第48回 看護師の力で医師不足問題を解消
医学生を増やしても、医師として役に立つのは8年後
そこで、今度は医者を増やすことになり、年間の医学部入学者数を300〜400人増やすことにしたのですが、医学部に入学しても、医学部を卒業するのは6年後です。それから2年間の研修を積んで、8年後にやっと仕事に就くことになるのですから、緊急の問題解決には役立ちません。
看護師が医師の仕事も
現在のさし迫った医師不足を解決するには、看護師が、医師の仕事を分担すればよいのです。
アメリカでは、およそ40年前から、外科手術の麻酔の8割は麻酔専門看護師が行っています。看護師にその技術を教えれば、看護師ができるのです。看護大学卒業後、臨床の場で5年間勤務経験をもつ看護師に、看護大学の大学院で2年間じっくりその専門分野の研究してもらえば、たいていの医師と同等のことができるようになるはずです。
また、アメリカでは、訪問看護師が在宅で、患者の心電図を撮ったり、超音波をとったり、眼底をみたりしています。看護師はその教育を受けているのですから、できるのは当たり前なのです。
日本では、「看護師は診察や治療ではなく、患者のケアをするもの」という考えが根強く残ったまま現在に至っています。患者さんの眼底を見れば、出血しているかどうかは訓練を受けた人であれば誰でもわかります。アメリカの医師や医学生はみんなやっていることです。しかし、日本ではそれは「眼科医のすることだから、眼科以外の医師や看護師はできない」ということになっています。これでは、看護師のレベルが一向に上がりません。
アメリカでは、およそ40年前から、外科手術の麻酔の8割は麻酔専門看護師が行っています。看護師にその技術を教えれば、看護師ができるのです。看護大学卒業後、臨床の場で5年間勤務経験をもつ看護師に、看護大学の大学院で2年間じっくりその専門分野の研究してもらえば、たいていの医師と同等のことができるようになるはずです。
また、アメリカでは、訪問看護師が在宅で、患者の心電図を撮ったり、超音波をとったり、眼底をみたりしています。看護師はその教育を受けているのですから、できるのは当たり前なのです。
日本では、「看護師は診察や治療ではなく、患者のケアをするもの」という考えが根強く残ったまま現在に至っています。患者さんの眼底を見れば、出血しているかどうかは訓練を受けた人であれば誰でもわかります。アメリカの医師や医学生はみんなやっていることです。しかし、日本ではそれは「眼科医のすることだから、眼科以外の医師や看護師はできない」ということになっています。これでは、看護師のレベルが一向に上がりません。
女性の力を活用すれば医療はよくなる
女性が医療や看護、介護の分野にもっと積極的に進出するようになれば、日本はもっとよくなるはずです。特に専門職であることを任じている看護師には、もっと医療に広く、深く入り込んでほしいと思います。
産科の医師が少ないのなら、現場で経験を積んだ看護師がさらに大学院で2年勉強した専門看護師がやるようにしたらどうでしょうか。裁縫のように切ったり縫ったりするのは、女性のほうが上手なんですから。それが、若くて裁縫もしたことがないような男性の医師が縫ったりするから、縫った跡がきれいにならなかったりするのです(笑)。
小児科の若い研修医は、赤ちゃんにどうやってミルクをあげたらいいか、育児はどうしたらいいか、子どもがはしかなのかどうかなどわかりません。なんでもわかっているベテランの看護師が、そんな研修医の指示の下でしか働けないというのですから、こんな不合理なことはありません。
日本の医療を立て直すには、そういった不合理をなくし、何が本当に患者さんのためなのかという原点に立ち返って考えてみなければならないと思います。
産科の医師が少ないのなら、現場で経験を積んだ看護師がさらに大学院で2年勉強した専門看護師がやるようにしたらどうでしょうか。裁縫のように切ったり縫ったりするのは、女性のほうが上手なんですから。それが、若くて裁縫もしたことがないような男性の医師が縫ったりするから、縫った跡がきれいにならなかったりするのです(笑)。
小児科の若い研修医は、赤ちゃんにどうやってミルクをあげたらいいか、育児はどうしたらいいか、子どもがはしかなのかどうかなどわかりません。なんでもわかっているベテランの看護師が、そんな研修医の指示の下でしか働けないというのですから、こんな不合理なことはありません。
日本の医療を立て直すには、そういった不合理をなくし、何が本当に患者さんのためなのかという原点に立ち返って考えてみなければならないと思います。
(2009年3月16日)
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