第54回 2500年前の人間の寿命は80歳?
私たちの身体には死の刻印が押されている
筋肉や骨、内臓、脳など肉体的なものにはすべて寿命があります。皮膚の細胞は1週間で垢となってはがれ落ちます。脳細胞は数年もつことがわかっています。リンパ球や赤血球の細胞の寿命は3週間から4週間。原爆で被爆した人たちは、血液をつくる骨髄が破壊されたので、被爆後3週間から4週間は生き延びられたのですが、それ以後新しく血液が作られないので亡くなっていきました。直接被爆による死を免れても、1か月前後に死亡した人が多かったのは上記の理由によるものです。
このように、私たちの細胞にはそれぞれ決まった寿命があり、私たちの身体にはいわば死の刻印が押されているわけです。誰でも死ぬのは当たり前のことだとはわかっていても、元気でいる私たちにとっては、どうしても死は他人事のように思ってしまいがちです。
私たちの命は運命的に定められているのです。
人間は自ら健康寿命を縮めている
旧約聖書には「人の命は70歳で、長くても80歳」とあります。これは約2500年前に書かれた言葉です。その当時のことを想像してみましょう。医学はもちろん存在せず、抗生物質など望むべくもなかったはずです。
ばい菌が蔓延せず、伝染病が人から人へとうつることもなく、きれいな水を飲み、きれいな野菜を食べていれば、医学がない時代であっても80歳までは生きられたということです。それが文明が進歩するにつれ、いろいろな病気が広く伝わるようになり、汚染も広がり、それによってだんだんと寿命も短くなっていったというわけです。
本当によい環境であれば、人間は健康で80歳までは生きられるのです。素晴らしいことではありませんか。そのためには、世界をよい環境にしていかなくてはいけません。
それなのに、私たちが環境を汚染しているのです。まったく人間というものは進歩という名のもとにいったい何をしているのでしょうか。
ばい菌が蔓延せず、伝染病が人から人へとうつることもなく、きれいな水を飲み、きれいな野菜を食べていれば、医学がない時代であっても80歳までは生きられたということです。それが文明が進歩するにつれ、いろいろな病気が広く伝わるようになり、汚染も広がり、それによってだんだんと寿命も短くなっていったというわけです。
本当によい環境であれば、人間は健康で80歳までは生きられるのです。素晴らしいことではありませんか。そのためには、世界をよい環境にしていかなくてはいけません。
それなのに、私たちが環境を汚染しているのです。まったく人間というものは進歩という名のもとにいったい何をしているのでしょうか。
(2009年6月29日)
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