円(LPC会員3,000円)
【プログラム】
3月16日(水)
10:00〜12:30/13:15〜14:15 「傾聴とボランティア活動」(講師:水野修次郎・日本カウンセリング学会認定カウンセラー・認定スーパーバイザー,麗澤大学教授)
14:30〜15:30 「輝いて生きる・・・ボランティア活動がもたらす力」(講師:日野原重明・医学博士,(財)ライフ・プランニング・センター理事長)
3月23日(水)
10:00〜12:30/13:15〜14:15 「私は変わる、社会は変わる――ボランタリーライフの社会」(講師:興梠寛・昭和女子大学人間社会学部教授,日本ボランティア学習協会代表理事,世田谷ボランティア協会理事長)
14:30〜15:30 「ボランティア活動の基本の理解とLPCのボランティア活動」(講師:志村靖雄・(財)ライフ・プランニング・センターボランティアコーディネーター)
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】
(財)ライフ・プランニング・センター
TEL(03)3265−1907 FAX(03)3265−1909
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
メールアドレス: lpc_seminar@lpc.or.jp
■セミナーのお知らせ
【テーマ】日野原重明先生のご指導によるホームヘルパー2級養成研修講座――東京都認定訪問介護員養成研修講座2級課程
【開催期間】
(1)講義:4月26日(火)〜7月21日(木)週2回火・木
(2)実習:8月1日(月)〜9月30日(金)に期間中5日間
(3)修了式:10月6日(木)
【会場】〒102-0093 千代田区平河町2−7−5砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
地下鉄・永田町駅下車徒歩5分
【定員】20名
【参加費】LPC会員:92,400円,一般:96,400円
【対象】通学可能な方
【修了証明書】全課程を修了したかたには、訪問介護員2級修了証明証を交付します。
【教科書】(財)長寿社会開発センター発行 訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修テキスト2級課程を使用 6,800円
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】
(財)ライフ・プランニング・センター
TEL(03)3265−1907 FAX(03)3265−1909
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
メールアドレス: lpc_seminar@lpc.or.jp
【開催期間】
(1)講義:4月26日(火)〜7月21日(木)週2回火・木
(2)実習:8月1日(月)〜9月30日(金)に期間中5日間
(3)修了式:10月6日(木)
【会場】〒102-0093 千代田区平河町2−7−5砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
地下鉄・永田町駅下車徒歩5分
【定員】20名
【参加費】LPC会員:92,400円,一般:96,400円
【対象】通学可能な方
【修了証明書】全課程を修了したかたには、訪問介護員2級修了証明証を交付します。
【教科書】(財)長寿社会開発センター発行 訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修テキスト2級課程を使用 6,800円
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】
(財)ライフ・プランニング・センター
TEL(03)3265−1907 FAX(03)3265−1909
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
メールアドレス: lpc_seminar@lpc.or.jp
■セミナーのお知らせ
【テーマ】財団設立記念講演会 想いをつなぐ生きかた
【プログラム】
講演「再び歩みはじめる時期」垣添忠生先生((財)日本対がん協会会長)
講演「道しるべとなる生きかた」 日野原重明先生((財)ライフ・プランニング・センター理事長・聖路加国際病院理事長)
音楽と歌「いのちの再生」「葉っぱのフレディ」出演の子どもたちによるパフォーマンス
【開催日時】2011年5月21日(土) 13:30 〜16:30
【会場】笹川記念会館ホール
港区三田3-12-12(地下鉄泉岳寺駅より徒歩7分)
【定員】800名
【参加費】1000円
【申し込み・問い合わせ先】(平日9〜17時)
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 「記念講演会」B係
電話(03)3265−1907(平日9:00〜17:00)
http://www.lpc.or.jp/index.htm
【プログラム】
講演「再び歩みはじめる時期」垣添忠生先生((財)日本対がん協会会長)
講演「道しるべとなる生きかた」 日野原重明先生((財)ライフ・プランニング・センター理事長・聖路加国際病院理事長)
音楽と歌「いのちの再生」「葉っぱのフレディ」出演の子どもたちによるパフォーマンス
【開催日時】2011年5月21日(土) 13:30 〜16:30
【会場】笹川記念会館ホール
港区三田3-12-12(地下鉄泉岳寺駅より徒歩7分)
【定員】800名
【参加費】1000円
【申し込み・問い合わせ先】(平日9〜17時)
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 「記念講演会」B係
電話(03)3265−1907(平日9:00〜17:00)
http://www.lpc.or.jp/index.htm
- この連載に関するお問い合わせ先
-
◆「新老人の会」に関するお問い合わせ先◆
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/ -
◆日野原重明先生が顧問をつとめている「NPO法人医療教育情報センター」に関するお問い合わせ先◆
医療教育情報センター事務所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-27-16 ハイシティ代々木303
TEL:03-5333-0083
FAX:03-5333-0084
ホームページ:http://www.c-mei.jp/