第51回 上手な医療の受け方(3)
医者に何をどう伝えるか
自覚症状がなくても病気ということはしばしばあります。がんの中では、すい臓がんの診断がもっとも遅れます。初期症状の一つに腰痛がありますが、「腰が痛い」といって受診しても、医師の中には骨の状態しか考えないことが多く、数か月後に潜在していたがんが手遅れの状態で発見されるということが少なくありません。腰痛以外の症状がないかどうかを、自分でよく見きわめてそれを医師に伝えることができれば、早期発見の可能性が高まります。
どの医者にかかるか
どの医者にかかるかを判断することも重要です。日本では何か異常を覚えるとまず大学病院や大きな総合病院に行く人が多いのですが、アメリカではその前に、家庭医やかかりつけ医に診てもらいます。
みなさんは、大学病院ではレベルの高い医療が受けられると思っているかもしれませんが、大学病院は医師の教育機関でもあるのですから、経験の浅い研修中の医師も多くいます。病院の大きさとか名前でなく、誰に診てもらうべきか、臨床経験がどのくらいかを知ることもたいせつなことです。その分野に精通した医師であれば、電話で相談するだけでも正しい診断をつけることができます。
それには自分のからだの状態を客観的に把握し、それを正確な言葉で伝えなければなりません。おなかが張っているのは食べすぎなのか、あるいは腹部に何かできたのかがわからないようなときには、まず食べるのを控えます。それで楽になるようであれば医者にかかる必要はありません。このように自分で症状を見ながら、どうしたらよいか自分である程度判断をしなくてはなりません。
みなさんは、大学病院ではレベルの高い医療が受けられると思っているかもしれませんが、大学病院は医師の教育機関でもあるのですから、経験の浅い研修中の医師も多くいます。病院の大きさとか名前でなく、誰に診てもらうべきか、臨床経験がどのくらいかを知ることもたいせつなことです。その分野に精通した医師であれば、電話で相談するだけでも正しい診断をつけることができます。
それには自分のからだの状態を客観的に把握し、それを正確な言葉で伝えなければなりません。おなかが張っているのは食べすぎなのか、あるいは腹部に何かできたのかがわからないようなときには、まず食べるのを控えます。それで楽になるようであれば医者にかかる必要はありません。このように自分で症状を見ながら、どうしたらよいか自分である程度判断をしなくてはなりません。
一言でズバリ情報が伝わる効率のよい問診を
そして、いざ診察を受けるときには、医師の質問に対しては、はっきりと答えてください。
患者さんに年齢を聞くと、「大正何年生まれです」とか、「来年でちょうど90歳になります」などと答える人がいます。そう言われても、医師はとっさに何歳なのかわかりません。また、「8です」などと言う人もいます。48歳かな、と思っても遠慮して「38歳ですか?」と聞くと、「まあ、そんなに若く見えますか?」と喜ばれたりします。要領のよい言い方は「来月で62歳になります」「2か月前に50歳になった」というもので満何歳かは医師はすぐ理解できます。
何人きょうだいか聞いたときは「3人です」ではなく「3人兄弟の長男です」と一言で済むように、効率のよい情報の伝え方を心がけてください。
以上、述べたようにものをあいまいに答えるのは、まったくの時間の無駄です。そんな問答をしている間に、どんどん時間がたってしまいます。貴重な時間をもっと診察にあてて、正しい診断をつけてもらわないと、困るのは患者さん自身です。
問診へのあいまいな言葉も困ります。「どうしましたか?」と聞かれ「関節が痛いのです」と答えると「どこの関節ですか?」と医師から聞かれます。「手です」と答えると「手足のどこですか?」などでは無駄な時間がかかります。そうではなく、はじめから「右手中指の第2指関節」と言えばいいのです。
さらに、「いつから痛みますか?」と聞かれて「ずっと前からです」と答えたら「何年前ですか?」「結婚してからです」「結婚したのは何年前ですか?」「今回が3回目で、二度目の結婚の頃から…」などは無駄な問答です。これでは受診者としての常識がないというしかありません。もっとはっきり的確に答えるのが、受診者のマナーです。
このように、問診で診断をつけることが難しいと、医師の中にはよく診察もしないですぐ検査に回されたりすることになります。無駄な検査は時間とお金の無駄であり、医療費の高騰を招くことになります。
小学校の高学年には医師に診察を受ける正しい方法を教えるべきです。子どものときから、自分の健康状態を把握し、それを正しく伝えるかを子どもたちには、学校でも家庭でも先生や親が教えるべきです。そうでないと、自分で自分の健康を守ることができない大人になってしまうことと警告したいと思います。
患者さんに年齢を聞くと、「大正何年生まれです」とか、「来年でちょうど90歳になります」などと答える人がいます。そう言われても、医師はとっさに何歳なのかわかりません。また、「8です」などと言う人もいます。48歳かな、と思っても遠慮して「38歳ですか?」と聞くと、「まあ、そんなに若く見えますか?」と喜ばれたりします。要領のよい言い方は「来月で62歳になります」「2か月前に50歳になった」というもので満何歳かは医師はすぐ理解できます。
何人きょうだいか聞いたときは「3人です」ではなく「3人兄弟の長男です」と一言で済むように、効率のよい情報の伝え方を心がけてください。
以上、述べたようにものをあいまいに答えるのは、まったくの時間の無駄です。そんな問答をしている間に、どんどん時間がたってしまいます。貴重な時間をもっと診察にあてて、正しい診断をつけてもらわないと、困るのは患者さん自身です。
問診へのあいまいな言葉も困ります。「どうしましたか?」と聞かれ「関節が痛いのです」と答えると「どこの関節ですか?」と医師から聞かれます。「手です」と答えると「手足のどこですか?」などでは無駄な時間がかかります。そうではなく、はじめから「右手中指の第2指関節」と言えばいいのです。
さらに、「いつから痛みますか?」と聞かれて「ずっと前からです」と答えたら「何年前ですか?」「結婚してからです」「結婚したのは何年前ですか?」「今回が3回目で、二度目の結婚の頃から…」などは無駄な問答です。これでは受診者としての常識がないというしかありません。もっとはっきり的確に答えるのが、受診者のマナーです。
このように、問診で診断をつけることが難しいと、医師の中にはよく診察もしないですぐ検査に回されたりすることになります。無駄な検査は時間とお金の無駄であり、医療費の高騰を招くことになります。
小学校の高学年には医師に診察を受ける正しい方法を教えるべきです。子どものときから、自分の健康状態を把握し、それを正しく伝えるかを子どもたちには、学校でも家庭でも先生や親が教えるべきです。そうでないと、自分で自分の健康を守ることができない大人になってしまうことと警告したいと思います。
(2009年5月1日)
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