第70回 子どもとの対話から生まれる「いのちの授業」(3)
いのちのあることを感じる
子どもたちは、どうも「いのち=心臓」と思っているようです。そこで私は、「心臓はいのちとどんな関係がありますか」と子どもたちに聞きます。続いて、「心臓が止まったらどうなると思いますか」と尋ねます。
そうすると子どもたちの皆は「死んでしまう」と答えます。
「そう、心臓が止まれば、酸素や栄養物を含んだ血液が体中に回らないし、もちろん脳にも行かないから、手や足は動かなくなり、呼吸もできなくなり、3分以内に心臓を動かさないと人間は死んでしまう。
だから、胸に直接耳を当てても心音が聞こえなければ、心臓マッサージをするか、あるいは最近では映画館や公園などあちこちに備えつけてある電気的な道具(自動体外式徐細動器=AED)で心臓を刺激して心拍を打つようにする救急処置をすれば助かることがある、だからその器具は誰もが使えるように練習しておくことが必要なのです」と話します。
そして「生きるためには心臓がちゃんと打っていなければいけないし、いのちを保つために心臓は、肝臓や腎臓など他の臓器と同じように大切な体の一部なのだ」「心臓はポンプであり、モーターのようなもので、心臓そのものはいのちではない」とも話します。
子どもは首をかしげるわけです。
そこで私は、「いのちは目に見えないもの。そのいのちがどこにあるかは言えないかもしれない。しかし、君たちはみんな、いのちをもっているし、いのちのあることを感じているね」と伝え、「本当に大切なものは目には見えないことが多い」という内容に移っていきます。
そうすると子どもたちの皆は「死んでしまう」と答えます。
「そう、心臓が止まれば、酸素や栄養物を含んだ血液が体中に回らないし、もちろん脳にも行かないから、手や足は動かなくなり、呼吸もできなくなり、3分以内に心臓を動かさないと人間は死んでしまう。
だから、胸に直接耳を当てても心音が聞こえなければ、心臓マッサージをするか、あるいは最近では映画館や公園などあちこちに備えつけてある電気的な道具(自動体外式徐細動器=AED)で心臓を刺激して心拍を打つようにする救急処置をすれば助かることがある、だからその器具は誰もが使えるように練習しておくことが必要なのです」と話します。
そして「生きるためには心臓がちゃんと打っていなければいけないし、いのちを保つために心臓は、肝臓や腎臓など他の臓器と同じように大切な体の一部なのだ」「心臓はポンプであり、モーターのようなもので、心臓そのものはいのちではない」とも話します。
子どもは首をかしげるわけです。
そこで私は、「いのちは目に見えないもの。そのいのちがどこにあるかは言えないかもしれない。しかし、君たちはみんな、いのちをもっているし、いのちのあることを感じているね」と伝え、「本当に大切なものは目には見えないことが多い」という内容に移っていきます。
大切なものは目に見えない
私は、「君たちは空気が見える? 酸素が見える? 君たちの目には見えないけれども、空気や酸素がなければ君たちは死んでしまうね。人間は水がなければ生きていけないね」と続いて、「君たちの飲む水はどこからくるの?」と聞いていきます。
「山から、川に流れて来て、それが水道の水となる」と、子どもたちは答えますが,「山からの水は、どこからくるの?」と聞くと、子どもたちは答えられません。「空から雨が降って、それが山から川にくる」と説明し「その雨はどうして降るの?」と聞いたあと、「雨雲が雨を山や野山に降らせる」と説明します。
「雨雲は、どうして君たちの上に雨を降らすか」と聞くと、子どもたちは、「風が雨雲をもってくるから」と答えます。そこで私は、「雲を動かすものは何か?」と聞くと、子どもたちは「風」と言います。
「そうだよ。しかし、君たちには風が見えるの?」と聞くと、「見えない」と子どもたちは答えます。
「外に風が吹いているかどうか、教室の中からはどうしてわかるのかしら」と聞くと、子どもたちは、「木の葉が揺れたり、雲が流れたりするからわかる」と答え「だけど風そのものは見えないでしょう」と疑問に思うのです。
そこで私はこう言うのです。
「大切なものには、見えないものが多い。それはいのちも同じこと。いのちは一人ひとりが感じるものではあるけれども、からだのどこにあるかは言えない。いのちは目には見えないけれども、あることは皆が確信しているね」
サン=テグジュペリの『星の王子さま』という作品には、次のようなことが書いてあることを紹介します。
星に住んでいた王子さまが、地球の砂漠に下り、キツネと仲良しになるのですが、王子さまがいよいよ星に帰る日が近づいたとき、キツネは別れる前にこんなことを王子さまに言います。「王子さまに言っておきたいことがある。それは、本当に大切なものは、目には見えないんだよ」と。
「山から、川に流れて来て、それが水道の水となる」と、子どもたちは答えますが,「山からの水は、どこからくるの?」と聞くと、子どもたちは答えられません。「空から雨が降って、それが山から川にくる」と説明し「その雨はどうして降るの?」と聞いたあと、「雨雲が雨を山や野山に降らせる」と説明します。
「雨雲は、どうして君たちの上に雨を降らすか」と聞くと、子どもたちは、「風が雨雲をもってくるから」と答えます。そこで私は、「雲を動かすものは何か?」と聞くと、子どもたちは「風」と言います。
「そうだよ。しかし、君たちには風が見えるの?」と聞くと、「見えない」と子どもたちは答えます。
「外に風が吹いているかどうか、教室の中からはどうしてわかるのかしら」と聞くと、子どもたちは、「木の葉が揺れたり、雲が流れたりするからわかる」と答え「だけど風そのものは見えないでしょう」と疑問に思うのです。
そこで私はこう言うのです。
「大切なものには、見えないものが多い。それはいのちも同じこと。いのちは一人ひとりが感じるものではあるけれども、からだのどこにあるかは言えない。いのちは目には見えないけれども、あることは皆が確信しているね」
サン=テグジュペリの『星の王子さま』という作品には、次のようなことが書いてあることを紹介します。
星に住んでいた王子さまが、地球の砂漠に下り、キツネと仲良しになるのですが、王子さまがいよいよ星に帰る日が近づいたとき、キツネは別れる前にこんなことを王子さまに言います。「王子さまに言っておきたいことがある。それは、本当に大切なものは、目には見えないんだよ」と。
(2010年8月2日)
■「新老人の会」10周年記念講演会のお知らせ
【テーマ】気持ちを高めてクレッシェンドに生きよう―日野原流の生き方
【プログラム】
「年齢に縛られずに豊かに生きる」日野原重明
「ついにわかった究極の長寿食―世界調査からの福音」家森幸男(世界の長寿研究の第一人者)
「世界の超長寿者はどのようにして不老長寿を達成したか」鈴木信(琉球大学名誉教授/医学博士)
コーラス(平松混成合唱団)
【開催日時】2010年9月4日(土)13時〜16時30分
【会場】九段会館(地下鉄/東西線・半蔵門線 九段下駅)
【申し込み要領】
●参加料 1,000円(当日受付にて)
●申し込みは,官製はがきに(1)郵便番号・住所,(2)氏名,(3)電話番号,(4)会員の方は会員番号く「新老人の会」,LPC会員〉を明記の上,下記までお送りください。
〒102-0093東京都千代田区平河町2−7−5砂防会館
LPC「新老人の会」記念講演会
●お問い合わせ TEL(03)3265−1907
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
http://www.lpc.or.jp/index.htm
【テーマ】気持ちを高めてクレッシェンドに生きよう―日野原流の生き方
【プログラム】
「年齢に縛られずに豊かに生きる」日野原重明
「ついにわかった究極の長寿食―世界調査からの福音」家森幸男(世界の長寿研究の第一人者)
「世界の超長寿者はどのようにして不老長寿を達成したか」鈴木信(琉球大学名誉教授/医学博士)
コーラス(平松混成合唱団)
【開催日時】2010年9月4日(土)13時〜16時30分
【会場】九段会館(地下鉄/東西線・半蔵門線 九段下駅)
【申し込み要領】
●参加料 1,000円(当日受付にて)
●申し込みは,官製はがきに(1)郵便番号・住所,(2)氏名,(3)電話番号,(4)会員の方は会員番号く「新老人の会」,LPC会員〉を明記の上,下記までお送りください。
〒102-0093東京都千代田区平河町2−7−5砂防会館
LPC「新老人の会」記念講演会
●お問い合わせ TEL(03)3265−1907
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
http://www.lpc.or.jp/index.htm
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◆「新老人の会」に関するお問い合わせ先◆
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/ -
◆日野原重明先生が顧問をつとめている「NPO法人医療教育情報センター」に関するお問い合わせ先◆
医療教育情報センター事務所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-27-16 ハイシティ代々木303
TEL:03-5333-0083
FAX:03-5333-0084
ホームページ:http://www.c-mei.jp/