第67回 臨床医として成功する秘訣
優れた臨床医になるには様々な要件があります。思いつくままに挙げましょう。
まず、歴史・科学史・医学史、そして身近にいる先輩医師の経験から学ぶことです。成功も失敗も同じように大切です。失敗と思われたことの中に成功の種が潜んでいることは、「セレンディピティ」で触れました。
次に、自分に合った研究・教育・臨床の場、あなたのプロジェクトに対する協力者を選ぶことです。プロジェクトを現実のものとする行動力も必要ですが、常に自分の行動を転換しうる柔軟性も備えていなければなりません。
リトリート(retreat)という英語があります。これは「退却、隠遁、引き込み」のことですが、宗教的には「退修=修道院などにこもって黙想すること」という意味もあります。
私たちの人生を川の流れとみなせば、この川はいずれ死という海に流れ込みます。川の流れの途上にある時に、自分はどこにどのように流されているかという状況を知るための良い方法は、時々淀みに入りこむか、あるいは岸に上がってその川の流れを外から観察することです。
このリトリートの姿勢は、自分のこれまでの生き方を反省するだけにとどまらず、医師であればこれまでの臨床や研究の過去を振り返ってこれから先の進む道を再考するのに絶好の機会ともなります。
私たちが人生の理想像(model)を求め、それに自分を近づけること、さらにまた自分自身が後輩たちの理想像になるべく研鑽することも、臨床医として成功する秘訣だと思います。
まず、歴史・科学史・医学史、そして身近にいる先輩医師の経験から学ぶことです。成功も失敗も同じように大切です。失敗と思われたことの中に成功の種が潜んでいることは、「セレンディピティ」で触れました。
次に、自分に合った研究・教育・臨床の場、あなたのプロジェクトに対する協力者を選ぶことです。プロジェクトを現実のものとする行動力も必要ですが、常に自分の行動を転換しうる柔軟性も備えていなければなりません。
リトリート(retreat)という英語があります。これは「退却、隠遁、引き込み」のことですが、宗教的には「退修=修道院などにこもって黙想すること」という意味もあります。
私たちの人生を川の流れとみなせば、この川はいずれ死という海に流れ込みます。川の流れの途上にある時に、自分はどこにどのように流されているかという状況を知るための良い方法は、時々淀みに入りこむか、あるいは岸に上がってその川の流れを外から観察することです。
このリトリートの姿勢は、自分のこれまでの生き方を反省するだけにとどまらず、医師であればこれまでの臨床や研究の過去を振り返ってこれから先の進む道を再考するのに絶好の機会ともなります。
私たちが人生の理想像(model)を求め、それに自分を近づけること、さらにまた自分自身が後輩たちの理想像になるべく研鑽することも、臨床医として成功する秘訣だと思います。
臨床医学のエッセンス
理想的な医師について、アメリカの内科・精神科医であるジョージ・エンゲル(1913〜99年)が若い医師に遺した言葉を紹介します。
彼(彼女)は、まず何より人間性に富む。
彼(彼女)は、絶えざる観察者である。
彼(彼女)は、系統的な追い求めをする。
彼(彼女)は、基礎的な原理を知り、理解している。
彼(彼女)は、その行動のすべてを理由づける。
彼(彼女)は、自分自身の知識や一般的知識に限界のあることを知っている。
彼(彼女)は、患者からの情報を尊重する。
彼(彼女)は、絶えず学徒でありつづける。
結びに、私の考える理想的な医師として体得すべき徳を、図にまとめました。これは、ウィリアム・オスラーの教訓を基に私が考えたモデルです。
彼(彼女)は、まず何より人間性に富む。
彼(彼女)は、絶えざる観察者である。
彼(彼女)は、系統的な追い求めをする。
彼(彼女)は、基礎的な原理を知り、理解している。
彼(彼女)は、その行動のすべてを理由づける。
彼(彼女)は、自分自身の知識や一般的知識に限界のあることを知っている。
彼(彼女)は、患者からの情報を尊重する。
彼(彼女)は、絶えず学徒でありつづける。
結びに、私の考える理想的な医師として体得すべき徳を、図にまとめました。これは、ウィリアム・オスラーの教訓を基に私が考えたモデルです。
医師としての使命感を忘れることなく、しかも謙虚さを失わず、芯には愛の心をしっかり据えた魅力的な人間であってほしいと思います。
(2010年6月21日)
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