第61回 高齢者医療のエッセンス
高齢者のための医療を
日本の人口構成が少子高齢化に進むにつれて高齢者医療が問題とされるようになってきました。
高齢の年齢層によって医療の内容が変わるのは当然ですが、昨今政府が75歳以上の後期高齢者の医療費や介護費を節約するために長寿医療制度(後期高齢者医療制度)が設けられましたが、それが国民から総反撃されているのは周知の通りです。
65歳以上を老人と定義した半世紀前には、ゼロ歳時の平均寿命は68年でしたから、65歳を老人としてもそれほど違和感はない時代でした。それに比べて現在は、ゼロ歳時の寿命は男女平均すると82年になり、65歳時点での男子の平均余命は18.45年、女子の平均余命は23.44年も延びています。
これから考えれば、今の時代、たとえ65歳で現役を引退しても、心身の活動能力はまだまだ十分にありますし、何よりも生産者人口の減少を補う意味からも、大いに社会に貢献していかなければなりません。
そこで私は10年以上も前から、65歳以上を老人とする定義を変えて、老人を75歳以上とすべきだと主張してきました。病気など事情のある人たちにはこれまで以上の手厚い支援をするにしても、65歳以上でもまだ元気な人たちにはもっと自律性を求めることが必要です。
高齢の年齢層によって医療の内容が変わるのは当然ですが、昨今政府が75歳以上の後期高齢者の医療費や介護費を節約するために長寿医療制度(後期高齢者医療制度)が設けられましたが、それが国民から総反撃されているのは周知の通りです。
65歳以上を老人と定義した半世紀前には、ゼロ歳時の平均寿命は68年でしたから、65歳を老人としてもそれほど違和感はない時代でした。それに比べて現在は、ゼロ歳時の寿命は男女平均すると82年になり、65歳時点での男子の平均余命は18.45年、女子の平均余命は23.44年も延びています。
これから考えれば、今の時代、たとえ65歳で現役を引退しても、心身の活動能力はまだまだ十分にありますし、何よりも生産者人口の減少を補う意味からも、大いに社会に貢献していかなければなりません。
そこで私は10年以上も前から、65歳以上を老人とする定義を変えて、老人を75歳以上とすべきだと主張してきました。病気など事情のある人たちにはこれまで以上の手厚い支援をするにしても、65歳以上でもまだ元気な人たちにはもっと自律性を求めることが必要です。
医療より生活指導が必要です
高齢者医療についての私の意見は次のようなことです。
高血圧や糖尿病のような長期にわたる保健指導を必要する疾患への医療は非常に進歩しています。したがって、このような慢性病をもっていても、医療のコントロールの下では普通に生活ができる人が多くなっています。これらの人たちに対しては、有効な医療とは何であるかを教え、自律的に生活をコントロールする方略をしっかり教育すれば、病人意識にとらわれることなく食事と運動と休養(睡眠)がうまくバランスのとれた生活法をとることを勧めるべきでしょう。
食事については、その量を制限する人は、例え高血圧や心臓病があって減塩療法を受けていても、食事量が2/3となると塩分摂取は今ほど制限しなくても、食塩の絶対摂取量が低ければよいのです。
老人にとっては、医療よりも生活指導が必要であり、適正なバランスのとれた低カロリー食、そして最小限度の運動を行い、また上手に腹式呼吸法を行い、夜間は腹臥位睡眠を行うことなどが、薬物を中心とした医療よりも有効なのです。
加齢現象としての動脈硬化や呼吸不全、筋力低下に対して、睡眠中以外の安静はむしろ害であるということ、老人の過度の安静はかえって骨粗鬆症や筋力低下、それによる転倒や骨折を招き、また段差でも倒れないようにまず踵をつけた歩行法の訓練をすることなどが重要だと思います。
高血圧や糖尿病のような長期にわたる保健指導を必要する疾患への医療は非常に進歩しています。したがって、このような慢性病をもっていても、医療のコントロールの下では普通に生活ができる人が多くなっています。これらの人たちに対しては、有効な医療とは何であるかを教え、自律的に生活をコントロールする方略をしっかり教育すれば、病人意識にとらわれることなく食事と運動と休養(睡眠)がうまくバランスのとれた生活法をとることを勧めるべきでしょう。
食事については、その量を制限する人は、例え高血圧や心臓病があって減塩療法を受けていても、食事量が2/3となると塩分摂取は今ほど制限しなくても、食塩の絶対摂取量が低ければよいのです。
老人にとっては、医療よりも生活指導が必要であり、適正なバランスのとれた低カロリー食、そして最小限度の運動を行い、また上手に腹式呼吸法を行い、夜間は腹臥位睡眠を行うことなどが、薬物を中心とした医療よりも有効なのです。
加齢現象としての動脈硬化や呼吸不全、筋力低下に対して、睡眠中以外の安静はむしろ害であるということ、老人の過度の安静はかえって骨粗鬆症や筋力低下、それによる転倒や骨折を招き、また段差でも倒れないようにまず踵をつけた歩行法の訓練をすることなどが重要だと思います。
(2010年3月23日)
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