第73回 人生をプラスにするために
大病をしても
それほど運動が好きなのですが、小学生(10歳)のときに急性腎炎にかかり、医師から運動を止められました。体をもてあましている私に、母はピアノを習わせてくれました。中学生になるとショパンやベートーベンなどの曲が弾けるようになりましたし、大学生のときに1年間の休学を余儀なくされた結核の療養中には独学で作曲もしたりしました。
それ以来、99歳の今日まで、音楽は私の趣味であるばかりか、音楽療法として病気を癒すためのものとして医師としての私にとっても大切なものとなっています。
私は病気に罹らなければ、音楽を楽しんだり、癒しに役立てたりすることを考えたりすることはなかったかもしれません。
ところで、みなさんが病気で入院した方のお見舞いに行くときには、よくよく十分な配慮が必要なのはご存じのとおりです。それなのに、これまで病気をしたことがないというような健康で元気な人がお見舞いに行ったりすると、そのふるまいが病人をかえって滅入らせたりすることがあります。たとえば野球やサッカーの話題などについて賑やかに話す人がいますが、患者さんにとってはそれどころの話ではないというような状態かもしれないのです。患者さんは体ばかりでなくこころも弱っているかもしれないのです。
ところが病気を体験したことのある人のお見舞いは、やはりどこか違っています。病人の気持ちを察して、気分を刺激しないように静かに座ったままでいたり、柔らかく握手をしたりして、決して長居をして病人を疲れさせたりすることはありません。
終わりよければすべてよし
さて、病気になるということは確かに辛いことで、それが長期に療養しなければならないような場合には大変なマイナスのように思うかもしれませんが、それに耐えて回復したのちには、自分にとって決してマイナスばかりでなかったこと、それどころかプラスですらあったということがわかるのです。これをキリスト教では「恩寵」といいます。
苦しんでいるときは、「つらい、つらい」と思っても――私も実際に1年以上腰などがとても痛みまして、「つらい、つらい」と言っていましたが――その厳しい経験があったからこそ、のちに医師として患者さんを診察するときには、患者さんのつらさを理解することができます。「つらいでしょうね」と心からの実感として受けとめることができるのです。
近頃、景気が悪くなり、リストラによって失職するなど、世の中では大変なことが起こっていますが、そのようなつらい経験も、それに我慢強く耐えていれば、いつかはきっとみなさんの人生にプラスになることでしょう。そして、今のマイナスをプラスにするためには、長生きをしなくてはいけません。苦労してそのまま死んではいけません。長生きをしますと、若いとき、中年のとき、その時々の苦労は、あとからちゃんと花が咲いてくるのです。みなさんの人生の花を咲かせるためには、今の苦労で終わってはだめです。長寿のプロダクト(成果)を目指すことです。
『終わりよければすべてよし』というシェイクスピアの戯曲がありますが、「私の人生の1000のうちの999は非常に不幸だったけれども、最後の1が最高によかった」となれば、「終わりよければすべてよし」ということになります。こういうことを「有終の美」といいます。「有終の美」を飾るためにも、健康に気をつけて長生きをする必要があるのです。
苦しんでいるときは、「つらい、つらい」と思っても――私も実際に1年以上腰などがとても痛みまして、「つらい、つらい」と言っていましたが――その厳しい経験があったからこそ、のちに医師として患者さんを診察するときには、患者さんのつらさを理解することができます。「つらいでしょうね」と心からの実感として受けとめることができるのです。
近頃、景気が悪くなり、リストラによって失職するなど、世の中では大変なことが起こっていますが、そのようなつらい経験も、それに我慢強く耐えていれば、いつかはきっとみなさんの人生にプラスになることでしょう。そして、今のマイナスをプラスにするためには、長生きをしなくてはいけません。苦労してそのまま死んではいけません。長生きをしますと、若いとき、中年のとき、その時々の苦労は、あとからちゃんと花が咲いてくるのです。みなさんの人生の花を咲かせるためには、今の苦労で終わってはだめです。長寿のプロダクト(成果)を目指すことです。
『終わりよければすべてよし』というシェイクスピアの戯曲がありますが、「私の人生の1000のうちの999は非常に不幸だったけれども、最後の1が最高によかった」となれば、「終わりよければすべてよし」ということになります。こういうことを「有終の美」といいます。「有終の美」を飾るためにも、健康に気をつけて長生きをする必要があるのです。
(2011年1月5日)
■セミナーのお知らせ
【テーマ】第18回 ホスピス国際ワークショップ ホスピス緩和ケアの提供とケアを提供する人々−英国・カナダ・日本の交流−
【プログラム】
2月5日(土)10:00〜17:00(懇親会18:30)
・進行する病いとともに生きる
・身体症状の評価とマネジメント
・心理社会的、スピリチュアルな問題への対応
*ピースハウスホスピス見学(希望者)
2月6日(日)9:00〜16:00
・緩和ケアの提供体制の現状と今後の展望−英国・カナダ・日本の交流−
・異なる場における緩和ケアの挑戦
・ケア提供者としての成長
【開催日時】2011年2月5日(土)・6日(日)
【会場】ピースハウスホスピス教育研究所
〒259-0151 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1000-1
【定員】80名
【対象】医師・看護師・ソーシャルワーカー・薬剤師・栄養士・チャプレンなどチームによるご参加を歓迎いたします。
【参加費】一般20,000円 ホスピス教育研究所会員15,000円(ともに税込み、昼食代含む、懇親会費別5,000円)
【主催】財団法人ライフプランニングセンター ピースハウスホスピス教育研究所
【申し込み・問い合わせ先】ピースハウスホスピス教育研究所
〒259-0151 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1000-1
TEL0465−81−8904 FAX0465−81−5521
【プログラム】
2月5日(土)10:00〜17:00(懇親会18:30)
・進行する病いとともに生きる
・身体症状の評価とマネジメント
・心理社会的、スピリチュアルな問題への対応
*ピースハウスホスピス見学(希望者)
2月6日(日)9:00〜16:00
・緩和ケアの提供体制の現状と今後の展望−英国・カナダ・日本の交流−
・異なる場における緩和ケアの挑戦
・ケア提供者としての成長
【開催日時】2011年2月5日(土)・6日(日)
【会場】ピースハウスホスピス教育研究所
〒259-0151 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1000-1
【定員】80名
【対象】医師・看護師・ソーシャルワーカー・薬剤師・栄養士・チャプレンなどチームによるご参加を歓迎いたします。
【参加費】一般20,000円 ホスピス教育研究所会員15,000円(ともに税込み、昼食代含む、懇親会費別5,000円)
【主催】財団法人ライフプランニングセンター ピースハウスホスピス教育研究所
【申し込み・問い合わせ先】ピースハウスホスピス教育研究所
〒259-0151 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1000-1
TEL0465−81−8904 FAX0465−81−5521
■セミナーのお知らせ
【テーマ】新時代のナースに求められるフィジカルアセスメント――ナースのための看護セミナーin静岡
【プログラム】
「講演1 新時代のナースに求められるフィジカルアセスメント」日野原重明
「講演2 高齢者の脆弱化についてのアセスメント」道場信孝((財)ライフ・プランニング・センター教育研究部最高顧問)
「講演3 バイタルサインの異常からアセスメントできること」徳田安春(筑波大学附属病院水戸医療教育センター教授)
【開催日時】2011年3月12日(土)13:00〜16:30
【会場】アクトシティ浜松 展示イベントホール
静岡県浜松市中区板屋町111-1
【定員】500名
【対象】看護師,保健師,看護職者,看護教育者など
【参加費】5,000円
【主催・後援】主催:(財)ライフ・プランニング・センター,後援:(社)静岡県看護協会
【申し込み・問い合わせ先】(平日9〜17時)
TEL(03)3265−1907
財団法人ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
http://www.lpc.or.jp/index.htm
【プログラム】
「講演1 新時代のナースに求められるフィジカルアセスメント」日野原重明
「講演2 高齢者の脆弱化についてのアセスメント」道場信孝((財)ライフ・プランニング・センター教育研究部最高顧問)
「講演3 バイタルサインの異常からアセスメントできること」徳田安春(筑波大学附属病院水戸医療教育センター教授)
【開催日時】2011年3月12日(土)13:00〜16:30
【会場】アクトシティ浜松 展示イベントホール
静岡県浜松市中区板屋町111-1
【定員】500名
【対象】看護師,保健師,看護職者,看護教育者など
【参加費】5,000円
【主催・後援】主催:(財)ライフ・プランニング・センター,後援:(社)静岡県看護協会
【申し込み・問い合わせ先】(平日9〜17時)
TEL(03)3265−1907
財団法人ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
http://www.lpc.or.jp/index.htm
■セミナーのお知らせ
【テーマ】医療と福祉の現場ではたらくボランティアのためのヘルスボランティア講座
【開催期間】2011年3月16日(水)・3月23日(水)
【会場】〒102-0093 千代田区平河町2−7−5砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
地下鉄・永田町駅下車徒歩5分
【定員】30名
【対象】一般(施設・地域でボランティアをされている方や、このテーマに関心のある方)
【参加費】5,000円(LPC会員3,000円)
【プログラム】
3月16日(水)
10:00〜12:30/13:15〜14:15 「傾聴とボランティア活動」(講師:水野修次郎・日本カウンセリング学会認定カウンセラー・認定スーパーバイザー,麗澤大学教授)
14:30〜15:30 「輝いて生きる・・・ボランティア活動がもたらす力」(講師:日野原重明・医学博士,(財)ライフ・プランニング・センター理事長)
3月23日(水)
10:00〜12:30/13:15〜14:15 「私は変わる、社会は変わる――ボランタリーライフの社会」(講師:興梠寛・昭和女子大学人間社会学部教授,日本ボランティア学習協会代表理事,世田谷ボランティア協会理事長)
14:30〜15:30 「ボランティア活動の基本の理解とLPCのボランティア活動」(講師:志村靖雄・(財)ライフ・プランニング・センターボランティアコーディネーター)
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】
(財)ライフ・プランニング・センター
TEL(03)3265−1907 FAX(03)3265−1909
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
メールアドレス: lpc_seminar@lpc.or.jp
【開催期間】2011年3月16日(水)・3月23日(水)
【会場】〒102-0093 千代田区平河町2−7−5砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
地下鉄・永田町駅下車徒歩5分
【定員】30名
【対象】一般(施設・地域でボランティアをされている方や、このテーマに関心のある方)
【参加費】5,000円(LPC会員3,000円)
【プログラム】
3月16日(水)
10:00〜12:30/13:15〜14:15 「傾聴とボランティア活動」(講師:水野修次郎・日本カウンセリング学会認定カウンセラー・認定スーパーバイザー,麗澤大学教授)
14:30〜15:30 「輝いて生きる・・・ボランティア活動がもたらす力」(講師:日野原重明・医学博士,(財)ライフ・プランニング・センター理事長)
3月23日(水)
10:00〜12:30/13:15〜14:15 「私は変わる、社会は変わる――ボランタリーライフの社会」(講師:興梠寛・昭和女子大学人間社会学部教授,日本ボランティア学習協会代表理事,世田谷ボランティア協会理事長)
14:30〜15:30 「ボランティア活動の基本の理解とLPCのボランティア活動」(講師:志村靖雄・(財)ライフ・プランニング・センターボランティアコーディネーター)
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】
(財)ライフ・プランニング・センター
TEL(03)3265−1907 FAX(03)3265−1909
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
メールアドレス: lpc_seminar@lpc.or.jp
■セミナーのお知らせ
【テーマ】日野原重明先生のご指導によるホームヘルパー2級養成研修講座――東京都認定訪問介護員養成研修講座2級課程
【開催期間】
(1)講義:4月26日(火)〜7月21日(木)週2回火・木
(2)実習:8月1日(月)〜9月30日(金)に期間中5日間
(3)修了式:10月6日(木)
【会場】〒102-0093 千代田区平河町2−7−5砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
地下鉄・永田町駅下車徒歩5分
【定員】20名
【参加費】LPC会員:92,400円,一般:96,400円
【対象】通学可能な方
【修了証明書】全課程を修了したかたには、訪問介護員2級修了証明証を交付します。
【教科書】(財)長寿社会開発センター発行 訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修テキスト2級課程を使用 6,800円
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】
(財)ライフ・プランニング・センター
TEL(03)3265−1907 FAX(03)3265−1909
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
メールアドレス: lpc_seminar@lpc.or.jp
【開催期間】
(1)講義:4月26日(火)〜7月21日(木)週2回火・木
(2)実習:8月1日(月)〜9月30日(金)に期間中5日間
(3)修了式:10月6日(木)
【会場】〒102-0093 千代田区平河町2−7−5砂防会館5階
(財)ライフ・プランニング・センター 健康教育サービスセンター
地下鉄・永田町駅下車徒歩5分
【定員】20名
【参加費】LPC会員:92,400円,一般:96,400円
【対象】通学可能な方
【修了証明書】全課程を修了したかたには、訪問介護員2級修了証明証を交付します。
【教科書】(財)長寿社会開発センター発行 訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修テキスト2級課程を使用 6,800円
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】
(財)ライフ・プランニング・センター
TEL(03)3265−1907 FAX(03)3265−1909
〒102-0093 東京都千代田区平河町2−7−5 砂防会館5階
メールアドレス: lpc_seminar@lpc.or.jp
- この連載に関するお問い合わせ先
-
◆「新老人の会」に関するお問い合わせ先◆
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/ -
◆日野原重明先生が顧問をつとめている「NPO法人医療教育情報センター」に関するお問い合わせ先◆
医療教育情報センター事務所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-27-16 ハイシティ代々木303
TEL:03-5333-0083
FAX:03-5333-0084
ホームページ:http://www.c-mei.jp/