第55回 病気をもっていてもこころに健康感を!
健康=「健康感」
健康と幸福はよく似ています。「今日は孫が来る」などと何か楽しみなことがあるときは、こころが軽くなるのではないでしょうか。健康感をもつことができれば、朝もさわやかな気持ちで目覚めることができるのではないかと思います。
誰の脳もCTで調べると、必ずどこかに梗塞が見つかります。もちろん私にも梗塞はあります。これは仕方のないことです。しかし、私の脳の梗塞は、大事なことを考えたり話したりする部分は健在なので、障害は現れないですんでいるのです。
私は先日、外国に行ったときにホテルの部屋のバスタブに胸をぶつけてしまいました。数日間痛いのを我慢していましたが、気になるので診てもらったところ、なんと肋骨を骨折していました。でも、肋骨の骨折はほうっておいても治るから何もしないで普通に過ごしています。
健康や幸福は自分の中にある
このように体の不調をあげればいろいろあるかもしれませんが、私たちはそういうもので気分を左右されたりくじけたりせず、さわやかな気持ちをもっていましょう。
何らかの病気をもっていても、それに対して適切な処置をすれば回復しますし、それ以上悪くならないでもすみます。肋骨は手術をしないでも治ると思っていれば、骨折に負けないですむのです。
幸福というのは、外に求めて満たされるものではありません。収入が多くなったとしても、それをさらに増やそうと投資したりするから損をするのです。投資をするようなお金がなければ、お金を失うショックに遭うこともありません。
何らかの病気をもっていても、それに対して適切な処置をすれば回復しますし、それ以上悪くならないでもすみます。肋骨は手術をしないでも治ると思っていれば、骨折に負けないですむのです。
幸福というのは、外に求めて満たされるものではありません。収入が多くなったとしても、それをさらに増やそうと投資したりするから損をするのです。投資をするようなお金がなければ、お金を失うショックに遭うこともありません。
困難な状況こそ幸福への感性を高める
戦争中の食糧がない時代、わずかなお米をもらったり、野菜をもらったり、燃料の薪をもらったりしたときは、本当にうれしかったものです。買い出しに行った農家の縁先で、おみおつけと白いご飯のおにぎりをご馳走になったときは、この世にこれ以上においしいものはないと思ったものです。貧しい時は何を食べても味覚が敏感になっていておいしいと思ったものですが、今のような飽食の時代では味覚が鈍感になって、何を食べてもあまり感激したりしなくなりました。
聖書に、「貧しいものは幸いである」という逆説的な言葉があります。貧乏な人は、貧しさに耐えることによって、誰かに恵みを与えられたときに覚える感謝の気持ちは絶大です。感性が高まっているからです。
私は6人兄弟でしたから、子どものときには何でも6人で分けましたが、今の子どもは一人っ子が多いので、全部自分のものだと独占して分け合うことをしないから、顔を見合わせながら「おいしいね」といって食べる楽しさや喜びを知りません。世界には飢えて困っている人たちがいるというようなことには思いが及ばないような状態です。これではいくらものが豊富であっても、幸せを感じることはできません。
病気であってもこころに健康感をもつ、貧しくても幸福感をもつことのできる想像力と感受性とを磨くようにしましょう。これが、人間に真の健康や幸福をもたらすのではないかと思います。
聖書に、「貧しいものは幸いである」という逆説的な言葉があります。貧乏な人は、貧しさに耐えることによって、誰かに恵みを与えられたときに覚える感謝の気持ちは絶大です。感性が高まっているからです。
私は6人兄弟でしたから、子どものときには何でも6人で分けましたが、今の子どもは一人っ子が多いので、全部自分のものだと独占して分け合うことをしないから、顔を見合わせながら「おいしいね」といって食べる楽しさや喜びを知りません。世界には飢えて困っている人たちがいるというようなことには思いが及ばないような状態です。これではいくらものが豊富であっても、幸せを感じることはできません。
病気であってもこころに健康感をもつ、貧しくても幸福感をもつことのできる想像力と感受性とを磨くようにしましょう。これが、人間に真の健康や幸福をもたらすのではないかと思います。
(2009年7月14日)
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