第65回 ノーベル医学生理学賞
109年の歴史を持つノーベル医学生理学賞の受賞者の総数は、2009年度までの統計ではちょうど200人になります。国別にみると米国が約半数を占め、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、スイスと続きます。
日本はただ一人、利根川進先生(1939年〜)が1987年に受賞しているだけです。しかし、利根川先生は京都大学理学部の出身で医師ではありませんから、日本人の医師は誰一人ノーベル医学生理学賞を受賞していないことになります。
日本では毎年およそ8000人が医学校に入学しますが、医学部の入学試験に合格するのはなかなか難しいといわれています。その試験を通って入学してきた当時はエリートだったはずの日本の医者の卵たちが、その誰一人として100年余の間にノーベル賞を受賞していないのです。それは一体なぜでしょう?
米国やその他の国で若くしてノーベル賞を受賞する人が多いのは、研究費と研究時間が十分に与えられるという人を育む環境があるからです。日本の優秀な遺伝子を持っていたはずの医学部の卒業生がノーベル賞の対象とならなかったのは、日本に医学研究のための良い環境が整っていないからではないかと私は思います。遺伝子としての種は良くても、それを育てる良い畑がないから、発芽しないで終わってしまうのです。
新約聖書(マタイによる福音書13章3−9節)に次の言葉があります。
「種を蒔く人が種蒔きに出て行った。蒔いている間に、ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまった。ほかの種は、石だらけで土の少ない所に落ち、そこは土が浅いのですぐに芽を出した。しかし、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。ほかの種は茨の間に落ち、茨が伸びてそれをふさいでしまった。ところが、ほかの種は、よい土地に落ち、実を結んで、あるものは100倍、あるものは60倍、あるものは30倍にもなった」
日本の医学生の良い遺伝子を正しく伸ばすこと、そのためには、日本にも良い畑を作ることが大切です。医学研究の環境を整えることを、医学教育に携わる者(特に地位の高い者)は心を配らなければなりません。そうすれば必ずや日本人医師がノーベル医学生理学賞を受賞する日が来るものと思います。
日本はただ一人、利根川進先生(1939年〜)が1987年に受賞しているだけです。しかし、利根川先生は京都大学理学部の出身で医師ではありませんから、日本人の医師は誰一人ノーベル医学生理学賞を受賞していないことになります。
日本では毎年およそ8000人が医学校に入学しますが、医学部の入学試験に合格するのはなかなか難しいといわれています。その試験を通って入学してきた当時はエリートだったはずの日本の医者の卵たちが、その誰一人として100年余の間にノーベル賞を受賞していないのです。それは一体なぜでしょう?
米国やその他の国で若くしてノーベル賞を受賞する人が多いのは、研究費と研究時間が十分に与えられるという人を育む環境があるからです。日本の優秀な遺伝子を持っていたはずの医学部の卒業生がノーベル賞の対象とならなかったのは、日本に医学研究のための良い環境が整っていないからではないかと私は思います。遺伝子としての種は良くても、それを育てる良い畑がないから、発芽しないで終わってしまうのです。
新約聖書(マタイによる福音書13章3−9節)に次の言葉があります。
「種を蒔く人が種蒔きに出て行った。蒔いている間に、ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまった。ほかの種は、石だらけで土の少ない所に落ち、そこは土が浅いのですぐに芽を出した。しかし、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。ほかの種は茨の間に落ち、茨が伸びてそれをふさいでしまった。ところが、ほかの種は、よい土地に落ち、実を結んで、あるものは100倍、あるものは60倍、あるものは30倍にもなった」
日本の医学生の良い遺伝子を正しく伸ばすこと、そのためには、日本にも良い畑を作ることが大切です。医学研究の環境を整えることを、医学教育に携わる者(特に地位の高い者)は心を配らなければなりません。そうすれば必ずや日本人医師がノーベル医学生理学賞を受賞する日が来るものと思います。
(2010年5月17日)
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