第68回 子どもとの対話から生まれる「いのちの授業」(1)
からだの学習からいのちの学習へ
健康教育とは、衣食住の3つ方面から健康を保つ生活習慣を身につけることを教えるものですが、私はかねてより健康づくりのためのよい生活習慣は小学校に入学する前、つまり幼稚園で友達と一緒に砂場で遊び始める頃から身につけていくように指導すべきだと考えるようになりました。
砂場で仲良く遊ぶ上でのマナーばかりでなく、遊び終わってから手を洗う習慣などもこの時に身につく習慣のひとつです。
さて、私が「新老人の会」を結成したのは2000年の秋でしたから、今年の秋で10年を迎えることになります。
ご承知の通り、「新老人の会」は、(1)愛すること、(2)創めること、(3)耐えることを3つのスローガンに掲げ、もうひとつ、子どもたちに平和と愛の大切さを伝えることを使命としています。
私たち大人は、先の戦争でその無残さや無益さを骨身にしみて感じたはずなのに、21世紀に入ってもなお世界には戦争や紛争が耐えません。平和というのは、地球上にある誰ものいのちを大切にするところに存在します。
では、子どもたちに平和と愛の大切さを伝えるために私が行っている「いのちの授業」について紹介しましょう。
私は「からだ」と「心」を併せて、「いのちの授業」という呼び方でこの教育を行っていますが、10歳の子どもたち、つまり小学校4、5年生を主たる対象にして行う45分間の授業です。これまで全国150校近くの学校を訪れました。
私が外国に出張する時にも時間をつくって現地の学校を訪れます。これまで米国、オーストラリア、メキシコ、ブラジル、モンゴルなどの学校を訪れ、英語を使っているところでは英語で同じやり方の授業を行ってきました。
砂場で仲良く遊ぶ上でのマナーばかりでなく、遊び終わってから手を洗う習慣などもこの時に身につく習慣のひとつです。
さて、私が「新老人の会」を結成したのは2000年の秋でしたから、今年の秋で10年を迎えることになります。
ご承知の通り、「新老人の会」は、(1)愛すること、(2)創めること、(3)耐えることを3つのスローガンに掲げ、もうひとつ、子どもたちに平和と愛の大切さを伝えることを使命としています。
私たち大人は、先の戦争でその無残さや無益さを骨身にしみて感じたはずなのに、21世紀に入ってもなお世界には戦争や紛争が耐えません。平和というのは、地球上にある誰ものいのちを大切にするところに存在します。
では、子どもたちに平和と愛の大切さを伝えるために私が行っている「いのちの授業」について紹介しましょう。
私は「からだ」と「心」を併せて、「いのちの授業」という呼び方でこの教育を行っていますが、10歳の子どもたち、つまり小学校4、5年生を主たる対象にして行う45分間の授業です。これまで全国150校近くの学校を訪れました。
私が外国に出張する時にも時間をつくって現地の学校を訪れます。これまで米国、オーストラリア、メキシコ、ブラジル、モンゴルなどの学校を訪れ、英語を使っているところでは英語で同じやり方の授業を行ってきました。
聴診器を使って血圧測定を行う
私が小学生に始めて授業をしたのは1987年、今から23年前に、NHK教育テレビの「授業」という番組で、母校の神戸市立諏訪山小学校でのことです。私は循環器の医師ですから、テーマを「からだの中のポンプ・心臓」と定めました。そして、持参した聴診器で、子どもたちが互いに心臓の音を聞きあい、心臓がどんな働きをしているのかを話し、血圧の測り方を教えました。
当時は、血圧測定には聴診器を用い、上腕に空気を送り込む圧迫帯(カフ)で、上腕動脈の血行を止め、カフの圧を次第に下げて動脈中の血行が始まるときに発生する血管音を、肘部に当てた聴診器で聞き取り、その値を最高血圧であること、そして、カフ内の圧が低くなると血管音が消失していきますが、その最後の時点での目盛りが最低血圧であることを教えました。授業時間内にどの生徒も聴診器を用いた血圧測定ができるようになりました。
このような血圧測定は、素人でもできることなのに、聴診器を用いるということで、当時は聴診器を医師用の道具であるということから、看護師や助産師であっても聴診器を使う血圧測定は任せられていなかったのです。
そこで今から30年前に、私は、家庭の主婦に聴診器を用いた血圧計の測定法を教えて、家族の血圧を定期的に測り、その測定値が140/90を超えるようであれば、医師と相談するように指導したのです。
当時、私が学長をしていた聖路加看護大学の1年生の血圧測定の実地指導は、私が指導して血圧測定指導員の資格を得た主婦が行っていました。
そのような私の考えがようやく10年後に厚生省(今の厚生労働省)に理解され、その後聴診器は医師だけのものではなく、聴力が正常な人であれば、それが子どもであっても、正しい測定法を身につけさえすれば誰でも使えることになったのです。
これは現在の自動血圧計の普及と相まって、体温計、体重計、そして血圧計の3つは、自分で自分の健康を管理する上で大切な「三種の神器」としてどの家庭でも常備することが勧められるようになったのです。
次回では、その血圧測定を用いた「いのちの授業」の内容を説明します。7月16日更新の予定です。
当時は、血圧測定には聴診器を用い、上腕に空気を送り込む圧迫帯(カフ)で、上腕動脈の血行を止め、カフの圧を次第に下げて動脈中の血行が始まるときに発生する血管音を、肘部に当てた聴診器で聞き取り、その値を最高血圧であること、そして、カフ内の圧が低くなると血管音が消失していきますが、その最後の時点での目盛りが最低血圧であることを教えました。授業時間内にどの生徒も聴診器を用いた血圧測定ができるようになりました。
このような血圧測定は、素人でもできることなのに、聴診器を用いるということで、当時は聴診器を医師用の道具であるということから、看護師や助産師であっても聴診器を使う血圧測定は任せられていなかったのです。
そこで今から30年前に、私は、家庭の主婦に聴診器を用いた血圧計の測定法を教えて、家族の血圧を定期的に測り、その測定値が140/90を超えるようであれば、医師と相談するように指導したのです。
当時、私が学長をしていた聖路加看護大学の1年生の血圧測定の実地指導は、私が指導して血圧測定指導員の資格を得た主婦が行っていました。
そのような私の考えがようやく10年後に厚生省(今の厚生労働省)に理解され、その後聴診器は医師だけのものではなく、聴力が正常な人であれば、それが子どもであっても、正しい測定法を身につけさえすれば誰でも使えることになったのです。
これは現在の自動血圧計の普及と相まって、体温計、体重計、そして血圧計の3つは、自分で自分の健康を管理する上で大切な「三種の神器」としてどの家庭でも常備することが勧められるようになったのです。
次回では、その血圧測定を用いた「いのちの授業」の内容を説明します。7月16日更新の予定です。
(2010年7月5日)
■「新老人の会」10周年記念講演会のお知らせ
【テーマ】気持ちを高めてクレッシェンドに生きよう―日野原流の生き方
【プログラム】
「年齢に縛られずに豊かに生きる」日野原重明
「ついにわかった究極の長寿食―世界調査からの福音」家森幸男(世界の長寿研究の第一人者)
「世界の超長寿者はどのようにして不老長寿を達成したか」鈴木信(琉球大学名誉教授/医学博士)
コーラス(平松混成合唱団)
【開催日時】2010年9月4日(土)13時〜16時30分
【会場】九段会館(地下鉄/東西線・半蔵門線 九段下駅)
【申し込み要領】
●参加料 1,000円(当日受付にて)
●申し込みは,官製はがきに(1)郵便番号・住所,(2)氏名,(3)電話番号,(4)会員の方は会員番号く「新老人の会」,LPC会員〉を明記の上,下記までお送りください。
〒102-0093東京都千代田区平河町2−7−5砂防会館
LPC「新老人の会」記念講演会
●お問い合わせ TEL(03)3265−1907
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
http://www.lpc.or.jp/index.htm
【テーマ】気持ちを高めてクレッシェンドに生きよう―日野原流の生き方
【プログラム】
「年齢に縛られずに豊かに生きる」日野原重明
「ついにわかった究極の長寿食―世界調査からの福音」家森幸男(世界の長寿研究の第一人者)
「世界の超長寿者はどのようにして不老長寿を達成したか」鈴木信(琉球大学名誉教授/医学博士)
コーラス(平松混成合唱団)
【開催日時】2010年9月4日(土)13時〜16時30分
【会場】九段会館(地下鉄/東西線・半蔵門線 九段下駅)
【申し込み要領】
●参加料 1,000円(当日受付にて)
●申し込みは,官製はがきに(1)郵便番号・住所,(2)氏名,(3)電話番号,(4)会員の方は会員番号く「新老人の会」,LPC会員〉を明記の上,下記までお送りください。
〒102-0093東京都千代田区平河町2−7−5砂防会館
LPC「新老人の会」記念講演会
●お問い合わせ TEL(03)3265−1907
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
http://www.lpc.or.jp/index.htm
- この連載に関するお問い合わせ先
-
◆「新老人の会」に関するお問い合わせ先◆
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/ -
◆日野原重明先生が顧問をつとめている「NPO法人医療教育情報センター」に関するお問い合わせ先◆
医療教育情報センター事務所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-27-16 ハイシティ代々木303
TEL:03-5333-0083
FAX:03-5333-0084
ホームページ:http://www.c-mei.jp/