第57回 心のリハビリテーション
心の回復が本当のリハビリテーション
私たちの体は、ボディ(体=body)、マインド(心=mind)、スピリット(spirit)からなっています。
スピリットという言葉は難しい意味をもっています。私は数年前にネパールに行きましたが、朝5時ごろ起きてエベレストの朝焼けを見ることができました。富士山の3倍もの高さの峰々に朝日が当たり始め、それが時間の経過とともに山々の稜線を浮かび上がらせます。
それを見ていると、戦争もない、貧困もない、ただ宇宙の中に生かされている自分というものを感じましたが、おそらくそのときのような気持ちをスピリチュアルな体験というのではないでしょうか。
体というのは外部的なものであって、病気や障害を負ったときには、リハビリテーションの対象のひとつとなります。そのような外部的なリハビリテーションに対して、心というのは、見る、味わう、触れる、聞くというようなことに関わってきますが、これらの内部的なリハビリテーションが伴わないと本当のQOLはありえないということになります。
体のリハビリテーションだけでなく、心のリハビリテーション、ある場合にはスピリチュアルなリハビリテーションが与えられることによって、その人が希望をもって上を向いて歩こうというような姿勢につながっていく。こういうことを理解して医療職や介護職は行動しなくてはならないと思います。
スピリットという言葉は難しい意味をもっています。私は数年前にネパールに行きましたが、朝5時ごろ起きてエベレストの朝焼けを見ることができました。富士山の3倍もの高さの峰々に朝日が当たり始め、それが時間の経過とともに山々の稜線を浮かび上がらせます。
それを見ていると、戦争もない、貧困もない、ただ宇宙の中に生かされている自分というものを感じましたが、おそらくそのときのような気持ちをスピリチュアルな体験というのではないでしょうか。
体というのは外部的なものであって、病気や障害を負ったときには、リハビリテーションの対象のひとつとなります。そのような外部的なリハビリテーションに対して、心というのは、見る、味わう、触れる、聞くというようなことに関わってきますが、これらの内部的なリハビリテーションが伴わないと本当のQOLはありえないということになります。
体のリハビリテーションだけでなく、心のリハビリテーション、ある場合にはスピリチュアルなリハビリテーションが与えられることによって、その人が希望をもって上を向いて歩こうというような姿勢につながっていく。こういうことを理解して医療職や介護職は行動しなくてはならないと思います。
人間性を重んじること
エシックス(ethics)とは、人と人の関係をどのように考えるかということです。生命倫理(バイオエシックス=bioethics)という言葉は、倫理が生体の解剖とか組織、あるいは遺伝子などという医学的な対象に入り込むことによって生まれた言葉です(図)。
生きがいを与える
ボディとマインドをもつ患者に生きがいを与えるようにする、これがスピリットという言葉で表現されます。障害のある、あるいはがんなど重い病気をもっている患者に、つらいけれども上を向いて歩こうという大きなスピリット、あるいは生きがい、生きていることの意味を与えるということです。
リハビリテーションの奥義は、「いのちは限られていても、今日をQOLの高い生活とする」という考え方にあります。
そのためには、理学療法士や作業療法士、看護師、医師などの医療スタッフが患者に対するときには、その患者のスピリチュアルなものを引き出すような人間と人間としての関係がなければなりません。患者が治療を提供する側、ケアを提供する側を本当に信用し、信頼する。患者の心が医師や看護師、理学療法士、作業療法士などと一致する状況に置かれるのが理想的です。
たとえば認知症患者をケアする場合でも、相性のいい介護者とは和やかな関わりが成立します。ところが、相性の悪い人には、つっぱったり、暴力をもっても反抗したりします。
つまり、ケアをする人と認知症の患者との間には心のタッチが非常に大切なのですが、これはどの病気についても同じです。また、あなたが介護をするとき、受けるときにも同じことがいえるのです。
リハビリテーションの奥義は、「いのちは限られていても、今日をQOLの高い生活とする」という考え方にあります。
そのためには、理学療法士や作業療法士、看護師、医師などの医療スタッフが患者に対するときには、その患者のスピリチュアルなものを引き出すような人間と人間としての関係がなければなりません。患者が治療を提供する側、ケアを提供する側を本当に信用し、信頼する。患者の心が医師や看護師、理学療法士、作業療法士などと一致する状況に置かれるのが理想的です。
たとえば認知症患者をケアする場合でも、相性のいい介護者とは和やかな関わりが成立します。ところが、相性の悪い人には、つっぱったり、暴力をもっても反抗したりします。
つまり、ケアをする人と認知症の患者との間には心のタッチが非常に大切なのですが、これはどの病気についても同じです。また、あなたが介護をするとき、受けるときにも同じことがいえるのです。
(2009年9月28日)
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